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ビデオゲーム業界の成長余地は?

モトリーフール米国本社、2019年6月11日投稿記事より

今日のビデオゲーム業界ではやや矛盾が生じています。

多くの投資家は、Eスポーツ(ビデオゲームを使った対戦型のスポーツ競技)やゲーム内課金の増加などに注目し、ビデオゲーム業界の一部を成長市場として期待しています。

しかし、ビデオゲーム業界全体としては、成長を見出すのが難しくなっているのが現実です。

アクティビジョン・ブリザード(NASDAQ:ATVI)とエレクトロニック・アーツ(NASDAQ:EA)は、この10年間であまり成長していません。

また、テイクツー・インタラクティブ(NASDAQ:TTWO、以下「テイクツー)は、新ゲームの発表に応じて業績が大きく変動します。

ゲーム業界大手にとって、今後、長期的な安定成長は難しいかもしれません。

過去10年間の低い増収率

下のグラフは、過去10年間におけるアクティビジョン・ブリザードとエレクトロニック・アーツの株価および売上高の推移を示しています。

2016年にアクティビジョン・ブリザードはキング・デジタルを59億ドルで買収したため、売上高が急増しています。

アクティビジョン・ブリザード(青)とエレクトロニック・アーツ(オレンジ)の株価および売上高の推移(売上高は直近12カ月ベース、単位:%)

出典:YCHARTS。2019年6月10日時点

エレクトロニック・アーツの売上高成長率は、10年間で年率換算2%です。

アクティビジョン・ブリザードの成長率も、キング・デジタル買収効果を差し引くと同様です。

つまり、ビデオゲームメーカーの10年間の成長は遅々としています。

フリーゲーム流行の影響

過去10年間でビデオゲームの売上が大幅に増加していない理由はいくつかあります。

大きな要因の1つは、フリーゲームの流行です。

かつてはゲーム機を購入し、50ドル(約5300円)以上のゲームソフトを購入するのが当たり前でした。

しかし、現代の主流はフリーゲームで、何百万人ものユーザーがいる場合はゲーム内課金で収益化が可能です。

しかし、ユーザーベースが小さい場合は、ゲーム内課金だけでは利益を上げることができません。

この傾向は、アクティビジョン・ブリザードのCall of Dutyのような大ヒットゲームでも見られます。

Call of Dutyは依然として業界で最も人気のあるゲームの1つですが、過去10年間において発売週の売上が減少してきています。

有料ゲームソフト市場は、現在全般的には縮小しています。

Eスポーツは、2019年以降のビデオゲーム業界の大きな成長エンジンであると考えられています。

しかしそれはまだ業績に明確に現れていません。

アクティビジョン・ブリザードのようなゲーム著作権の保有者には、大会主催者から著作権料として何百万ドルも当初もたらされます。

しかし、Eスポーツからの継続収入は、大会主催者との折半になります。

Eスポーツへの関心の高まりから、関連ゲームソフトの売上が増加する可能性がありますが、まだ大きな実績は出ていません。

革新的なゲーム機やスマートフォンのような技術が生まれなければ、ビデオゲームメーカーの売上高が急速に成長する余地はないでしょう。

ビデオゲーム業界の利益率上昇が株価を下支え

ビデオゲーム、特にエレクトロニック・アーツとアクティビジョン・ブリザードの売上が伸びていないことを指摘しましたが、純利益は伸びています。

これが、ビデオゲーム銘柄の株価上昇を後押ししています。

アクティビジョン・ブリザード(青)とエレクトロニック・アーツ(オレンジ)の純利益および売上高総利益率の推移(直近12カ月ベース、単位:%)

出典:YCHARTS。2019年6月10日時点

純利益が増加した大きな理由は、売上総利益率の上昇です。

非常に低コストであるオンライン配信は、利益成長の鍵となっています。

もう一つの理由は、大ヒットゲームの毎年の課金更新です。たとえば、アクティビジョン・ブリザードの場合は、World of Warcraft、Candy Crush、Call of Dutyといった人気ゲームを毎年更新しています。

エレクトロニック・アーツは、FIFA、Madden、Battlefieldで同様の更新を行っています。

テイクツーは、Grand Theft Autoの更新を行っています。

ビデオゲーム投資家にとってのリスク

ビデオゲーム企業の株価は過去10年間で上昇しており、エレクトロニック・アーツ、アクティビジョン・ブリザード、テイクツーはそれぞれ164%、338%、1,270%も上昇しています。

しかし、売上高の急速な成長を持続するのは困難であり、消費者のゲームソフトへの支出が減少すると、株価には逆風が吹くでしょう。

各社ともにフリーゲームに適応するよう、サブスクリプション等の導入などビジネスモデルの変更を模索しています。

ただ、一筋縄には行きそうになく、ゲーム業界が成長産業と変貌するためにはまだ時間がかかりそうです。

そして、このまま売上高が伸び悩む場合、いずれは純利益も減少するでしょう。

投資家はマージンの拡大だけでなく、長期的な売上高の安定成長に注視する必要があります。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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元記事の筆者Travis Hoiumは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール社は、アクティビジョン・ブリザード株、エレクトロニック・アーツ株、テイクツー・インタラクティブ株を推奨しています。

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