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【米国株動向】メーシーズの高配当利回りに要注意

モトリーフール米国本社、2019年8月18日投稿記事より

百貨店大手のメーシーズ(NYSE:M)の株価は最近、さえない決算発表を受け、約10年ぶりの安値に急落しました。

これにより同社の株価が予想PER(株価収益率)の6倍に低下したことで、予想配当利回りは9%超となっています。

低いPERと相当高い配当利回りは、バリュー投資家にとって魅力的に映るかもしれませんが、「落ちるナイフはつかむな」の相場格言通りかもしれません。

14日に発表された第2四半期(5月~7月)決算によれば、売上高は前年同期比0.5%減の55億5000万ドル(約5900億円)でアナリスト予想と同様でした。

しかし、調整後EPS(1株当たり利益)は60%減の0.28ドルで、アナリスト予想の0.45ドルを大きく下回りました。

【米国株動向】メーシーズ、さえない決算発表受け株価急落

メーシーズは、通期の売上高見通しを据え置きましたが、調整後EPSは当初の3.05ドル~3.25ドルから2.85ドル~3.05ドルに、約30%前後引き下げました。

メーシーズ、JCペニーに似始める

メーシーズは、苦境にある競合のJCペニー(NYSE:JCP)などよりも「米小売業の崩壊」をしのいでいるように見えます。

しかし、詳細を見ると状況は異なり、JCペニーに似始めているようです。

第2四半期の既存店売上高は、前年同期比で何とか0.3%増のプラスとなりましたが、そのような状況が過去3四半期間続いています。

2019年通年見通しも、ほぼ横ばいが見込まれています。

第2四半期の総利益率も、第1四半期比では60ベーシスポイント改善していますが、前年同期比では160ベーシスポイント低下しています。

これには、想定外の値引き在庫処分、利益率の低いロイヤルティプログラムやオンライン事業が影響しています。

財務指標 2018年

第2四半期

2018年

第3四半期

2018年

第4四半期

2019年

第1四半期

2019年

第2四半期

総利益率 40.4% 40.3% 37.5% 38.2% 38.8%
営業利益率 5.4% 2.7% 12.4% 3.7% 2.8%

出典:メーシーズの四半期決算報告

メーシーズの営業利益率は、四半期および年度ごとに低下を続けています。

これは特に、不動産収益が低下し、その一方で経費が増加しているためです。

端的には、メーシーズは既存店売上高の増加傾向を維持するために利益率を犠牲にしており、小売業としてはいい戦略ではありません。

たとえば、JCペニーの既存店売上高は2018年下期に横ばいとなり、その後ずっとマイナスに転じています。

また、値引き販売で過剰在庫を一掃しようとしたため、利益率も低下しました。

そして、メーシーズと同様に、利益やキャッシュフローを一時的に押し上げるために不動産などの資産売却を開始しました。

メーシーズの現状はJCペニーよりもよいですが、両社とも同じ競合と厳しい競争を展開しています。

競合にはEコマースの巨人アマゾン、メガストアのウォルマートやターゲット、ザラなどのファストファッション・アパレルなどが含まれます。

さらに、メーシーズが入っているモールの多くで来客数が減少していて、追い打ちとなっています。

なお、メーシーズの通期見通しには、中国への追加関税第4弾の影響は織り込まれていません。

乏しい構造改革の成果

メーシーズはオンライン販売を拡大しており、第2四半期のオンライン売上は2桁台で伸びていますが、同社の全売上高に占める割合は依然わずかです。

さらに、デジタル事業拡大に伴い、技術的インフラ費用や流通費用が増加するため、長期的な利益率を圧迫します。

メーシーズは「バックステージ」ディスカウントストアを増やしていますが、商品価格は同様のディスカウントストアよりも高いと言われています。

その他にも幾つか新機軸を打ち出していますが、収益への貢献は今一つです。

そして、メーシーズの既存店売上高が示唆する通り、上記の施策は消費者の百貨店離れを食い止めていません。

また、系列のブルーミングデールなどで衣料品のサブスクリプションサービスをテストし始めましたが、アパレル販売で「共食い」となる可能性があります。

JCペニーも、同様の戦略を多く試み、店舗内にナイキ店舗を誘致したり、LVMHのSephoraと提携したり、衣料品のサブスクリプションサービスも行いました(今は中止)。

結局、来客数の増加に結びつきませんでした。

高い配当利回りより構造改革投資を

メーシーズの配当は今年の予想利益の半分程度なので、継続可能です。

しかし、配当分の現金(2019年上期では2億3300万ドル)は本格的な構造改革に投じられるべきでしょう。

配当がそのままで利益が減れば配当性向は上昇しますが、投資家の懸念も高まると考えられます。

メーシーズは、バリュートラップ(低PER、高配当利回りで低迷を続ける銘柄の罠)になりつつあるようです。

JCペニーが10ドル台で取引されていた時、多くの投資家は割安株と期待して投資していましたが、結局株価は1ドル未満に落ち込んだままです。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Leo Sunは、アマゾン株とLVMHモエ・ヘネシー株(ADR)を保有しています。モトリーフール社は、アマゾン株とナイキ株を保有し、そして推奨しています。

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