The Motley Fool

FOMCが利下げを行うと市場にどのような影響が出るのかを把握しよう

FRB(米連邦準備制度理事会)は2019年7月31日、10年半ぶりに政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を0.25%引き下げ、年2.0~2.5%とする利下げを実施しました。

今回は、米国で利下げが行われると、どのような影響がマーケットにあるのかについて解説します。

FOMC(米連邦準備制度理事会)の金融政策

米国の金融政策は、FOMCで決定されます。

FOMCは、FRBの理事7名と地区ごとの連邦準備銀行総裁5名で構成されており、6週間ごとに年8回開催されます。

景況感の判断と、政策金利であるFF金利の上げ下げの方針を決定します。

金融政策は、景気が過熱したときに利上げし、低迷したときに利下げをして、景気サイクルの変動幅を小さくするために行われます。

ただ、7月のFOMCでの会合では政策金利を0.25%引き下げましたが、複数の参加者が0.5%の大幅値下げを求めた一方で、政策金利の据え置きを要求した者も数人いました。

FOMC内でも、今後の米国景気と金融政策を巡る見方が大きく割れていることがわかります。

しかし、市場ではすでに次回9月の利下げをほぼ100%織り込んでいる状態で、FRB の政策判断は難しさが増しています。

過去の利下げのパターン

今回の利下げはリーマン危機前の2007年9月以来となり、米国金融市場は大きな転換点となりそうです。

1990年以降にFRBが利下げに転じたのは、以下の4回です。

1995年7月

メキシコ危機が米国へ波及するのを防ぐための利下げ

1998年9月

アジア・ロシア危機が米国経済へ伝播を防ぐための利下げ

2001年1月

ITバブル崩壊

2007年9月

サブプライムローンなど、クレジット(信用)バブルの崩壊

1995年と1998年の利下げは、国外の危機を水際で食い止めるための「予防的」な利下げだったので、短期間で終了しました。

しかし、ITバブルやクレジットバブルなどバブル崩壊時には利下げ期間が長くなりました。

95年、98年の「予防的」な利下げでは株価が上昇しました。

しかし、01年・07年の利下げでは、利下げが「手遅れ」と判断されて株価は下落しています。

パウエル議長の発言

7月のFOMC会合後の記者会見で、パウエルFRB議長は、「利下げは政策サイクル半ばでの調整であって、長期的な利下げ局面に突入するわけではない」と発言。

その後の議事要旨でも、「多くの参加者がサイクル半ばでの調整とみている」と明記されています。

利下げ局面は短期間にとどまり、政策金利の引き下げも小幅なものになるとの見方を示しているのです。

利下げが「予防的」と判断されるか、「手遅れ」と判断されるかによって、株式市場の動きは大きく異なります。

予防的と判断されれば株式市場にとってプラスですが、手遅れと判断されれば、株式市場は下落するからです。

最終的な判断は、今後のマクロ経済指標をチェックする必要があります。

とくに景況感を判断するISM製造業景況指数が上昇に転じるか、低下を続けるかが注目されます。

米国株式市場の動向

7月の利下げから米国株式市場は下落しています。

出典:ヤフーファイナンス

もちろん、直接の原因は米中の貿易摩擦ですが、利下げの効果が限定的だったことも確かです。

パウエルFRB議長は、貿易摩擦問題が景気に与える影響を見極め、金融政策を調整すると語っていますが、前例がないことも認めています。

サイクル半ばの調整なのか、利下げが継続的に行われるのか見極めが必要です。

ただ、これまでとの違いは、現在の政策金利が2.00~2.25%にとどまり、政策金利が5%以上あった過去に比べると利下げ余地が大きくないという点です。

9月の利下げを市場は織り込んでいますが、FRBの政策判断は難しさが増しているのです。

日本株への影響

米国の利下げは、日本株にとってマイナスになることがあります。

それは、為替が円高・ドル安になる傾向があるからです。

ドル円レートを動かす材料は色々ありますが、一番重要なのは「日米の金利差」です。

米国の金利が上昇し、日米の金利差が拡大すると円安傾向になります。

一方、米国の金利が低下し、日米の金利差が縮小すると円高傾向になります。

日本は低金利なので、米国の金利動向がドル円レートの決定要因となるのです。

日本の代表的な株価指数である日経平均株価は、ソニーやトヨタなど輸出型企業である外需株の影響が大きい指数です。

そのため、円高になると株価が下がる傾向にあります。

たとえば、自動車を1台1万ドルで輸出し、ドル建てで代金を受け取ったとします。

1ドル=100円の時と1ドル=80円の時では、受け取る外貨が同じでも、円ベースでの価値は1ドル100円の方が大きくなります。

円高になると外需企業の業績は悪化するので、株価も下落するのです。

まとめ

2019年4月に FRB は10年半ぶりに利下げをしました。

1990年以降に FRBが利下げをしたのは4回。株式市場への影響は、利下げが「予防的」なのかどうかで大きく異なります。

予防的な利下げであれば短期間で終了し、株式市場にも好影響を与えます。

今回の利下げについて、FRBは「予防的」な利下げであることを強調しています。

しかし、米中の貿易摩擦が激化する中で、米国景気は予断を許しません。

FRBの利下げが景気悪化に対して後手になり、「手遅れ」と判断されれば株式市場は下落する可能性が高くなります。

9月にも行われると予想されている利下げが、「予防的」・「手遅れ」のどちらと判断されるかが注目されます。


フリーレポート配信

モトリーフールの日本進出にあたって日本の投資家、また、これから投資を始めたい方に向けて無料で「株式投資にどう臨むか -スペシャルフリーレポート-」を配信しております。

また、テクノロジー分野に投資したい投資家として知っておくべき情報も無料で配信しております。「人工知能というテクノロジーの「第三の波」が、日本の年間GDP以上の付加価値を生み出す」こちらからご覧ください。

ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。

記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

最新記事