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グローバルヘルスケア銘柄の紹介(主に配当株)

モトリーフール米国本社、2019年7月10日投稿記事より

ヘルスケアセクターは世界経済で大きな割合を占め、そしてさらに急成長しています。

世界的な高齢化が、主要ヘルスケア企業の長期成長を下支えするでしょう。

このポテンシャルは長期投資家にとって魅力的と考えられます。

10大ヘルスケア銘柄はそれぞれ時価総額が1,100億ドル(約11兆9,000億円)を超え、合計年間売上高は6,000億ドルに達する勢いです。

(訳注:以下では、グローバルヘルスケア銘柄の概況をまとめています。)

グローバルヘルスケア銘柄の中での成長株、配当株

世界的に進む高齢化を背景に、長期投資家にとってヘルスケア株への投資は優れた戦略となるでしょう。成長株としてはアボット・ラボラトリーズなどがあり、配当株としてはファイザーなどがあります。

なお、トップ10ヘルスケア銘柄の中では、アボット・ラボラトリーズのポテンシャルが大きいと考えられます。

新製品投入により今後利益が2桁増で伸びる可能性があります。

さらに、アボットは事業が分散されており、薬価基準改定に関連した政治リスクへのエクスポージャーが他社よりも低くなっています。

トップ10以外に何百ものヘルスケア銘柄があります。

中小型ヘルスケア銘柄のリスクは高いですが、より大きな成長ポテンシャルがあるでしょう。

10大ヘルスケア銘柄のリスク

なお、主要ヘルスケア株は大きなリスクに直面しています。

米国の健康保険制度改革の行方は、特に医療保険会社のユナイテッドヘルス・グループに脅威となる可能性があります。

健康保険制度の改革が大規模で薬価基準の改定などが含まれる場合、他のヘルスケア銘柄、特に医薬品メーカーにも悪影響を及ぼすでしょう。

(訳注:トランプ政権はこのほど、薬価引き下げを目的として提案してきた政策を撤回しました。当面は薬価基準設定には変化がないと見られ、ヘルスケア銘柄には追い風になると見られます。)

また、幾つかの銘柄はジェネリック医薬品やバイオシミラー(バイオ医薬品におけるジェネリック)との競争で売上高が減速する可能性があります。

ヘルスケア企業はさまざまな訴訟に直面する場合もあります。

特に、医薬品や医療機器などの信頼性に関する問題で、集団訴訟になるケースがあります。

それでも、10大ヘルスケア銘柄には潤沢なキャッシュフローがあるので、一時的な問題には十分対処できると考えられます。

10大ヘルスケア銘柄の詳細

2019年の10大ヘルスケア銘柄の詳細は以下の通りです(時価総額順)。表の後に各社の説明が続きます。

会社名(ティッカー名) 主力分野 時価総額 予想PER 予想配当利回り
ジョンソン&ジョンソン

(NYSE:JNJ)

医薬品、一般健康用品、医療機器 3,749億ドル 15.4倍 2.69%
ファイザー

(NYSE:PFE)

医薬品 2,389億ドル 14.4倍 3.27%
ユナイテッドヘルス・グループ

(NYSE:UNH)

医療保険 2,377億ドル 14.9倍 1.75%
メルク

(NYSE:MRK)

医薬品 2,112億ドル 15.9倍 2.59%
ノバルティス

(NYSE:NVS)

医薬品 2,094億ドル 16.5倍 3.11%
アボット・ラボラトリーズ

(NYSE:ABT)

医療機器、診断薬、医薬品 1,506億ドル 23.7倍 1.50%
メドトロニック

(NYSE:MDT)

医療機器 1,315億ドル 16.7倍 2.19%
サーモフィッシャーサイエンティフィック

(NYSE:TMO)

医療機器 1,156億ドル 21.9倍 2.77%
アムジェン

(NASDAQ:AMGN)

医薬品 1,112億ドル 12.4倍 3.18%
イーライリリー

(NYSE:LLY)

医薬品 1,084億ドル 17.41倍 2.25%

出典:主力分野は各企業の報告資料。時価総額、予想PER、予想配当利回りはYAHOO! FINANCE。2019年7月10日時点

ジョンソン&ジョンソン:最大かつ多角化したヘルスケア企業

ジョンソン&ジョンソンは時価総額最大のヘルスケア株です。

全世界で260以上の事業会社を擁し、事業部門は消費者向け商品、医薬品、医療機器の3つから成ります。

ジョンソン&ジョンソンの最大の売上部門は医薬品です。

2018年に11の医薬品がそれぞれ10億ドル以上の売上をあげており、アッヴィと共同販売している抗がん剤のImbruvicaが含まれます。

医療機器部門は2番目に大きい部門で、コンタクトレンズ、糖尿病治療製品、外科用器具およびシステムなど幅広い製品を扱っています。

消費者向け製品は他の部門よりも売上は少ないですが、さまざまなジョンソン&ジョンソンのブランド製品が含まれます。

バンドエイド、リステリン、タイレノール(鎮痛剤)、美容関連のニュートロジーナがあります。

ファイザー:世界最大の製薬メーカー

ファイザーは時価総額ではジョンソン&ジョンソンにかなり差がありますが、製薬部門で言うと世界最大です。

事業部門は「イノベーティブ・ヘルス」と「エッセンシャル・ヘルス」の2つです。

イノベーティブ・ヘルス部門は、処方薬市場向け新規医薬品およびワクチンの開発、製品化、および消費者向けヘルスケア製品の開発に集中しています。

ファイザーの医薬品10製品は、2018年にそれぞれ10億ドル以上の売上をあげています。

最も売れている医薬品は、Prevnar 13肺炎球菌ワクチンです。

急成長している医薬品としては、抗凝固剤Eliquis、乳がん治療薬Ibrance、免疫治療薬Xeljanzがあります。

エッセンシャル・ヘルス部門には、パテントクリフ(特許の壁・独占特許権切れ)の古い製品が含まれます。

また、ジェネリック医薬品やバイオシミラーなどが含まれます。

ユナイテッドヘルス・グループ:世界最大の米医療保険会社

ユナイテッドヘルス・グループは、世界最大の米医療保険会社です。

4部門に分かれていますが、医療保険事業の「ユナイテッドヘルスケア」部門が売上高の80%、利益の約半分を生み出します。

同部門は、米メディケア(高齢者向け公的医療保険)関連医療保険も扱っています。

しかし、急速に売上を伸ばしているのは「オプタムヘルス」部門で、予防医療および健康促進プログラムなどの健康関連サービスを提供しています。

また、病院向けにデジタル医療支払いを処理する金融サービス事業も行っています。

メルク:処方薬およびワクチン開発が主力、動物用医薬品も

メルクは処方薬およびワクチンの開発に注力していますが、数十億ドル規模の売上がある動物用医薬品事業もあります。

同社の医薬品部門が全売上高の約90%を占めます。

がん免疫治療薬Keytrudaがこの部門のトップ製品で、今後数年間は世界最大のブロックバスター(年間売上10億ドル以上)になる見込みです。

メルクは他に5つのブロックバスター製品を有しており、糖尿病薬Januviaが含まれます。

メルクはさらに、今後数年以内にブロックバスターになるうる製品がパイプラインにあります。

動物用医薬品部門では、牛、豚、魚などの家畜向け抗生物質およびワクチン、ノミ・ダニ治療や犬・猫向けワクチンなどのペット用品が含まれます。

ノバルティス:眼科医療機器事業を分離し、製薬パイプラインに注力

スイスのヘルスケア大手のノバルティスは、2019年4月に眼科医療機器事業のアルコンを分離したため、現在は「イノベーティブメディスン」部門と「サンド」部門の2部門に分かれます。

イノベーティブメディスン部門は、処方薬の開発・販売に注力しています。

2018年時点で15のブロックバスター製品を有しており、多発性硬化症薬Gilenya、免疫薬Cosentyxなどが含まれます。

そして、さらなるブロックバスター製品の開発が進んでいます。

サンド部門は、ジェネリック医薬品、抗感染薬、バイオシミラーを扱っています。

アボット・ラボラトリーズ:バイオ医薬品のアッヴィを分離し、医療機器に集中

アボット・ラボラトリーズは数年前まではもっと上位に位置していましたが、2013年にバイオ医薬品のアッヴィを分離したため、ランクは下がりました。

なお、アッヴィの時価総額は1,006億ドルなので、トップ10に迫っています。

アボットには4つの部門があり、売上が最も大きいのは心血管および神経調節関連製品部門で、慢性疼痛および運動障害を管理するための神経調節装置、心不全および人工心臓関連装置を含みます。

売上高で2番目に大きい部門が診断分野で、診断関連の研究開発システム、呼吸器疾患・HIV・熱帯関連病向けの早期診断製品などを販売しています。

売上高が3番目の部門は栄養補助食品関連で、乳児用調製粉乳、栄養シェイクなどを販売しています。

売上高が4番目の医薬品部門では、広範なジェネリック医薬品を扱っており、抗炎症性疼痛緩和剤ブルフェンなどが含まれます。

ヘルスケアのグローバルメジャーの中でも、比較的高成長が期待されています。

メドトロニック:世界最大の医療器具関連企業

メドトロニックは世界最大の医療器具関連企業で、心臓・血管、低侵襲治療、修復治療、糖尿病の4部門からなります。

メドトロニックの総売上高の約38%は心臓・血管部門からで、ペースメーカー、心臓モニタリングシステム、大動脈弁、血管形成術用バルーンなどの製品が含まれます。

(訳注:心臓のペースメーカーで世界的に有名な企業です。)

低侵襲治療は利益率が高い部門で、外科用ステープル、ヘルニア修復用メッシュ、透析用カテーテルなどの製品を販売しています。

修復治療は売上が3番目の部門で、骨移植・脊髄治療用のプレートおよびスペーサー、神経刺激薬などの製品を販売しています。

2018年にMazor Roboticsを買収し、メドトロニックはロボット手術システムでもリーディング企業の一つとなっています。

サーモフィッシャーサイエンティフィック:バイオ分析・計測機器業界のリーダー

サーモフィッシャーサイエンティフィックは、バイオ分析・計測機器業界のトップ企業です。

広範な顧客基盤には、バイオテクノロジー企業、政府機関、病院、研究所、大学など40万以上の組織が含まれます。

同社には、ライフサイエンス・ソリューション、分析機器、特殊診断、研究所向け製品およびサービスの4部門があります。

研究所向け製品およびサービス部門が、サーモフィッシャーの全売上高の40%以上を占めています。

製品には、遠心分離機、化学薬品、試薬などが含まれ、研究所が必要とするほぼ全ての製品を供給しています。

ライフサイエンス・ソリューション部門は、生物学および医学研究で使用される試薬、器具、消耗品を販売しています。

サーモフィッシャーは、遺伝子解析装置などの遺伝子研究機器でもリーダーです。

同社はさらに、医薬品およびワクチン開発に必要な機器を製薬企業に提供しています。

分析機器部門は、クロマトグラフィーおよび分光分析システム、化学製造ラインプロセス監視システム、放射線測定システム、電子顕微鏡などを扱っています。

アムジェン:10大バイオ銘柄の一つ

アムジェンは10大バイオテクノロジー銘柄の一つでもあり、そして10大ヘルスケア銘柄の一つでもあります。

他の巨大ヘルスケア企業と異なり、1つの事業部門しかありません。

アムジェンは7つのブロックバスター製品を擁していますが、幾つかの医薬品の売上は減少しています。

免疫治療薬Enbrelは米国で激しい競争に直面しており、骨髄刺激薬Neulastaと貧血治療薬Epogenはライバルのバイオシミラー企業の台頭で市場シェアを失いつつあります。

しかし、アムジェンには売上が引き続き伸びている医薬品がいくつかあります。

特に、骨粗しょう症治療薬Proliaは依然として大きなヒット商品です。多発性骨髄腫薬のKyprolisはブロックバスター製品になりつつあります。

白血病薬Blincytoと片頭痛薬Aimovig(ノバルティスと共同販売)も将来ブロックバスター製品になる可能性があります。

イーライリリー:糖尿病薬市場のリーダー

イーライリリーは糖尿病薬市場のリーダーで、ブロックバスター製品のTrulicity、Humalog、Humulinを持っており、他の2つの糖尿病薬であるBasaglarとJardianceの売上も急増しています。

糖尿病以外で売上が急速に伸びているのは、乾癬性関節炎薬のTaltzです。なお、オンコロジー(がんなどの腫瘍学)医薬品群の業績は今一つです。

抗がん剤のCyramzaとVerzenioの売上は伸びています。

イーライリリーは2019年初めにLoxo Oncologyを買収し、がん治療薬Vitrakviを製品ラインナップに入れました。

このがん治療薬は、2024年までに年間売上高10億ドルをもたらす可能性があります。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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アルファベットのエグゼクティブであるSuzanne Freyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Keith Speightsは、アッヴィ株、アルファベット(A株)、ファイザー株を保有しています。モトリーフール社は、アルファベット(A株)とアルファベット(C株)を保有し、そして推奨しています。モトリーフール社は、アムジェン株、ジョンソン&ジョンソン株、Roper Technologies株、ユナイテッドヘルス・グループ株を推奨しています。

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