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米ディスカウントストア巨人比較:コストコとウォルマート

モトリーフール米国本社、2019年8月25日投稿記事より

貿易戦争の激化や経済悪化懸念などのネガティブな材料が山積しているにもかかわらず、米消費者の購買意欲は衰えていません。

しかし、米国ではEコマースの急速な拡大に従い「小売業の崩壊」が進んでいて、堅調なのは一部の小売企業のみです。

そのような中、ディスカウントストアの勝者企業であるウォルマート(NYSE:WMT)とコストコ・ホールセール(NASDAQ:COST)は引き続き好調で、両社のトータルリターンは市場平均を上回り、それぞれ年初来で22%、36%上昇しています。

両社を比較してみます。

ウォルマート(青)とコストコ(オレンジ)の年初来のトータルリターン推移(日次、単位:%)

出典:YCHARTS。2019年8月22日時点

コストコとウォルマートの違い

両社は大規模なディスカウントストアですが、幾つかの違いがあります。

会員制卸売り大手のコストコのビジネスモデルは比較的シンプルです。

同社は年会費を取り、大ロットで売ることで激安価格を実現しつつ、利益をあげています。

年会費が営業利益の原資となるため、損益分岐点ぎりぎりでの販売が可能になっています。

たとえば、直近四半期(3月~5月)の年会費合計は7億7600万ドルで、それが11億ドルの営業利益の多くを占めています。

年会費分を除いた場合、営業利益率は約1%しかありません。

一方、ウォルマートは伝統的な小売企業で、巨大な店舗網や大量仕入れなどのスケールメリットを活用して低価格を実現しています。

ウォルマートには、コストコのような会員制のサムズ・クラブがありますが、ウォルマートの直近四半期(5月~7月)全売上高の約11.5%を占めるに過ぎません。

他は、伝統的な米国のスーパーストア(全売上高の65%)、海外店舗(同22.3%)です。

なお、直近四半期の営業利益率は4.3%でした。

直近四半期の状況

ウォルマートの事業規模はコストコよりかなり大きく、売上高は3.5倍です。

このため、コストコには、米国内および海外で大きな成長余地が残されていると言えます。そして、既存店売上高の伸びはコストコの方が大きくなっています。

財務指標

(直近四半期の実績、前年同期比)

ウォルマート コストコ
既存店売上高 2.8% 5.5%
全売上高 1.8% 7.4%
営業利益 -2.9% 5.2%
Eコマース売上高 37% 22%

出典:コストコとウォルマートの決算資料。筆者が表作成

直近四半期を見る限り、コストコの業績が全般的にウォルマートを上回っています。

ウォルマートは特に営業減益となっています。これは、アマゾンの攻勢に対抗するためにEコマースの充実、配達の迅速化などで積極的な投資を行ったためです。

コストコの営業利益率も低下していますが、営業利益の伸びが売上高の伸びを下回っただけのことで大きくは低下していません。

これは、対中追加関税や運送コスト増など、多くの小売企業が同様に直面している問題が影響しています。

Eコマースへの取り組みの違い

なお、ウォルマートのEコマース売上高に勢いがあるため、同社のEコマース投資は奏功したように見えます。

近年、ウォルマートはアマゾンの2日配達にいち早く対応しましたが、アマゾンは今年翌日配達を開始しました。

ウォルマートは一部地域で翌日配達を開始しましたが、配達関連コストが同社の営業利益率を低下させています。

ウォルマートが、配達などEコマースへの対応で成長を拡大できるのか、それとも単にEコマース競争に劣後しないように投資を拡大せざるを得ないのか、のどちらかを言い切るのは難しいです。

なお、Eコマース売上は、既存店売上高の成長の半分を占めています。

そして、ウォルマートの既存店売上高の伸びは比較的よいものの、コストコやターゲットを依然下回っています。

一方、コストコの会員制と「激安商品のお宝探し」のような店内の雰囲気は、Eコマースの脅威に対して抵抗力があるようです。

このため、コストコはEコマースの新機軸への速やかな対応を迫られていません。

コストコCEOのリチャード・ギャランティは、アナリストからのウォルマートの矢継ぎ早の対応に関する質問に対して、「他社が多額のコストをかけて行っていることを認識しています。

しかし当社では、新規の試みが当社のやり方に沿うかどうかを長期的に判断し、まず部分的に新たな取り組みを行っています」と答えています。

結論

ウォルマートよりコストコの方が安定的なビジネスモデルで、より良い成長見通しがあります。

しかし、バリュエーションを見た場合、コストコのPER(株価収益率)は34.4倍で、ウォルマートの25.3倍よりもかなり高い水準です。

それでも、現在の米小売業の激変期において、投資家は強靱なビジネスモデルを重視すべきでしょう。

高いバリュエーションにもかかわらず、やはりコストコに分があるとの見方があります。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Billy Dubersteinは、アマゾン株とターゲット株を保有しています。Dubersteinの顧客は、記事で言及されている株式を保有している可能性があります。モトリーフール社は、アマゾン株を保有し、そして推奨しています。モトリーフール社は、コストコ・ホールセール株に関するオプションを保有しています(2020年1月の180ドルのショート・コール、2020年1月の115ドルのロング・コール)。モトリーフール社は、コストコ・ホールセール株を推奨しています。

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