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大手ネット証券も参戦する、ダークプール市場のメリットとデメリット

「ダークプール市場」という言葉をご存知でしょうか。

2019年6月半ばにはマネックス証券もダークプールを使うSOR注文サービスを開始したことを発表しました。

株取引の売買がマッチングされるのは証券取引所だけではありません。

取引所の外で顧客の売買注文を引き合わせる取引のことをダークプールと言います。英語ではDark pool of liquidityです。

ダークプールの中は真っ黒で何も見えません。

そのため見えない流動性と訳することができるでしょう。

そしてダークプールをうまく使い投資家の取引を有利にする仕組みがSORシステムです。

大手のSBI証券や松井証券、FinTech企業のスマートプラスなどもダークプールを活用した証券サービスを提供しています。

特にスマートプラスのSTREAMはダークプールを活用したコミュニティ型株取引アプリとして注目を集めています。

ダークプールのメリットとデメリットを確認し、投資に活用できるかどうかを検討してみましょう。

ダークプールのメリット

ダークプールのメリットとデメリットをまずは確認しましょう。

ダークプール自体は新しいものではなく昔からありました。

大口の機関投資家が大きな注文をすると取引所では価格が大きく動いてしまいます。

そのため大口注文をさばいたり流動性を得たいときに使われます。

そして個人投資家もダークプールにアクセスできることでメリットがあります。

手数料が優遇される可能性がある

ダークプールをうまく活用できると手数料を抑えることができます。

例えば、大手のSBI証券ではダークプールにも取引をマッチングできるSBBO―Xというサービスで注文する場合、手数料が優遇されます。

またダークプールで取引所よりも有利な条件で取引が約定できる可能性もあります。

個人投資家も東証などの取引所以外の選択を持つことで有利になる可能性が広がります。

取引所よりも呼び値が細かい

ダークプールの呼値は通常よりも細かく設定されています。

そのため流動性が高いことが個人投資家のメリットになることもあります。

東証の呼び値とダークプールでの細かい呼び値に違いがあることで、個人投資家にとって取引の可能性が広がります。

うまく有利な方に約定できるなら、ダークプールの東証とは異なる細かい呼値自体がメリットになることもありえます。

ダークプールのデメリット

ダークプールにはデメリットもあります。

個人投資家に新たな可能性を与えるダークプールですが、個人投資家保護の観点から問題があるのではないかと言われることがあります。

情報開示義務がない

ダークプールには証券取引所での売買のような透明性にかけているという指摘があります。

そのため個人投資家の注文が不利な形で約定してしまう可能性があります。

ダークプールでの取引状況を記録する義務も情報開示する義務もありません。

そのため知らないうちに被害や損にあってしまうこともありえます。

米国では、過去にダークプールを手がける事業者が秘密の顧客情報取引を外部に漏らしていたことで、守秘義務違反・罰金などの問題もありました。

ダークプール自体に問題はありませんが、ダークプールの運用に不正などがあった場合に個人投資家が不利益を被る可能性もありえるのです。

金融庁の規制の可能性もある

金融庁がダークプールのサービスへの規制を議論しているという報道もありました。

ダークプールの情報開示義務がない点を個人投資家保護の観点から問題視しています。

ダークプールを利用したサービス自体が何かしらの規制を受け、個人投資家が自由にアクセスできなくなる可能性も捨てきれません。

金融庁は運営会社の情報や、ダークプールに参加する投資家の情報開示の義務化、また注文をマッチングさせた時点での参照価格の記録や保管など、さらには市場価格より有利な価格で約定するように規制する方針です。

規制の可能性もありますが、むしろ投資家が保護されダークプールが適切な形で使われるようになるルールづくりが進むと考えられるため、長期的に見るとポジティブな要素かもしれません。

ダークプールのメリットを生かすSORシステム

ダークプールのメリットを生かすのがSORシステムです。

SORはSmart Order Routingの略です。

注文がSOR によって東証、PTS市場、ダークプールのなかでもっとも投資家に有利な価格を自動的に選び約定するという流れが実現できます。

大手のSBI証券や松井証券、STREAMなどの証券会社がSORシステムを採用することで、有利な市場での取引の約定を実現することができます。

ダークプールで日本株の手数料ゼロを実現したSTREAM

ダークプールとSORのシステムをうまく組み合わせることで、日本株の取引手数料ゼロを実現したのが、FinTech企業のスマートプラスがリリースしたコミュニティ型投資アプリの「STREAM」です。

STREAMは日本株の取引手数料を無料を実現しました。

ダークプールで東証よりも有利な価格で約定した場合にのみ、投資家が得した分の半分を手数料として回収するビジネスモデルを採用しています。

SORで個人投資家が有利な約定をした場合にのみ手数料がかかるだけなので、実質手数料ゼロを実現しました。

STREAMはiDeCoやNISAに対応しておらず、日本株のみに対応という点では、米国株投資家にはあまり関係ないかもしれません。

しかしポートフォリオの一環に日本株を多少組み込むことはもちろん悪いことではありません。

大手証券もダークプールを活用

ダークプールを活用したサービスは大手証券でも個人投資家向けに取り扱うところが増えてきました。

例えばSBI証券のSBBO-Xや松井証券のベストマッチ、カブドットコム証券のSORなどです。

またマネックス証券も最近、ダークプールを活用するためにSOR注文を開始しました。

規模の大きい証券会社も、個人投資家向けのSORシステムとダークプールを組み合わせたサービスを次々に提供しています。

ダークプールを利用した取引は経験者向け?

代表的な証券会社はダークプールへのアクセスに制限を設けています。

例えば最近SOR取引を提供することを発表したマネックス証券では信用取引口座、またはオプション口座を開設したことがある人のみにダークプールへのアクセスをサービスしています。

SBI証券でも国内現物株式の取引経験1年以上という条件で、SBBO-XというSORシステムの利用ができるようになります。

まとめ

ダークプールと呼ばれる取引所以外での株式の売買のマッチング機会があります。

証券会社でダークプールへのアクセスをSORシステムを通して提供するところが増えています。

ダークプールは投資家にとって有利になる取引の約定機会を増やせます。

一方で現在のところ情報開示義務がないなどの問題も指摘されています。

しかしダークプールが個人投資家に開放されることによって、投資家にとってより有利な約定条件や負担する手数料を抑えられるなどのメリットは大きいのではないでしょうか。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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