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ポートフォリオのリバランスは投資においてなぜ重要なのか?

ポートフォリオのリバランスという言葉は、ETFや投資信託などの複数のインデックスファンドなどを組み合わせて運用している投資家の間では当たり前に知られています。

その一方で価格変動によってポートフォリオの資産配分比率が変化しても全くタッチせず、大きく伸びて含み益を抱えたものや、下落して含み損を抱えた資産もそのまま放置している投資家もいます。

大きく伸びているのだから、そのままにしておけばいいと考える投資家もいるかもしれませんが、適切なタイミングでのリバランスをおこなわずに放置しておくと、ボラティリティリスクの上昇など様々なリスク要因を生みます。

そこでポートフォリオのリバランスがどうして重要なのかについてお伝えしていきます。

ポートフォリオのリバランスとは?なぜ重要なのか?

ポートフォリオのリバランスについてお伝えする前に、そもそもなぜ適切な資産配分比率、いわゆるアセット・アロケーションを決め、それに基づいたポートフォリオを組むことが必要なのかについて考えてみましょう。

ポートフォリオの究極の目的は、リスク分散によって許容できる範囲内のリスクで最大のリターンを得ることにあるといえるでしょう。

ただし、リスクとリターンでは、どちらかといえばリスクをコントロールすることにより比重が置かれます。

このようなリスク分散効果を得ながらリターンを得るという目的を達成するために、リスク許容度、投資の目的、投資期間、ライフステージなどに応じて資産配分比率を決定し、ポートフォリオを構築していきます。

しかし、自分でポートフォリオを組むなり、ラップ口座のように投資のプロと相談して決めたポートフォリオで投資を始めるにしても、ポートフォリオを構成する個々の資産については伸びていく商品と下落する商品とに別れ、ポートフォリオ内の各資産のバランスは時間の経過とともに崩れていきます。

ポートフォリオの一部が大きく上昇することは非常に望ましいことですが、それと同時に大きく上昇するということはボラティリティが高く、マーケット環境が変わればその分だけ大きく下落するリスクがあるということになります。

つまり、リスクとリターンは常に表裏一体の関係にあるということです。

大きく伸びたからといってポートフォリオのバランスを崩したまま放置しておくと、いずれは大きく下落して損失を被る瞬間が訪れるかもしれません。

そのような必要以上のリスクを取らないためにも、投資期間の中で適切なタイミングでリバランスすることでそのような状況を改善することが重要になってくるのです。

したがってポートフォリオのリバランスとは、価格変動によってポートフォリオの各資産の割合が変化した場合に資産の売却や購入を通じて元のポートフォリオのバランスに戻すことをいいます。

例えば、以下の図の例をご覧ください。

外国株式のインデックスが上昇して、当初の25%から40%にまで資産配分比率を拡大、同じく国内株式も25%から35%まで資産配分比率を拡大させました。

一方で海外債券と国内債券はともに25%から10%と15%にそれぞれ落ち込んでいます。

この場合、上昇した外国株式と日本株式の上昇分を売却して元の25%に戻します。

また、売却した資金で下落した海外債券と国内債券の下落分を買い増して元の資産配分比率に戻してやります。

リバランスについてもう一つ重要なことをお伝えすると、長期的にはライフステージなどに合わせたリスク許容度に応じて、ポートフォリオの資産内容を徐々に変化させる役割もあるという点です。

例えば、働き盛りで収入上昇も見込める30代は比較的リスク許容度が高く、株式ファンドなどの割合を高くしてそれなりのリターンを狙うということも考えられます。

しかし30代から40代と結婚を経て家族が増え、やがて50代から60代になるとリタイヤ後の生活のことも検討しなくてはなりません。

リタイアが見えてくる年齢層になると若いころのようなリスクを取ることは避け、例えば債券ファンドの割合を高くしてそれまでのリターンを守りつつ、リスクを抑えたポートフォリオへと変化させていくことが求められます。

このようにリバランスすることによって、各ライフステージに見合ったリスクで運用するためにポートフォリオの資産内容に変化を付けることができるのです。

リバランスのメリット

リバランスをおこなうことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。

以下にそのメリットについてご紹介していきます。

許容リスク以上のリスクを回避できる

最初にポートフォリオを組む際には、自分で許容できるリスクに基づいた資産配分比率を決定します。

しかし、ポートフォリオの一部の商品が大きくなりすぎると、その許容リスク以上のリスクを取ることにもなりかねません。

例えば、比較的ボラティリティリスクが高い先進国の外国株式インデックスファンドを25%としてポートフォリオを組んだのに、その後の上昇で40%にまで上昇するとそれは必要以上のリスクを取っていることになります。

ボラティリティが高い商品は株価が急落するリスクも大きく、許容範囲を超える損失を発生させる場合があります。

このようなリスクの取りすぎを回避するためにもリバランスが重要になってくるのです。

最適なポートフォリオが維持できる

リバランスによって、最適なポートフォリオを維持して当初の目標通りの資産配分比率を維持することができます。

適切なタイミングでのリバランスをせずに放置し、ポートフォリオの個々のファンドのウェイトがズレてくると、特に長期投資においては将来のパフォーマンスにかなり大きな影響やリスクを受ける可能性があります。

リバランスによって、そのような影響やリスクをできるだけ緩和することができるのです。

パフォーマンス改善や期待リターン上昇の可能性が見込める

リバランスとは、ポートフォリオ内の値上がりしたファンドを売り、その売却した資金で値下がりしたファンドを購入することになります。

つまり、利益確定と割安購入を同時におこなうことになるためにリバランスしない場合に比べて、パフォーマンスを改善し将来の期待リターンが上昇することが見込めます。

また、同時にリバランスしなければファンドの含み益を実現することもできず、下落して含み益が吹き飛ぶというリスクにさらされることにもなりかねません。

ライフステージや投資目的に合った運用を可能にする

欧米では我々のような多くの一般個人投資家が何十年にもわたる長期投資を通じて、各ライフステージに見合ったリスクの取り方によってポートフォリオを組んで運用しています。

そこでの投資プランや投資目的は自分のリスク許容度や収入、生活スタイルの範囲で若いうちに少し積極的な運用でリターンを伸ばし、投資期間の終盤ではそのリターンを守りながら投資を終え、リタイア後の生活資金などに充てるというものです。

そのために若くて収入にも伸び代があるうちは比較的リスクのある商品もポートフォリオに組み込んでリターンを伸ばすことを目的とします。

若いうちなら何かあってもまだ取り返せるチャンスがあるためです。

しかし、年齢を重ね、やがてシニアと呼ばれる世代に近づいてくると、若い頃のように投資で積極的なリスクを取るよりは極力リスクを減らして資産を守る方向での運用が重視されます。

適切なタイミングでポートフォリオを見直し、リバランスすることでライフステージや投資目的に合わせたポートフォリオの資産内容へと徐々に変化させることが可能です。

しかし、リバランスをおこなわずに長年放置すれば、株式ファンドなどボラティリティリスクの高い商品のウェイトが高くなる傾向があります。

もちろん投資期間の終盤に差し掛かった時点でそのような商品が大きく伸びたままなら問題ありませんが、刻々と変化するマーケット環境を考えると過大なリスクを負うことにもなりかねません。

投資期間の終盤で大きく下落したり、最悪の場合は大暴落になるというリスクもゼロとは限りません。

これからリタイヤ生活資金にしようと運用してきたのに、投資期間の終盤でリスクの高い商品の割合が高くなっていたために万が一暴落でもしようものなら、最終的には投資目的をかなえることが困難になってしまう可能性もあります。

リバランスのデメリットや注意点

リバランスには様々なメリットがあることがわかりましたが、その一方でデメリットや注意すべきポイントもあります。

それはリバランスすることで売買手数料や税金があらたに発生する可能性があることです。

売買手数料については運用している商品によっても異なりますが、通常であれば売却時の手数料と新たにポートフォリオに組み込む商品を購入する際に発生する手数料がかかります。

また、保有していた資産に含み益があった場合、売却すれば利益が確定して税金が発生する可能性もあります。

税金がもし発生するとその分は再投資に回せないことになります。

リバランスを通じてパフォーマンス改善などのメリットがある反面、リバランスを通じて新たに発生するコストはそのようなメリットを相殺させるデメリットがあります。

リバランスする際にはそのようなメリットとデメリットから得られる効果をよく比較検討しながらおこなっていくことが必要となるのです。

リバランスの方法や適切なタイミングとは?

次にリバランスの具体的な方法や適切なタイミングについてご紹介していきます。

いずれの方法も税金や売買手数料といった取引コストと得られる効果を考慮して決定することが大切です。

リバランスの方法

リバランスする場合に考えられる方法には主に3種類あります。

その方法とは、売却と購入の組合せによって元のバランスに戻す方法、下落して資産配分比率が下がったものだけを元の割合になるように購入のみをおこなう方法、反対に上昇して資産配分比率が高くなったものを売却のみをおこなう方法になります。

いずれにしてもメリット・デメリットがありますので、よく検討してからおこないましょう。

売却と購入の組合せ

最も一般的な方法となるのが、価格上昇により資産配分比率が高くなった資産の一部を売却し、その売却資金で価格が下落して資産配分比率が低下した資産を買い増すという方法です。

この方法には元のポートフォリオの資産配分比率に戻しやすいというメリットがあります。

しかし、売却と購入をおこなうため、含み益のあった資産を売却する際に発生する税金と売却手数料、さらに購入の際の購入手数料の二重の取引コストがかかるために、リバランスの効果を低下させてしまう可能性があります。

購入のみをおこなう方法

価格下落により資産配分比率が低下した資産を元の割合まで買い戻す方法になります。

ただし、新たな投資資金が必要になるため、投資金額を増やしたい場合や積立投資で運用している場合などに向いている方法となります。

購入するだけになるために売却と購入の組合せよりも税金や手数料の面では有利となります。

売却のみをおこなう方法

価格上昇により資産配分比率が高くなった資産の一部を売却することで、元のポートフォリオのバランスに戻す方法となります。

売却した資金が再投資されないために複利効果が期待できないというデメリットがあります。

また、売却時の税金や売却手数料が発生するのは売却と購入の組合せと同様です。

ただし、投資期間が終盤に近付いて、投資資金を徐々に引き上げるタイミングでは有効かもしれません。

適切なタイミングや目安

リバランスをおこなうタイミングや目安によっても次の3つの方法に分けられます。

期間に応じて定期的にリバランスする方法、個々の資産が一定の資産配分比率に達した時点でリバランスする方法、さらにその両方を組み合わせておこなう方法となります。

一定期間ごとにリバランスする方法

1カ月ごと、3ヶ月ごと、半年ごと、1年ごとなど予め定めた期間で機械的にリバランスする方法です。

相場環境を認識したり、ポートフォリオ比率を考慮して判断する必要がないので、投資経験の浅い方でも取り組みやすい方法です。

その反面、相場環境やポートフォリオ比率が一切考慮されない点はデメリットにもなります。

また、1カ月ごとなど頻繁にリバランスをおこなえば、適正なポートフォリオの維持には最適ですが、税金や売買手数料も多く発生し、リバランスのメリットを相殺させてしまう可能性もあります。

反対にリバランスのタイミングを長くすると、税金や手数料を抑えることにはなりますが、適正なポートフォリオ維持の観点からはリバランス効果が限定されてしまいます。

一定の比率を基準としてリバランスする方法

5%や10%といった予め決められた一定の比率から各ポートフォリオの資産配分比率が乖離した場合のみリバランスをおこなう方法です。

この比率を小さく設定するとそれだけ頻繁にリバランスが必要となり、高いリバランス効果が得られる反面、売買手数料もそれだけ多く発生する可能性があります。

反対に比率を大きくするとリバランスの頻度が落ち、リバランス効果を得にくくなります。

一定の期間と一定の比率との組合せに基づいてリバランスする方法

上記の2つの方法を組み合わせた方法です。

一定の期間と一定の比率を決めておき、その期間に到達した時点で一定の比率以上に資産配分比率の乖離が見られた場合のみリバランスをおこなう方法です。

例えば、半年ごとのタイミングでポートフォリオを見直し、その時点で10%など決めておいた比率以上の乖離が見られた場合に限ってリバランスします。

この方法はコストとリバランス効果の両方の面から最もバランスがとれている方法といえるかもしれません。

まとめ

リバランスをおこなうことの重要性やメリット・デメリット、さらにその方法やタイミングなどについてお伝えしてきました。

リバランスは元のポートフォリオの資産配分比率に戻すことだと申し上げましたが、実は結構たいへんな作業です。

その理由としてマーケット動向や売買手数料・税金といったコストを考慮しながら、動かすべき資産を決めなければならないからです。

また、これまでお伝えしたことと多少矛盾すると感じられるかもしれませんが、状況によってはリバランスをおこなわないほうがいい場合もあります。

いずれにしてもリバランスから得られるメリットとデメリットの効果を客観的に分析し、適切なタイミングでのリバランスをおこないたいものです。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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