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銀行の弱体化が起きた理由とは?銀行の代わりに注目される金融機関を解説

融資の不正や大規模リストラ、統廃合など銀行が弱体化しつつあるニュースが増えてきました。

事実、銀行は20年以上前と比べれば、間違いなく弱体化したといえます。

今回は銀行が弱体化した理由について解説します。銀行の現在や、弱体化しつつある銀行の対策、そして銀行の代わりに注目されている金融機関についても解説します。

銀行の現在

銀行に関して、ここ一年暗いニュースが続きました。

静岡県沼津市に本店のあるスルガ銀行では、投資用不動産への資金を必要とするオーナーに対して融資基準を満たしていなくても融資していた不正融資問題が発覚。

7年ぶりに赤字に転落した福島銀行に対して、金融庁は業務改善命令を出した事も明らかになりました。

朝日新聞が集計したところ、2019年3月期決算で純利益が下がった銀行は、全体の7割に達すると驚きの発表がありました。

地方銀行が弱体化しつつあるという現状は、疑うまでもありません。そればかりか、弱体化の波は大手銀行にも及びつつあります。

銀行が弱体化した理由

地方銀行が弱体化した理由は三つあります。

一つは安倍政権が推し進める超低金利政策、もう一つが人口減による資金需要の低下、そして現在のシステムが銀行を必要としていないからです。

順番に解説します。

超低金利政策

ここ数年、日本の政策金利はかなり低い設定となっています。

2016年には-0.1%、いわゆるマイナス金利に突入したことで、銀行は大きな打撃を受けました。

これまで、銀行は預金金利と貸出金利の利ザヤで儲けてきましたが、マイナス金利政策が長引いたせいもあり収益は大きく減少。

つまり、お金を貸して利息を受け取るという銀行の従来のビジネスモデルが維持できなくなってきたということになります。

人口減による資金需要の低下

日本の少子高齢化は進み、特に地方では人口の減少が止まりません。

人口が少なくなれば企業が減っていき、銀行の融資の需要が減っていきます。

一方で高齢者は自分のお金を守る為に預金として銀行に預けるため、膨れ上がった預金に対して利子を付けなくてはいけません。

融資による利息が減る一方で、預金に対する利子が増えてしまうのでは銀行の利益は減っていくだけです。

実際、国内銀行の利ザヤは1990年度末が6.0%だったのが、2017年度末には0.6%まで減少。

まだ、大手銀行はマシな数字となっていますが、地方銀行では利ザヤがマイナスになっているのが珍しくないというのが現状です。

システムの変化

インターネットの発達により、個人が直接投資家から資金を募り、起業するケースが増えてきました。

クラウドファンディングを始めとしたこの手法は、銀行を通じて融資をする必要がないシステムとなります。

つまり、企業にとって銀行は必ずしも必要な存在とは言えなくなりました。

また、日本の主幹産業が製造業では無くなりつつあるのも、システムの変化と言えます。

日本経済が大躍進を遂げた高度成長期、企業と銀行は非常に近しい関係でした。

銀行がお金というエネルギーを注ぎこめば、企業が結果を出す時代。この時に日本の中心として活躍したのが製造業でした。

製造業の大きな特徴として、規模を大きくするために設備投資が必要不可欠な点が上げられます。

会社を大きくするには、まず設備を整えなくてはいけません。そのために銀行は融資をして、大きな利益を上げてきました。

しかし、日本の製造業は頭打ちとなりつつあり、以前ほどの需要はありません。

以上のことから、銀行の弱体化はなるべくしてなってしまったという見方が強くなっています。

銀行の打開策

銀行の弱体化が明確になったのを受けて、銀行も何もしていない訳ではありません。

地方銀行のみならず、大手銀行も現状を変えようと大きな変化を起こそうとしています。

大手銀行で大規模リストラ

みずほファイナンシャルグループや三井住友ファイナンシャルグループなどの、いわゆるメガバンクで大規模なリストラが発表されました。

それぞれ5000人から約2万人近い大規模なリストラを実施する背景は、やはり大手銀行も利益が減収したのが原因となります。

社員の数を減らし、事務作業をソフトウェアに任せ業務を効率化させようとしています。

同様の試みは大手銀行のみならず地方銀行にも広がっており、これからの銀行員はより個人の能力が試される時代に突入していきます。

統廃合で数を減らす

2019年4月金融庁は地方金融機関に、収益を向上させ安定する状況を作るように、「早期警戒制度」の改正案を公表しました。

収益悪化が続くようだと、経営陣の交代や業務改善命令も視野に入れる方針です。

結果として、地方銀行は生き残る為に他の銀行との経営統合に踏み切るしか方法がありません。

実際、生き残りを狙った地方銀行はすでに動き出しています。

2019年1月にはふくおかファイナンシャルグループと十八銀行が経営統合され、2020年に合併が予定されています。

他にも、新潟市にある第四銀行と北越銀が2021年の合併に向けて動き出し、水戸市にある常陽銀行と宇都宮市にある足利銀行も合併が予定されています。

合併をするだけでは生き残れるとは限りませんが、それでも数を減らすことで資金を集め、経営を立て直そうと地方銀行は努力を重ねています。

信金・信組の評価が高まっている

銀行の弱体化が目立つ中、意外にも信金・信組の評価が上がっています。

信用金庫や信用組合は金融機関の番付では銀行や地方銀行よりも下のように扱われてきました。

しかし、番付の上位だった銀行や地方銀行は弱体化しつつあります。

2008年のリーマンショック後に、アメリカではクレジットユニオンが国民の生活を助けました。

クレジットユニオンとは非営利法人で組合しか利用できない共同組織ですが、銀行よりも手数料が安いことから加入者が増加しました。

アメリカのクレジットユニオンは日本でいえば信用金庫や信用組合に近い金融機関となります。

もし、日本でリーマンショック級の事態が起きた時、時代の波を乗り越えられるのは信金や信組のような小規模だけど地域と密着した金融機関なのかもしれません。

まとめ

以上が、銀行が弱体化した理由についての解説です。

銀行は大きく変わる時を迎えています。それまでの大きな利益ばかりを狙う体質から、小さくとも堅実に利益を積み上げていく形に変わらなければ、銀行の将来は厳しいといえます。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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