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長寿社会への備えに分配型投資信託をおすすめできない3つの理由

もし分散型投資信託で老後の備えをするための資産を育てようというのであれば、おすすめできません。

老後の生活費が2000万円不足するとした金融庁の審議会の報告書が世論を騒がせました。

この報告書には日本の長寿化によって、会社を定年退職した後の人生が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になるという試算でした。

金融庁の主張は、公的年金制度に頼れないのであれば、資産運用が重要性だということを述べています。

SNSをはじめとした世論では、年金だけでは足りないのかと年金制度を批判する声も多くあがりました。

国会でも麻生大臣が報告書を拒否するという騒ぎになりました。

しかし金融庁の報告書の主張である長寿社会だからこそ、資産を形成するための投資をするべきだという主張は間違っていないでしょう。

そんな長寿社会のための備えで資産を形成する目的なら、お小遣いや年金が振り込まれるという分配型投資信託は不向きです。

資産形成に分配型投資信託が不利な理由をご紹介します。

分配型投資信託は年金とお小遣いの代わりに本当になるの?

分配型投資信託は、過去に多くの金融機関が積極的に販売していたタイプの投資信託です。

分配金が定期的に受けとれることから、年金の代わり・お小遣いの代わりになると考え、保有している投資家も珍しくありませんでした。

分配金が受けとれること自体は嬉しいものです。しかし分配金を受けとることは資産形成の遠回りになってしまいます。

また分配型投資信託は原資をとりくずしているタコ足配当であることも珍しくありません。

分配金を受け取っていたと思いきや、実は資産形成のために積み立てていたお金を取り崩して分配金にまわしているだけのことも多かったのです。

近年では、分配型投資信託は金融機関に有利な手数料体系と信託報酬なのではという批判が、金融の専門家などから多く指摘されるようになりました。

資産形成にはパッシブファンドのETFの積立、しかも配当を再投資または出さないものが有利だという主張も最近ではよく聞くようになりました。

なぜ資産形成には分配金を出さないパッシブファンドが有利だと言われているのか理解するためにも、分配型投資信託の特徴を理解した方が良いでしょう。

分配型投資信託は金融機関が儲かる金融商品

分配型投資信託を過去に多くの金融機関が勧めてきた理由は、単純に手数料・信託報酬を高く設定して販売しやすかったからだと言われています。

配当金が出ることをセールストークにして販売もしやすく、過去に多くの個人投資家が分配型投資信託を保有していました。

「元本払戻金」と呼ばれている元本を取り崩した分の分配金があります。昔は「特別分配金」という名前でした。

多くの投資家がよく分からないまま「ボーナスのようなもの」と誤解しそうな名前がつけられていました。

金融庁の指摘で「特別分配金」を「元本払戻金」と表記するように命じられたのも、多くの投資信託の中身が分かりづらかったからです。

金融機関の多くは、過去に投資家に中身が見えづらく、仕組みも分かりにくい投資信託を積極的に販売していました。

分配型投資信託は資産形成したい人には向いていない3つの理由

分配型投資信託は少なくとも資産を形成し育てていくことには不向きな金融商品だと言われています。

その理由は主に以下の3つです。

理由1:分配型投資信託は複利効果が見込めない

配当を再投資することで複利効果が期待できます。

しかし配当をそのまま受け取ってしまうと複利効果は期待できません。

分配型投資信託は配当を再投資にあてない単利の投資になってしまいます。

元本にだけ利子がつく単利と複利では大きな差が生まれます。

特に資産運用の期間が長ければ長いほど単利と複利では大きな差がつきます。

単利と複利ではどれぐらい差がつくのでしょうか。

例えば単利1%で100万円を運用した場合は、20年後に120万円になります。

しかし複利1%で100万円を運用すると、20年後に122万円以上になります。

分配型投資信託は資産を形成するという意味では単利での運用となるため不利です。

理由2:分配型投資信託は元本を削って分配している可能性がある

分配型投資信託の多くが元本を削って分配していました。

過去に毎月分配型投信の大半が分配金の一部として元本を払い戻ししていることが話題になりました。いわゆるタコ足配当です。

運用がうまくいっていないにも関わらず、資産価値が下がっている投資信託が無理に高い配当金を出し続けると、元本を取り崩して支払うことになってしまいます。

理由3:分配型投資信託は分配金の受け取りに税金がかかる

分配金を受け取ると税金がかかります。

配当を再投資に回す、配当を出さないタイプの投資信託の方が、分配金を出すたびに税金が発生してしまうタイプの投資信託よりも資産形成において有利です。

長期投資では配当金を受け取らずに再投資に回す、そもそも分配金を受け取らない方が大きく資産を育てることができます。

金融庁にも批判される分配型投資信託の現状

金融庁のレポートでも分配型投資信託は批判されました。

販売会社が顧客に十分情報を提供した上で顧客が商品選択をしているのか疑問に残るというのが理由です。

金融庁の平成28年度の金融レポートで、分配型投資信託が顧客ニーズを確認しないまま行われている可能性を指摘したのを機に、投資信託の販売額から毎月分配型の投資信託の割合は大きく減少しました。

ちなみに金融庁の『つみたてNISA早わかりガイドブック』にも毎月分配金を受け取ることは長期の運用には向きません!とイラスト付きで解説されています。

「分配金を受け取らずに運用を継続すると、運用で得られた利益が更に運用されることで、利益が増幅していく効果(複利効果)が期待できます。複利効果は投資期間が長いほど大きくなります。」

と書かれています。

分配型投資信託は長期の資産形成には向かないと金融庁が公式見解として示しているのです。

老後資金が2000万円不足することを指摘した金融庁のレポートも、中身を確認してみると長寿化社会では年金だけでは足りないから投資をするべきだという主張です。

年金制度が良いか悪いかは置いておいて主張としては筋が通っています。

参考:金融庁 つみたてNISA早わかりガイドブック

日本人の金融リテラシーの向上も課題

日本人は学校でアメリカなどのように金融リテラシーや投資について学ぶ機会がほとんどありません。

そのため分配型投資信託のタコ足配当や単利と複利の長期運用の差なども理解しないまま、分配型投資信託を持っていた人も多かったのではないでしょうか。

ちなみに金融庁の公式ページは投資をはじめる際に一読する価値がある内容になっています。

参考:金融庁

分配型投資信託の仕組みを理解して投資しているなら良いのですが、長期での資産形成に向いていないことを理解しないまま保有すると後悔する原因になります。

最近は良心的な投資信託も増えてきた

投資信託は信託報酬が高く、投資家に不利で役に立たないものばかりかといえば、そんなこともありません。

例えば信託報酬を安く設定したインデックス型の投資信託や配当を再投資する投資信託などもあります。

ETFなどでも投資家にとって良心的な信託報酬の安いものもあります。

資産を形成するという目的ならば、目先の分配型投資信託(特に毎月、分配金を出すもの)は避けた方が良いでしょう。

まとめ

分配型投資信託は資産を形成するための長期投資には向きません。

複利効果がない、元本を削って分配している可能性がある、分配金に税金がかかるなどの理由があります。

金融庁も分配型投資信託が顧客のニーズを満たしていないと指摘しています。

確かに分配金は年金、お小遣いの代わりに感じることができるかもしれません。

しかし長期で資産を形成するという目的には少なくともあっていないのです。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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