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ファーウェイ問題が与える影響とは?トランプ政権の狙いも解説

2019年5月、トランプ政権はファーウェイ製品がセキュリティ上の問題があるとして、アメリカ企業との取引を禁止する大統領令を発布しました。

これによって、ファーウェイ製品はアメリカや日本から排除され、世界経済に混乱を生むと警戒されています。

そこで今回は、ファーウェイ問題が世界に与える影響について解説します。

ファーウェイとはどんな企業なのか、アメリカの排除方針に諸外国はどんな反応を示したのかも解説します。

ぜひ、最後までご覧ください。

ファーウェイとはどんな企業なのか

ファーウェイは中国に本社を置く通信機器メーカーになります。

1987年に設立すると、世界トップ通信企業の大半に製品やソリューションを提供する事で一気にシェアを獲得。

2019年時点だと、スマートフォンの出荷台数・シェアがともに世界3位で、サムスンやアップルに迫る勢いです。

ファーウェイの特徴に、研究開発が目覚ましい事が挙げられます。

売上高の10%以上を研究開発費につぎ込んでおり、最先端技術をいくつも獲得。

2008年から今日まで、国際特許出願件数が5位をキープしています。

どうしてファーウェイ問題が起きたのか

アメリカ政府との対立

ファーウェイとアメリカ政府の対立はトランプ政権よりも前から起きていました。

オバマ政権よりも前のブッシュ政権。2000年代から、ファーウェイはイラクのサダム・フセイン政権やアフガニスタンのタリバーン政権に、通信機器を支援しているという疑惑がありました。

2016年にはイラン、シリア、北朝鮮などのいわゆる反アメリカ国家との取引に関与しているとされ、アメリカ政府から召還を受けています。

特に問題となったのは、2012年にファーウェイと中国企業ZTEの製品が中国政府の指示の元、スパイ行為やサイバー攻撃に関わっているとアメリカ合衆国下院の諜報委員会は発表しました。

結果としてアメリカ政府は両社に輸出規制措置などを取りました。

トランプ政権の対応

オバマ政権からトランプ政権に移ると、ファーウェイに対する排除・自粛の動きは加速しました。

CEOの娘で副会長をカナダで逮捕させると、ファーウェイの製品はセキュリティ上のリスクがあると批判し、政府関連施設や軍での使用を禁止しました。

この動きは関連国にも及び、韓国では政府の通信にファーウェイの製品を使用しない方針となりました。

2019年5月には、アメリカ企業が安全保障上の脅威がある外国企業から通信機器を調達してはならないという大統領令に署名をしました。

これによって、ファーウェイは禁輸措置対象リストに登録され、アメリカ企業に製品を輸出できなくなりました。

トランプ大統領はこれほど強い排除を行う理由として、ファーウェイが中国政府の意向に従いスパイ行為をしている可能性がある企業だからと説明しています。

しかし、記事執筆ではそのような事実があったという報告はホワイトハウスから発表されていません。

そのため、トランプ大統領がファーウェイやZTEなどの中国企業に圧力をかけるのは、米中貿易摩擦や5G通信に関する牽制だと言われています。

ファーウェイ問題がもたらす影響

日本の場合

日本のスマートフォン市場はアップルが頭1つ抜けて首位を独占していました。

シェアの半分近くをアップルが独占し、次いでシャープ、ソニーといったメーカーが並びます。

しかし、2018年頃からファーウェイ製のスマートフォンがシェアの10%前後を占めるようになり、国内では3番手の地位に着いていました。

ファーウェイ製のスマホはカメラ機能が良く、なおかつ画面も綺麗という日本ユーザーが注目するポイントに特化していたこともあり、シェアは拡大すると予想されていました。

ところが、2019年5月の大統領令により、日本市場でもファーウェイの排除が始まりました。

ソフトバンクでは発売が予定されていたファーウェイ製の新型スマホを発売延期とし、KDDI、ドコモも同様の動きを示しました。

現在国内でファーウェイ製品を購入しようとすると一部家電量販店など、限定されています。

欧州の場合

欧州連合はファーウェイ製品の採用や流通に関しては、加盟各国の判断に任せると発表しています。

そのため、アメリカと友好関係にあるドイツは、アメリカの発表や方針を鵜呑みにせず独自の調査を行い、アメリカの主張は懐疑的であると判断して排除をしない方針を発表しました。

同様にフランスもファーウェイ製品を排除しないと決定しました。

諸外国の場合

アメリカに協調する動きを見せる国は少ないです。

例えば東南アジアのフィリピンはアメリカと同盟関係にありますが、ファーウェイ製品を使用して東南アジア初の5Gネットワークを構築。

モハマド首相は安全保障上の懸念よりも、最先端技術に取り組むファーウェイ製品を使い続けると宣言しました。

アフリカ連合は旧世代の通信網を敷設したファーウェイとの関係性を重視しており、5G回線もファーウェイに依頼する合意を6月に発表。

南米も同様の反応を見せ、ブラジルが真っ先に排除しないと発表をしました。

世界的な経済の動向

実質的な排除の動きを見せているのはアメリカと日本ぐらいですが、ファーウェイ問題は世界経済に大きなブレーキとなると懸念されています。

ファーウェイがアメリカ企業と取引できなくなるのが問題ではなく、アメリカ政府が中国企業の経済活動を阻害しているという点が問題になります。

このままファーウェイを排除する姿勢を変えなければ、中国側も対策を講じると予想されます。

ところが、トランプ政権の行動は早く、中国が自国内企業を優遇する政策を止めない場合は全輸入品目5400億米ドルに対して25%の関税を課そうと準備をしています。

中国経済において対米貿易は外貨を稼ぐ有力な手段となっています。

ここに関税を掛ければ、中国が外貨不足に陥ると見越した戦略と言えます。

これまで好調を誇っていた中国市場が失速した場合、関連した企業も少なくないダメージを受けてしまい、世界経済にどのような影響を与えるのかは未知数です。

ファーウェイ問題の今後

アメリカの目的は中国の牽制

アメリカは中国が経済的な覇者になるのを防ぐのが最終的な狙いです。

そのため、中国内でもトップクラスの技術力と経済力を持つファーウェイやZETに対して輸出制限などの圧力を掛けています。

続いて関税を利用して中国の自国企業への甘い対応を変えるように迫りつつ、巨額な対中貿易赤字を減らそうとしていることからも、中国の経済活動を削ろうとしているのは明らかです。

とはいえ、中国経済が破綻する事は望んでいないのも明らかです。

中国経済が破綻すれば、その影響はアメリカ経済にも直撃します。

そのため、アメリカは中国やファーウェイが値を上げるまで外堀を埋める持久戦を展開するしかないのです。

ファーウェイの余裕な態度

トランプ政権から目の敵にされているファーウェイだが、意外な事にファーウェイ自身はそこまで困窮した様子は見られません。

ファーウェイのOSに使われているGoogleのandroidシステムが供給されないと発表されると、ファーウェイは自社OSが完成してあると発表し注目を集めました。

中国の報道によれば、ファーウェイは数年前からアメリカ経済から締め出される可能性を想定しており、自社OSの開発やスマホ・タブレットの部品確保などを積極的に行っています。

アメリカから締め出しをされたことで、社内の団結力が増したとさえ報道されています。

まだ、ファーウェイが開発したOSは外国メディアの前で発表されていないため、真偽は定かではありません。

しかし、トランプ政権が仕掛けた持久戦にファーウェイは屈しないとアピールをしています。

中国政府も同様に、ファーウェイ問題で対立するアメリカや関係国に対する攻勢に出ました。

2019年6月、中国はファーウェイ副会長を拘束しているカナダに対して、食肉の輸入を停止すると発表しました。

その理由はカナダ側が食肉に添付した証明書が偽造されているとされていますが、ファーウェイ副会長を拘束している事との関係性は否定できません。

まとめ

以上がファーウェイ問題に関する解説になります。

ファーウェイ問題は日中貿易摩擦や、中国の自社企業への対応、ファーウェイが反アメリカ国家への技術関与などいくつもの問題が絡み合っています。

そのため、すぐの解決は難しいと予想されています。

注目なのは、この問題でファーウェイが足踏みしている間に、新しい企業が躍進するのではないかということです。

この記事を読んで、経済に関する興味が深まれば幸いです。


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記事の筆者野田幹太は、記事で言及されている株式を保有していません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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