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国民年金を払わないとどうなる?未納によるデメリットについて解説

巷では、年金がいずれ破綻するので、保険料は払わない方が得だという話が、まことしやかに語れています。

このような話は、本当なのでしょうか。

国民年金、すなわち老齢基礎年金について詳しく見ていきましょう。

「国民年金が破綻する」は本当か?

「年金破綻説」があると都合の良い業界があります。

それは、保険・証券など金融商品を販売する業界です。

「将来年金がもらえるかどうか分かりません、だから自力で積立や投資を行いましょう」と言って金融商品を売り込むことはとても容易ですから。

では、本当に国民年金は破綻するのでしょうか。

厚生労働省HP内資料「社会保障審議会年金事業管理部会資料(第26回)」によれば、2016年度公的保険制度全体で、加入対象者合計は6729万人います。

そのうち24ヶ月の保険料支払いが未納となっている「未納者」は206万人、制度そのものに加入していない「未加入者」は19万人で合計225万人で、全加入者のうちの3.3%です。

つまり、全体の97%近くが「納付」しているのが本当の姿です。ですから、国民年金の破綻は、絶対にありえないでしょう。

なぜ、世間では「支払いを滞納している人が多い」「4割近い人が未納だ」などの話が横行しているのでしょう。

公的年金保険制度の対象者は、次の3つに分けられます。

  • 第1号被保険者(自営業者およびその配偶者)
  • 第2号被保険者(サラリーマン・公務員・私立学校教職員)
  • 第3号被保険者(第二号被保険者の配偶者で一定所得未満)

「国民年金保険の加入者」は第1号被保険者と第3号被保険者に分類されます。

第2号被保険者の加入する「厚生年金保険(国民年金も含まれる)」は、被保険者の給料天引きと企業からの労使折半にて、支払いが行われますので、企業が支払いを滞納していない限り、未納はありえません。

この中には、第3号被保険者の保険料も含まれます。

これに対して、第1号被保険者は個人口座からの引き落としか、振込票での支払いになるため、未納が発生する環境にあります。

この第1号被保険者のデータが、前述の「国民年金保険料の納付率」4割の出典らしいのです。

満額で年に78万円

国民年金は他の民間商品とは比べられない程の高い返戻率(190%~240%)の制度です。

ただし、74歳ぐらいよりも若くして死亡した場合は支払った保険料総額よりも少ない受取額になります。

この点は国民年金の弱点と言えますが、平均寿命を考えると、ほとんどの人にとっては、大きなメリットになります。

国民年金保険料をきちんと支払っておけば、65歳から老齢基礎年金がもらえ、満額で年に780,100円(平成28年)です。

しかし、決して十分な金額とは言えません

。支払い期間が短いと、さらに減ってしまいます。

実際に年金を受け取る年齢になると、この減額は非常に痛いので、出来るだけ未納期間が無いようにしましょう。

国民年金は、保険料の納付期間が10年以上(平成29年8月1日から)あった場合に受給資格期間を満たすことになり、65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。

ただし、その期間に1ヶ月でも満たない場合は受給資格を得ることができません。注意が必要です。

障害者年金や遺族年金が得られなくなります

普通は、ここで言う障害者年金や遺族年金のことを考える人は、少ないと思います。

しかし、交通事故にあったり、定年になってから大きな病気をしたりすると、急に差し迫ったことになります。

障害年金は、国民年金を納付していないと受け取れません。次のいずれかの要件を満たさないと給付の対象外になります。

  1. 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
  2. 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

国民年金加入者が死亡した場合、遺族は「遺族基礎年金」を受け取ることができます。

こちらも障害年金と同じく、「780,100円+子の加算」で受給金額が決まります。

ただし、子供は18歳到達年度の末日までで遺族基礎年金は受給できなくなります。

未納・滞納は「財産を差押さえ」されます

督促までの流れは、次のようになります。

まず、「特別催告状」が送付されます。次に、「最終催告状」が送付されます。

そしてその後、「督促状」が送られてきます。最後に、「差押予告通知書」が送付されてきます。

この督促状が来た時に年金事務所へ行き、滞納している保険料を納付する意思を告げれば、差押え処分を回避することができます。

基本的に3年を過ぎた期間の保険料を納付する場合、加算金がかかるようになります。

この加算金により、滞納していればいるだけ当時に納付するよりも損になってしまいますので、出来るだけ未納・滞納をせずに払っておいた方が良いでしょう。

督促状の支払い期限を過ぎると14.6%というかなり高い利率の延滞金がかかりますので、それまでには支払いたいものです。

年金の未納分については分割で支払うこともできます。金銭の用意が難しければ、無理して未納分を一括で支払う必要はありません。

詳しくは、年金事務所で相談してください。

数々の免除・納付猶予制度があります

保険料免除制度、保険料納付猶予制度ともに利用する場合は、住所のある役場や年金事務所で手続きをしてください。

申請に必要な書類はどちらも「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」だけです。

保険料納付猶予制度とは、前年所得が少ない場合に国民年金の納付を猶予してもらえる制度です。

2016年6月までは対象年齢が20歳から30歳未満でしたが、2016年7月からは上限が50歳に拡大され、若年者以降も対象となっています。

納付猶予制度を利用すると、年金の未納期間としてカウントされず、強制徴収の不安がなくなります。

年金の受給額には反映されませんが、年金の未納期間としてカウントされないのは助かります。

老齢年金の場合、受給資格期間は10年以上になり、納付猶予中も受給資格期間に含めることができます。

なお、保険料納付猶予の対象になる所得額に条件があって次の通りです。

  • (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

単身の場合は所得57万円、年収にすると給与所得控除の65万円を足して122万円です。

また学生の場合は、在学中は納付を猶予してもらうことができます(学生納付特例制度)。

ただし、学生本人の所得審査が必要になります。

保険料納付免除は、年金額への反映があります。

全額免除になると、納める保険料は0円ですが、将来もらえる年金は全額納付したときの年金の半額となります。

長い老後のことを考えると、可能なら年金保険料は全額支払う方が安心できます。

一部免除になる場合の本人・配偶者の前年の所得基準が次のように決まっています。

  • 4分の3免除 78万円+扶養親族等控除+社会保険料控除など 78万円(年収143万円)以下
  • 半額免除 118万円+扶養親族等控除+社会保険料控除など 118万円(年収183万円)以下
  • 4分の1免除 158万円+扶養親族等控除+社会保険料控除など158万円(年収223万円)以下

特別な場合として、配偶者からの暴力による特例免除制度があります。

配偶者の暴力により住所が異なる場合は、配偶者の収入にかかわらず申請することができます。

本人の前年度所得が一定以下ならば、本人が申請書を提出することで保険料の全額あるいは一部が免除されます。

ただしこの時は、世帯主(父母などの第三者)が所得審査の対象となる場合があります。

最後に

国民年金は、納めた総保険料の1.9倍から2.4程度の高い返戻率(へんれいりつ)の制度です。

もちろん、民間の年金保険でこのような素晴らしい返戻率の保険はできません。

年金制度が破綻するから、保険料は納付しないと考えている人は、この制度の利点が全くわかっていません。

また未納者は、マイナンバー制度が取り入れられることにより、容易に把握されるようになって来るでしょう。

定年後になると良くわかりますが、夫婦で老齢基礎年金として年に150万円程度が支給される制度は、受け取る側としてもとてもありがたいことです。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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