The Motley Fool

香港の銀行口座は解約すべき?2047年問題と政情不安への対策

香港は過去に日本人のキャピタルフライト先の一つとして資金が集まっていました。

キャピタルフライト関連の書籍を開けば香港上海銀行(HSBC)の口座開設の指南が書かれています。

多くの日本人が「国家破産」「預金封鎖」といった言葉に不安になり、香港の銀行口座開設は一部でブームになりました。

確かに海外在住者や香港現地に生活拠点がある人には、香港上海銀行はマルチカレンシーや証券取引機能、銀聯カードの発行、海外送金・両替のしやすさなどで便利な面もありました。

しかし日本に住む日本人があえて活用できる場面も少なく、凍結口座になることも珍しくありませんでした。

そのような状況で「逃亡条例」改正案のデモが活発化。2047年の香港返還も迫る中、日本人投資家は香港に銀行口座を持ち続けるべきなのでしょうか。

香港人が資産を米ドルにかえている

香港人の「逃亡条例」改正案によるデモ参加者は、政府に対する抗議の一環として、香港の銀行から預金を引き出す、米ドルに替えることをはじめました。

資産没収から財産を守ると同時に香港の行政長官への抗議という意味合いもあるようです。

現地に住む香港人自身が現在、抗議と資産を守るという二つの理由から銀行口座の現金を下ろしている状況。

香港の電子掲示板を翻訳サイトにかけて読んでみると、フィクションでないことがわかるでしょう。

そして香港の銀行ではその動きを受けシャッターが取り付けられる状況になりました。

約200万人が1人1万香港ドルを引き出すだけでも200億香港ドル、つまり約2700億円もの額が下されることになります。

国際金融都市の香港の地位が傾きつつある象徴的な出来事です。

香港は着々と中国の地方都市の一部になりつつある

香港は2047年の本土返還が近づくにつれ、少しずつ中国本土の一地方都市のようになりつつあります。

中国本土は経済成長が進む中で、地方の多くの都市が大都市へと発展していきました。

上海、広州、北京、深セン、天津、成都、杭州、重慶には高層ビル群が建ち並び、香港にも負けない大都市へと成長しています。

そして中国の高速鉄道網と香港はつながり、西九龍駅の中には中国本土と香港の国境までできました。

つまり九龍半島の中に既に中国本土の領域が存在することになります。

マカオ・珠海、深センなどとも橋でつながり、香港は地理的にも少しずつ中国本土との一体化が進んでいる状況でした。

「逃亡条例」改正案と抗議デモが激化。香港「危険レベル1」へ。

2019年の逃亡条例改正案で重要なポイントは2つです。

  • 香港で犯罪を犯したら中国本土・マカオ・台湾にも刑事事件の容疑者引き渡しが可能になる
  •  中国政府から要請を受けて資産凍結と差押え可能になる

この改正案の発表で香港のデモは激化。香港国際空港でデモもあり、空港が利用できなくなる事態にまで発展。

数日を経てデモ隊は撤退しましたが、香港の潜在的なカントリーリスクが顕在化した出来事でしょう。

そして日本の外務省は香港の危険レベルを0から1へ引き上げ。

逃亡条例の改正案が通れば、中国政府の都合次第で香港の銀行口座の資産凍結・差し押さえも可能になる上、現在の香港の政情はどのように転ぶか分からない不安定な状況です。

2047年の香港の本土返還も迫る

2047年は香港の本土返還の期限になります。まだ遠い未来と捉えるべきでしょうか。

着々と中国本土への返還の期限が近づいている中で不安定な情勢の香港。

返還の期限が近づくにつれ、中国本土に取り込まれることを良しとしない香港人の動きも活発になっていくと考えるのが自然です。

シンガポールへ香港の資金が流出している

中華系のアジアの金融センターは香港だけではありません。

東南アジアのシンガポールも国際金融センターとしての地位を確立しています。

シンガポール金融管理局では、香港の政治的な混乱を利用して過度な顧客勧誘をしないように要請を出しました。

しかしシンガポール現地の銀行では、香港から資産を移す問い合わせを多く受けてます。

シンガポールに香港の資金がキャピタルフライトしている状況です。

中国本土に資産を置いておきたいかどうかを考える時期

中国本土に資産を置くべきかどうかを香港にキャピタルフライトした日本人は考える時期に来ているかもしれません。

またキャピタルフライトと言っても、キャピタルフライト先にも固有のカントリーリスクがあることを忘れてはいけません。

もしも逃亡条例の改正案が通った場合、いつでも中国本土の意向次第で香港の資産は凍結される可能性があります。

そして改正案が通らなくても2024年の本土返還の期限が近づいてきます。さらに香港自体が正常が不安定です。

香港が国際金融センターであるためには自由で安全な都市であることが条件です。

自由もない、危険な都市が今後、アジアの国際金融センターとしての地位を確立し続けていくことが長期的にできるのかを真剣に考える時期ではないでしょうか。

海外投資に香港の金融機関はほとんど必要ない

日本居住者の日本人が香港から資産運用すると有利になる時代では既にありません。

日本のネット証券をはじめとした金融機関からでも現在、海外のアセットにアクセスすることは十分に可能であり、税制的にも海外口座は不利な仕組みになっています。

香港に実際に住んでいる人が香港の金融機関にお金を預け資産運用するのは理にかなっていますが、一般的な日本人には現在ほとんどメリットがありません。

海外口座はルールも頻繁に変わる。休眠口座になることも

海外口座は日本とは異なり、頻繁にルールや仕様が変わります。

お金を1年動かさないだけで休眠口座になってしまい、口座凍結を解除する手続きもしなけれいけなくなります。

セキュリティデバイスを海外から受け取ったり、香港からの国際電話で本人確認などの対応をしなければいけないこともあります。

実際に香港現地で口座を開設してはみたものの、ほとんど活用できず休眠口座になってしまったという事例も珍しくはありません。

中国本土に資産を置いておく合理性がなければ、口座は解約も検討すべき

今後、香港が中国本土に飲みこまれていくと考えるのが自然です。

中国本土に自分のお金を預け、資産運用する理由があれば香港の口座を持ち続ける意味もあるでしょう。

しかし、中国本土に資産をおいて置く合理性や理由がなければ、香港の口座を持ち続ける意味はありません。

確かにマルチカレンシーによる預け入れなど、日本では珍しい機能を持つ銀行ではありますが、香港の現在そして今後のカントリーリスクと天秤にかけてみれば答えは出るでしょう。

海外の金融機関のサービスには日本から見るとユニークで面白いものもたくさんあります。しかしその国のカントリーリスクとセットです。

まとめ

香港は2047年の本土返還が近づいている中、少しずつ中国本土の一部になりつつあります。

そのうような状況の中で逃亡条例の改正案、デモの激化、香港からシンガポールへのキャピタルフライトの進行と香港に資産を預けることのリスクが表面化しています。

香港から資産運用すると特別有利になることも最近はありません。

改めて香港の口座がある人は解約するか継続するかを考える良いタイミングかもしれません。

香港人の一部がシンガポールに資産を移している現状にも留意すべきです。

また直接、関係なくても国際金融投資の香港の動向は投資家として注目しておきましょう。


フリーレポート配信

モトリーフールの日本進出にあたって日本の投資家、また、これから投資を始めたい方に向けて無料で「株式投資にどう臨むか -スペシャルフリーレポート-」を配信しております。

また、テクノロジー分野に投資したい投資家として知っておくべき情報も無料で配信しております。「人工知能というテクノロジーの「第三の波」が、日本の年間GDP以上の付加価値を生み出す」こちらからご覧ください。

ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。

記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

最新記事