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中国IT企業BAT(百度・アリババ・テンセント)の実力と購入方法

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)が世界を席巻する中で中国のIT業界は独自の発展をたどってきました。

中国は最近はキャッシュレス化も進み、日本でもファーウェイのスマートフォンが売られ、深センのドローンも有名です。

近年の中国は進んでいるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

しかし観光客として中国本土に行くとGmailが自由に使えない、LINEやメッセンジャーも利用できないなど、日本と同じように自由にサービスが利用できない現実に直面します。

リモートワークで働いている方は中国本土に行く際には注意が必要です。

中国では特殊な方法を使わなければ、米国や日本のITサービスが使えないのです。

しかし中国国内では中国独自のIT企業が中国本土の膨大な人口に支えられ発展を遂げてきました。

特に有名な中国IT企業群をBATと呼びます。

米国のGAFAだけではなくBATにも注目しましょう。

BAT(百度・アリババ・テンセント)は日本のネット証券で購入可能

  • Bの百度(バイドゥ)はADRです。ティッカーシンボルはBIDUです。
  • AのアリババはADRです。ティッカーシンボルはBABAです。
  • Tのテンセントは香港株です。証券コードは700です。

いずれも日本の大手ネット証券で米国株と同様に購入できるADRまたは香港株として購入可能です。

日本の米国株取引でよく使われるSBI証券、楽天証券、マネックス証券のいずれでも取り扱いがあります。

中国で独自のIT企業が生まれる背景

中華人民共和国の本土は、アメリカや日本とは異なる特殊な背景があります。

中国は外資系のIT企業のサービスに制限をかけています。つまり情報統制されているのです。

そのため中国でアメリカや日本のITサービスを利用しようとすると、これまでと同じように使えずに戸惑う人も珍しくありません。

中国では「金盾工程」という中国全土を網羅する情報検閲システムが整備されており、GoogleもFacebookもTwitterもLINEも制限されています。

しかし中国の上海などに行くと、若者はスマートフォンを他の国の若者と同じように閲覧しているのが分かるはずです。

中国にはGoogleがなくても代わりの検索エンジン百度があり、FacebookがなくてもSNSのWeChatがありますし、中国版のTwitterともいうべきWeiboもあります。

中国の情報統制が中国国外のIT企業を実質的に締め出してきた背景から、中国では独自のIT企業が発展しました。

また中国は個人のプライバシーをアメリカよりも尊重しない監視社会であるという側面があります。

そのためアメリカではできないこともできてしまいます。

アメリカではプライバシーの保護の要請が強いのですが、中国にはそのような制約もあまりありません。

そのためビックデータや個人情報を活用することで信用スコア社会をつくれるまでになりました。

中国の3大IT企業BATの概要

中国の社会背景が生み出した3大企業がBATと呼ばれる企業群です。

この3つは中国を代表する大手IT企業です。

投資家としても一般教養としても、中国を代表するBATの存在は覚えておいて損はないはずです。

百度(バイドゥ)

百度(バイドゥ)は中国の大手検索エンジンです。創業は2000年。

検索エンジンで世界1のシェアはGoogleですが、バイドゥは第2位の企業であると言われています。

そして中国国内ではGoogleよりもバイドゥのシェアは大きいのです。

ユーザー数は6億、1日に60億回の検索が行われていると言われています。

バイドゥは中国語の検索に強いことに加え、若者向けのコミュニティやマルチメディアのサービスも展開しています。

売上高は149億ドル、営業利益は23億ドル、純利益は40億ドルです。(記事執筆時点)

アリババ

アリババは中国のEコマース企業です。

淘宝網(タオバオ)というオンラインショッピングサイトが特に有名です。

中国のオンラインショッピング市場の7割以上が、タオバオがシェアをとっていると言われています。

また支付宝(アリペイ)という決済手段は日本でもよく見かけますが、この決済手段はアリババの提供するサービスです。

タオバオの支払いはアリペイが使われています。

ニューリテール戦略と呼ばれるEコマースと実店舗販売を融合した流通サービスも展開しています。

例えば中国の個人の小売店にビックデータでよく売れる品物の情報を提供します。

そして中国の既存の小売店をアリババの流通網に組み込むことに成功しています。

また生鮮スーパーの経営もしており、ECと実店舗の垣根を超えた企業へと成長しており小売業界でも注目を集めています。

売上高は399億ドル、営業利益は111億ドル、純利益は102億ドルです。(記事執筆時点)

テンセント

テンセントは「QQ」というインスタントメッセンジャーの企業から、今や中国を代表するITコングロマリットへと成長した巨大企業です。

現在では「WeChat」というSNSサービスの方でテンセントの存在を知っている人も多いのではないでしょうか。

SNSだけではなくゲーム企業としても有名です。

eスポーツで有名な「League of Legends」もテンセントの傘下のゲーム会社が提供しています。

また微信支付(WeChatPay)という決済サービスも、中国ではアリペイの後発ながらも広く浸透しています。

世界でも時価総額の世界ランキングでベスト10に入るほどの大企業です。

ちなみに中国本土の方のコミュニケーションをとる際は、WeChatかQQのアカウントを事前に用意しておくと便利です。

売上高は455億ドル、営業利益は142億ドル、純利益は114億ドルです。(記事執筆時点)

中国のIT企業の多くはADRとして米国上場

中国のIT企業の多くは米国市場に上場されています。

例えばBATでもバイドゥとアリババは米国市場でADRとして取引されています。

BAT以外にも中国の多くのIT企業が米国で取引できます。

例えばチーフ360(QIHU)は、アンチウイルスソフトの分野で中国を代表するIT企業ですが米国に上場されています。

新しい銘柄ならばピンデュオデュオ(PDD)というSNS型の通販サービス企業や、テンセントミュージック(TME)、電気自動車のニオ(NIO)なども注目されています。

また中国のネットフリックスと言われる動画配信のアイチーイー(IQ)なども見逃せません。

中国のIT系のADRの多くは、米国株と同じ感覚で日本のSBI証券や楽天証券、マネックス証券などでも取り扱っています。

米ドル建で取引もできるため、米国株投資家にとって中国のIT企業は投資しやすいアセットです。

米中貿易摩擦を過度に恐れる必要は本当にあるのか?

最近は米中貿易摩擦が注目されています。

日本の報道ではアメリカの経済制裁による不安が広がっている一方で、アメリカも経済の影響が大きいため、これ以上の制裁は厳しいのではないかという見方もあります。

米中貿易摩擦の市場に対する影響について十分に注意するにこしたことはありません。

しかし過度に米中貿易摩擦を恐れると、投資のチャンスを逃してしまう可能性もあります。

報道だけに惑わされずに、市場そのものを慎重にみる態度が必要でしょう。

米国株と同様に買えるADRと日本でも買いやすい香港株

BATでも例外的にテンセントは香港市場に上場されています。香港での証券コードは700です。

香港株は米国株と並び日本で取り扱いの多い外国株の一つです。

中国のIT企業の多くは米国のNASDAQに上場されています。

しかし香港上場のテンセントも日本のネット証券で買うことは難しくありません。

中国預託証券(CDR)の解禁にも注目

中国のIT企業は米国に上場されているため、中国本土の投資家が自国のIT企業に投資が難しいという状況です。

しかしCDRという仕組みを通して、上海市場で中国IT企業の多くが取引できるようになる可能性もあります。

まとめ

米国のIT大手の括りがGAFAならば、中国のIT大手の括りはBATです。

BATは検索エンジンのバイドゥ、Eコマースのアリババ、SNSを中心にしたITコングロマリットのテンセントの3つ。

中国本土の特殊な環境と要因から生まれた中国ならではのIT企業は、GAFAの参入が難しい中国市場で大きな存在感があります。

バイドゥ、アリババはADRとして米国株と同じような感覚で購入できます。

テンセントは香港株ですが、日本のネット証券から買うのは難しくはありません。


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記事の作者、田守正彦は記事で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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