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フェイスブック発の仮想通貨「Libra(リブラ)」は超国家通貨となり得るのか

SNSの巨人フェイスブックが構想を発表した「Libra(リブラ)」は、独自のブロックチェーンによって作成される暗号通貨です。

これはLibraプロジェクトとも呼ばれ、Libra協会に加盟する企業であれば通貨として使用出来るようになるという画期的な仕組みです。

もしも実現した場合、銀行口座を持たない人々であっても、フェイスブックのメッセンジャー機能を使ってお金を送金することが出来るようになります。

とはいえ、フェイスブックがLibraの計画を発表して以降、世界各国を巻き込んだ厳しい意見をフェイスブックは浴びています。

なぜ多くの議論を呼んでいるのか、その要因とイノベーティブの先端を行くLibraが通貨として発行される可能性について、今回は考察していきます。

Libraのメリット&デメリット

Libraが発行された場合のメリットは、他の暗号通貨と大きく違い、Libraの価格がほとんど変動しないステーブルコインとして設計されることでしょう。

つまり、Libraそのものが投機対象とならず、世界中の人々が一瞬で価格が安定した通貨を送金することが出来ます。

2019年現在、世界中で銀行口座を持たない人が約17億人いると言われており、もしもLibraの発行が実現されれば、国際送金の手間もかからず、手数料も大幅に抑えられると言われています。

また世界中の金融インフラが安定することも期待されており、従来の金融の在り方を根底から覆す可能性があります。

一方、Libraにもデメリットがあります。

あまりにもイノベーティブな仕組みであるため、現行の法整備が追いついておらず、各国政府からもLibraに対する懸念を強めています。

事実、2019年7月17、18日にフランス・シャンティイで開催されたG7において、Libraが重要議題として話し合いが行われました。

現状ではLibraを使って、マネーロンダリングやテロ資金調達に利用される可能性が極めて高く、Libraに対して「銀行同等の最高水準の規制が必要」との総括が公表されました。

Libraが悪用されてしまう可能性がデメリットといえるでしょう。

国家の金融機関がLibraを恐れている

フェイスブックはLibraの実装目標を2020年に定めています。

仮に実現した場合、フェイスブックユーザー約27億人が一気に顧客となり、世界最大の銀行口座をもつ企業となります。

そうなると、各国の「自国通貨の価値」が相対的に下がる危険性があり、それは国家の金融機関が自国経済をコントロールできなくなることを意味しています。

仮に日本人のほとんどが「Libra経済圏」で生活できるようになれば、日本円の価値が大幅に下がり、日本銀行による経済政策が意味をなさなくなります。

そのため、国家の金融機関はLibaraを恐れているのです。

とはいえ、各国政府がLibraを規制する論拠自体が乏しいとの指摘もあります。

なぜなら、民間組織が通貨を発行してはいけないというルール自体が存在せず、現状、様々な企業によって独自の経済圏で使える通貨が既に沢山存在します。

またLibraはあくまで「支払い通貨」であるため証券にも該当しません。

法律違反でも証券でもなく、反論する材料が乏しいのです。

そしてLibraだけでなく、例えばグーグルやアマゾンなども虎視眈眈と次世代の通貨について狙っているはずです。

Libraの行方が21世紀のデジタル通貨の在り方を決める可能性があり、存在意義を奪われかねない国家の金融機関が特に危惧しているのです。

Libra協会がLibraを発行する

暗号通貨Libraの運営は、世界各国の企業が参画するLibra協会が管理・発行する予定です。

設立時にはPayPalやebayなどのシリコンバレーの企業だけでなく、VISAやmastercardなど28の企業が参加しており、運営開始予定の2020年前半までに100団体以上が参加するといわれています。

Libra協会にどんな企業が参加し、どのようなサービスが生まれ、どんな経済圏を構想しているのかを知ることは、近未来の社会を占う意味でも注視しておきたいところです。

現状、日本では法規制が厳しく、Libraが実装されても日本で使えるようになるには相当な時間がかかることが予想されています。

またフェイスブックは、独自のブロックチェーン技術を使った暗号通貨Libraのために、新たに「Calibra(カリブラ)」という会社を設立しました。

このCalibraはLibra向けのデジタルウォレットを提供する会社です。

ステーブルコインのように投機対象とならない、価格が安定したLibraをSNS並みに手軽に送金できる環境を作ることを目指しているのです。

トランプ政権はマネーロンダリングが課題

トランプ大統領は2019年7月11日にtwitterでLibraに対する強い懸念を表明しました。

それと同時に暗号通貨ではなく米国の基軸通貨ドルの信頼性を強調しました。

トランプ大統領も各国首脳と同じく、Libraがマネーロンダリングの温床となることを危惧しているのに加えて、「キャピタルフライト」についても懸念しています。

このキャピタルフライトとは、資本がある国から別の国へと資金を逃すことです。

例えば富裕層が多くの資金を稼ぎ、税金が掛かる前に、税金が掛からないタックスヘイブンの国へと資金が流出することです。

このキャピタルフライトは各国にとっても深刻な問題で、オフショアな国や地域にペーパーカンパニーを作ることで違法に税金を逃れて洗浄することも可能です。

日本でも既にキャピタルフライトによって数兆円が違法に海外へと流出しているとも言われているのです。

米国経済、そして世界の基軸通貨ドルの安定を脅かす存在とならないように、Libraに対しての圧力をトランプ政権はさらに強めていくことが予想されます。

まとめ リブラは本当に発行されるのか

Libraは今後も沢山の論争を巻き起こながらも、近い将来、発行されると私は予測しています。

そもそも通貨の発行は信頼に基づいて行われるものです。

Libraが何を信用創造とするかは課題ではありますが、たとえ銀行並みの規制が掛かったとしても実施されるはずです。

それだけの資本力、政治力をフェイスブックは有しているからです。

またLibraの発行は「新たなブロックチェーンによるインフラ整備」とも捉えることができます。

次世代のOSの覇権を握るためにも、Libraの発行は欠かせないからです。

そして、フェイスブックも当然各国が懸念を表明すること、圧力がかかることは予想済みでしょう。

今後、Libraが発行されるかどうかよりも、どのような規制の上でLibraが発行されるのかに大きな注目を集めることになるでしょう。

ときに未来を見据えるためにも歴史を知ることが大切です。

「万物は流転する」という言葉があるように、経済の中心地も時代によって様々な変遷を辿っています。

未来永劫、繁栄し続けた国が歴史上存在しないことを思えば、私たちが当たり前に思っている事柄も変化する過程でしかないことがわかるはずです。

経済や金融の形も社会同様に変化していくのが当たり前だと認識していれば、Libraもまた新たな時代へと幕を開ける1歩であると見ることができるはずです。

世界中で議論されるLibraのあり方について、今後も目が離せない展開が続いていきます。

その様子を私はポジティブな現象として捉えています。


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記事の作者、アートノミクスは記事内で言及されている株式を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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