ETFを選ぶ時に重要なトラッキングエラーとは?発生する理由についても解説

インデックスファンドやETFは市場全体を丸ごと購入するのと同じで、分散投資の効果が高いと人気の金融商品です。
そのため、様々な指数をベンチマークとしたインデックスファンドやETFがあり、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。
トラッキングエラーは、インデックスファンドやETFを選ぶ時に重要な数字と言われています。
そこで今回は、トラッキングエラーとはどんな数字なのか解説します。
トラッキングエラーが発生する理由や、運用方法の違いにおける重要性についても解説します。
ぜひ、最後までご覧ください。
トラッキングエラーとは
トラッキングエラーとは、一般的に投資信託の値動きにおいて、ベンチマークとのかい離を指します。
トラッキングとは日本語で「連動性」という意味で、トラッキングエラーが大きいETFはリスクの高い商品といえます。
ETFは日経平均株価や東証株価指数等の動きに連動した運用成果を目指す投資信託です。
投資家にとってETFに投資する魅力の一つが、株価指数に連動する事で大よその値動きが読め、売り買いのタイミングを自分で判断できる点です。
例えば、東証株価指数に連動するETFを持っていて、しばらく好調だから持っていよう、株価指数が落ち込んでいるから売却しよう、といった方針が立てやすいです。
しかし、実際に購入したファンドの成績が、株価指数と全く一致するとは限りません。
売買のタイミングや偏りなど様々な条件が組み合わさった結果、ファンドの成績がベンチマークとズレてしまいます。
これがトラッキングエラーになります。
トラッキングエラーはパーセンテージで表示されます。
三菱UFJ信託銀行のレポートによれば、トラッキングエラーが2%だった場合、その投資信託の収益率は68%前後の確率でベンチマークの±2%の範囲に収まると発表されました。
仮に、ベンチマークよりも+2%だったら利益が多く手に入りますが、反対に-2%だったら利益が少なくなってしまいます。
トラッキングエラーの数値が高いほど、投資信託の成果が予測しづらくなるのです。
参照:三菱UFJ信託銀行
トラッキングエラーが発生する理由
トラッキングエラーが発生する理由は主に3つあります。
ファンドの売買コスト
インデックスファンドやETFはベンチマークに合わせるように株式を売買します。
この売買に対して取引コストが発生します。
株価指数などのベンチマークは、計算上の数値のため、取引コストには含まれていません。
そのため、インデックスやETFの運用成績は、ベンチマークに対して取引コスト分がマイナスに働きます。
また、国内で取引しているインデックスファンドやETFの中には、海外を対象にした物もあります。
海外の株式を購入すれば、取引コストの他に課税コストも発生するため、更にマイナス分が増える事になります。
コストが増えるほど、実際の運用成績はベンチマークから離れていきます。
ファンドの銘柄選定
インデックスファンドやETFがベンチマークに連動した運用成績を出す為には、市場と同じ構成の銘柄を選択する必要があります。
極端な話、ベンチマークを構成する銘柄を全て同じウェイトで保有すれば、ベンチマークに限りなく近くなります。
しかし、売買にはルールがあります。
株式によって売買単位が100株・1000株と違っていたり、他の保有者との兼ね合いもあってウェイトを揃えられない場合があります。
そのため、ベンチマークと同じ銘柄を選定する事は難しく、ベンチマークとズレが生じやすくなります。
ファンドの資金流出入
インデックスファンドやETFは、投資家が売買できる金融商品です。
仮に保有しているETFを売却しようとしたら、ファンド側は投資家の為に解約資金を用意する必要があります。
保有している株式を売却するのですが、タイミングや制約によって株式の売却がスムーズにいくとは限りません。
仮に、投資家が売却を希望した時点より、ファンドが株式を売却できた時に株価が下がっていればファンドは不足分を補う必要があります。
そのために更に株式を売却する必要があるため、ファンドは余分に株式を保有しておく必要があります。
市場のウェイトと違ったポートフォリオを組む事によって、ベンチマークからかい離しやすくなります。
ファンドがベンチマークに連動した運用成績を出そうとしても、コストや銘柄選定、資金流出入などの問題によってトラッキングエラーはどうしても発生するのです。
トラッキングエラーは重要視すべきなのか?
パッシブ運用の場合
市場平均や株価指数と同程度の運用成績を目標とした投資運用方法をパッシブ運用と呼びます。
インデックスファンドやETFはパッシブ運用に含まれます。
パッシブ運用はベンチマークとの連動を出来る限り0にするのが目的となっています。
そのため、トラッキングエラーが高いインデックスファンドやETFはパッシブ運用の目的から言えばリスクの高い金融商品と言えます。
とはいえ、上記にもあるようにトラッキングエラーが0のパッシブ運用は現実的に不可能です。
トラッキングエラーが少ないファンドを探してみましょう。
アクティブ運用の場合
アクティブ運用はベンチマークを上回る運用成績を目標とした投資運用方法になります。
主にトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの2種類がありますが、どちらも共通して言えるのは、ファンドマネージャーの能力に大きく依存するという点です。
アクティブ運用の場合は、ベンチマークを上回る事を目標としているため、トラッキングエラーが高いほど優秀と言えます。
そのためアクティブ運用のファンドを購入する際はトラッキングエラーが高い物ほど人気でしたが、問題点もあります。
ほとんどの株式や債券は上昇と下降を繰り返して価格が変動します。
常に右上がりで上昇し続けるといった夢のような話はありません。
アクティブ運用においてベンチマークを上回るという事は、ベンチマークが下降した時の下げ幅も大きくなるという事です。
アクティブ運用はファンドマネージャーが銘柄を選定します。
下げ幅が大きいという事は、そのまま株価が下落する可能性があり、場合によっては株価が戻らなくなるという場合もあり得ます。
パッシブ運用だったらベンチマークから大きくかい離する銘柄は機械的に損切りで来ますが、アクティブ運用はファンドマネージャーの判断にかかってきます。
もし、ファンドマネージャーが損切りせずに放置すれば、そのファンドは大きな損を出してしまう可能性があります。
アクティブ運用においてトラッキングエラーが高いのは優秀とも言えますが、リスクも高いと覚えておきましょう。
国外のトラッキングエラー
海外ETFは上記でも説明したように、売買コスト以外に課税コストなどが発生するため、国内ETFよりもトラッキングエラーが発生しやすいです。
また、海外ETFでもアメリカなどの先進国ETFよりも、マレーシアなどの新興国ETFのトラッキングエラーがより高くなる傾向にあります。
新興国ETFの場合は、上場している企業の数が違く、大企業が市場を占めるシェアが違います。
仮に、大企業の経営が傾けば新興国の市場全体が落ち込むため、新興国ETFは値が動きやすいのです。
そのため、トラッキングエラーも高くなりやすいです。
まとめ
以上が、トラッキングエラーの解説になります。
インデックスファンドやETFを選ぶ際はトラッキングエラーの少ない物を選ぶべきです。
また、国内ETFよりも海外ETF、その中でも新興国ETFはトラッキングエラーが高く、ETFとしての魅力は少ないです。
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