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住民票は抜く?抜かない?海外に転居するときに知りたい年金と税金

海外に転居する際に日本の住民票を抜くかそのままにするかで迷う人も多いのではないでしょうか。

駐在員、現地採用、投資家、リモートワーカー、ロングステイヤー、留学、ワーキングホリデーなど様々な立場の人が国境を越えて生活することが当たり前の時代になりました。

タイやフィリピン、マレーシアなどで海外に長期滞在できるビザを取得する人も今では珍しくありません。

日本と海外の二拠点生活をする場合でも住民票をどうするかは悩むところです。

住民票を抜くことでどうなるかを正しく知ることで自分の状況にあった選択をしましょう。

1年以上海外にいる場合、住民票をどうする?

1年以上の海外転勤、出張、旅行などの際に提出する書類を海外転出届といいます。

海外転出届を提出すると同時に、住民票も転出することになります。

これが海外転居の際に住民票を抜くという行為です。

海外に長期的に滞在する人や二拠点で生活する人は住民票を残しておくかどうかを悩む人が多いのです。

住民票を抜いたかかどうかで

  • 国民年金
  • 国民健康保険
  • 住民税
  • 日本国内の金融機関の取り扱い

に影響が出るからです。

住民票を抜くことで負担が軽くなることもあれば、日本居住者として受けていた恩恵の一部を受けられなくなってしまうこともあります。

そのため住民票を抜くかどうかはご自身の状況に応じて良く考える必要があります。

住民票は最寄りの市区町村の役所で海外に転居する旨を伝えれば簡単に抜くことができます。

海外に出る日付や航空券などがあると手続きもスムーズに進むでしょう。

住民票を抜いたら国民年金は任意加入か喪失

20歳以上〜60歳までの日本人が住民票を抜くと、国民年金に任意加入するか喪失(カラ期間)するかのどちらかになります。

  • 任意加入(国民年金を納める:障害基礎年金の請求権もある)
  • 喪失:カラ期間になる(国民年金を納めない:とりあえず年金を納める負担は当面ない、任意加入で年金を納めるより年金の受取り額は減る)

日本年金機構によると、海外に居住することになったときは国民年金は強制加入被保険者ではなくなります。

しかし任意加入することができるとされています。

これから海外に転居する人や、既に海外に居住する人が手続きする窓口は、日本国内で最後の住民票があった市区町村窓口か年金事務所です。

住民票を抜く場合は国民年金の任意加入をするかどうかの手続きをします。

任意加入で年金に入らない場合も手続きが必要になるため最寄りの窓口に行く必要があります。

任意加入する場合は海外に在住している間の病気やけがによる障害基礎年金で備えることもできます。

ただし国民年金は20歳以上65歳未満の日本人が加入対象です(義務は60歳まで)。

65歳以上でしたら2019年現在は加入対象ではありません。

住民票を抜き、任意加入しないと、帰国して転入手続きをするまでの期間はカラ期間として受給資格期間に含まれますが、年金額には反映されません。

公的年金を受け取るために必要な期間は10年です。

カラ期間も実は10年に含まれます。

また国民年金は2年以内ならば追納(後払い)することもできます。

参考:国民年金機構

住民票を抜いたら国民健康保険の加入義務がなくなる(自動的に脱退)

住民票を抜いたら国民健康保険の加入義務がなくなり、自動的に脱退することになります。

海外の渡航先の中には医療費が高いところもあります。

また海外で現地の保険に加入するかどうか、ご自身の健康の状況に応じて国民健康保険に加入しておく方が良い方もいるでしょう。

住民票を抜くと住民税・国民年金・国民健康保険料を納める義務がなくなりますが、医療費3割負担の恩恵を受けられなくなります。(一時帰国時に住民票を戻せば国民健康保険は再開できます)

日本と海外の二拠点生活で国民健康保険がなくなると困る方は住民票をあえて抜かないという選択肢もあります。

住民票を抜いたら翌年から住民税の納税義務がなくなる

住民票を抜くと住民税の支払い義務がなくなります。

ただし1月1日と183日ルールの2つが納税義務がなくなるかどうかの条件として重要です。

例えば、2018年12月31日に日本を出国する人は2019年度分の住民税を払わなくても良いのですが、2019年1月1日に日本を出国する場合は2019年度分の住民税を払う必要があります。

住民税は、その年の1月1日に住民票がある自治体から、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税されるからです。

そのため、もしも住民票を抜く場合は1月1日前に抜いておけば住民税の納税義務がなくなります。

ただし183日以上日本に滞在している場合は非居住者として認められず、後から納税通知書が送られてきて納税義務が発生します。

非居住者になると銀行口座・証券口座を場合によっては閉じなけければいけない

投資をする人に重要なのは日本国内の証券口座や金融機関です。

住民票を抜いて非居住者になると銀行口座・証券口座を閉じなければいけないところが普通です。

日本の金融機関、証券会社の口座は原則、日本居住者向けにサービスを行っているためです。

口座を閉じる必要はなくとも取引が制限されることが一般的です。

金融機関によって対応は異なるため住民票を抜く場合は個別に連絡して確認をしなければいけません。

住民票を抜くとiDeCoやNISAにも影響がでる

住民票を抜くとiDeCoやNISA口座にも影響がでます。

iDeCoの場合は海外赴任で厚生年金に加入していればiDeCoに続けることができます。

しかし国民年金の任意加入者・喪失者はiDeCoに加入できず、新規の掛金の拠出ができなくなります。

またNISAも認められれば出国5年までは口座自体を住民票を抜いても保有できますが、新規の買い付けはできません。

住民票を抜いても国政に参加できる在外選挙人名簿

在外選挙人名簿に登録申請し、満18歳以上の日本国民で最終住所地の選挙人名簿に登録されていれば、住民票を抜いて海外在住になっていたとしても日本の国政選挙の投票ができます。

海外の在外公館の窓口を経由して申請できます。

住民票を抜くメリット・デメリット

海外に転居する際に住民票を抜くメリット・デメリットを最後に整理します。

住民票を抜くメリット

  • 住民税の支払い義務がなくなる
  • 国民健康保険の支払い義務がなくなる
  • 国民年金の支払い義務がなくなる(任意で支払いは可能)

住民を抜くデメリット

  • 国民健康保険に加入できない
  • 日本の金融機関の利用に制限がかかる
  • iDeCoやNISAで新規のポジションを建てられなくなる

これらのメリット・デメリットを勘案して海外に転居・日本との2拠点生活などをする際は住民票の扱いを決めるべきでしょう。

もちろん海外にどの程度いるのかどうか、そもそも生活の拠点はどこなのかという実態に応じて適切な選択肢は異なるでしょう。

まとめ

海外に転居する際に住民票を抜くかどうかで国民年金・国民健康保険・住民税・日本国内の金融機関の取引制限、NISA、iDeCoの取り扱いが変わってきます。

国境のボーダーレス化が進む中、住民票を抜くべきかどうか悩む人も多いのではないでしょうか。

置かれている状況に応じてどのようにするべきかをメリット・デメリットを勘案してご自身に合った選択をしましょう。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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