The Motley Fool

健康寿命が延びることで資産寿命も延ばす必要がある?「金融ジェロントロジー」の考え方について

日本は高齢社会で、現在60歳の4人に1人が95歳まで生きる「長寿化」の恩恵と問題に直面しています。

高齢社会になる中で過去の資産運用の常識や運用方法は、現代社会に対応しているとは言い難くなってきました。

そこで注目されているのが「金融ジェロントロジー」という学問です。

ジェロントロジーとは日本語で「老年学」という意味で、長寿が社会や経済に与える影響を医学、心理学から研究する学問のことです。

これに金融を加え、長寿社会の金融の在り方を考えるのが金融ジェロントロジーです。

金融庁が公表した金融行政方針にも盛り込まれており、資産運用を考えるうえで意識しておきたい視点です。

高齢社会の金融・資産運用の在り方を考えてみましょう。

健康寿命が延びたことで資産寿命も延ばす必要が出てきた

健康寿命が延びたことで資産寿命も延ばす必要が出てきました。

単純に言えば高齢社会で老後も延びてしまったのです。

老後が単純に延びるわけですから、過去の日本の寿命を基準に資産運用をしては不都合が生じるのも当たり前です。

長寿化した今の社会を生きるための働き方について考える機会も、働き方改革の影響で増えています。

資産運用も長寿化社会に合わせて変えていかなければなりません。

金融機関も投資家も共に長寿化に適応していかなければいけない時代です。

金融庁にも注目される金融ジェロントロジー

金融庁が公表した金融行政方針にも金融ジェロントロジーのことが盛り込まれています。

資産運用をするにあたり、金融ジェロントロジーは旬なキーワードのひとつとなっています。

ヘルスケアと同時に、「ウェルスケア」への関心が今後も高まるでしょう。

  • ヘルスケアは人的資本のケア
  • ウェルスケアは金融資本のケア

ということになります。

人的資本は長寿化社会とはいえ、高齢になればなるほど若いときのように働くことは難しくなってしまいます。

だからこそ金融資本でうまくカバーしていくことも大切です。

健康寿命が延びる時代だからこそ、資産寿命を延ばすための対策もしなければいけません。

金融機関側に求められる対応

金融機関側も長寿化社会に対応した資産運用・管理のサービスの提供が求められています。

また金融と非金融の垣根を超えた連携もサービスの質を向上する際に必要なのではないかと言われています。

ネット証券も対面営業の金融機関も、高齢社会に適応したサービスが求められていきそうです。

認知機能の低下した高齢者への対応

第一生命研究所のレポートで「認知症患者の金融資産が200兆円の未来」が2018年に発表されました。

同レポートによると、認知症患者が保有する金融資産が、2005年末の段階では約100兆円でしたが、2017年で約143兆円、2030年には215兆円に達するという内容です。

認知機能が低下した高齢者層には、無視できないほど大きな資産があり、今後も規模は大きくなっていきます。

そんな人達に対する投資家保護、場合によっては認知症になる前の生前贈与で「老老贈与」、「老老相続」などの今後問題になりうる出来事に対し、金融ジェロントロジーにしっかり取り組める金融機関はますます求められるようになっていくのではないでしょうか。

取引する金融機関を選ぶ際に、高齢者への対応やサービスの在り方は今後重要視されていくかもしれません。

高齢化に対応した資産運用の提案

老後が延びるわけですから資産寿命も延ばさなければなりません。

そのため、インデックスの積立期間を延ばす提案や、高齢者一人ひとりに見合ったリスクの金融商品の運用の提案なども、今後金融機関の付加価値として注目されるのではないでしょうか。

ワンストップ型サービスが今後、増えていく可能性

金融庁の金融審議会の議事録でも「ワンストップ」というのがキーワードになっています。

金融や資産運用と健康・生活・ライフラスタイルは切り離せない関係です。

ワンストップのサービスにはプライベートバンクが存在しますが、ITやAIを活用したロボアドバイザーなどのテクノロジーの進化によって、プライベートバンクに近いワンストップ型のサービスも今後増えていく可能性があります。

資産運用と同時にライフスタイルの提案や相続、場合によっては不動産の住み替えや、地方・海外移住までも含めた提案ができる金融機関が支持される時代が来るかもしれません。

特に米国では資産の増やし方だけではなく、支出の減らし方も注目されています。

無駄な支出や出費をおさえるための助言も求められています。

総合的な視点からのファイナンシャルプランニングの提案ができることも、金融機関の付加価値として注目されるのではないでしょうか。

個人でできる高齢時代の資産運用

個人でも高齢時代に備えた資産運用を意識しなければいけない時代です。

例えば将来の自分を支えるためにiDeCoで所得控除を活用し、節税しながら資産を積立ていく、今ある年金制度を前提に人生設計をしない、資産形成ステージと退職ステージまでの長期視点を見据えた資産運用がますます必要になっていきそうです。

また人口動態では日本は今後、少子化が進んでいくことが予想されます。

しかしアメリカなど世界に目を向けると、先進国でも人口が増え続けており、労働生産人口の観点から有利な国もあります。

資産のポートフォリオを日本に一点集中せずに、米国株などを保有することでカントリーリスクを分散することもできます。

親世代の資産運用を若い世代の目線でも見守るべき

「老老介護」という言葉も最近では珍しくなくなりました。

認知症の親世代との付き合い方に悩む子世代も多いのではないでしょうか。

親世代がネット証券や銀行で金融資産を保有したまま認知症が進んでしまい、親世代の資産が行方不明になるなどの問題もよくあります。

親世代の資産がどうなっているのかを、認知症が進む前にしっかりと棚卸しし、確認しておくことで事前にトラブルを回避することができます。

また別居している親世代が、リスクが分からないままリスクの高い金融商品を安易にすすめられるがままに買ってしまっていたということも珍しくありません。

認知症患者の金融資産が200兆円を超える時代です。

家族で資産のあり方を話し合う機会も積極的につくっていく必要が出てきています。

老後を短くし現役の期間を延ばす時代

生涯現役で老後を短くすることも個人でできる対策の一つです。

年金と資産運用だけで老後の生活費を全てカバーすることは、現実的に今後ますます難しくなるのではないでしょうか。

老後が長くなることで資産寿命を長くしなければいけないという課題が生まれました。

しかし資産寿命を長くするだけでは人生100年時代を生きぬくことは難しいでしょう。

日本は労働人口が少なく、政府も働き方改革を進め、労働人口を増やすための施策を次々に打っています。

そのため働き方は昔よりも今後、多様化していくのではないでしょうか。

働き方の多様化で働く機会があれば現役の期間を延ばしやすくなります。

まとめ

新しい学問・研究課題ですが、高齢社会で金融ジェロントロジー(金融老年学)が注目されています。

人生100年時代と言われる現代社会では、過去の資産運用の常識では不都合なところや追いつかないところもたくさんあります。

金融機関も金融ジェロントロジーの知見に基づいたサービスが今後求められるようになるでしょう。

個人も高齢社会にあった資産運用とライフスタイルをとることで長寿化時代の人生を乗り切らなければいけない時代になりました。

高齢社会に適応した金融サービスを選び、健康寿命と資産寿命を延ばしましょう。


フリーレポート配信

モトリーフールの日本進出にあたって日本の投資家、また、これから投資を始めたい方に向けて無料で「株式投資にどう臨むか -スペシャルフリーレポート-」を配信しております。

また、テクノロジー分野に投資したい投資家として知っておくべき情報も無料で配信しております。「人工知能というテクノロジーの「第三の波」が、日本の年間GDP以上の付加価値を生み出す」こちらからご覧ください。

ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。

記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

最新記事