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一体化する香港・マカオ・深セン。今後はメガロポリス化する可能性も。

中国本土と香港特別行政区・マカオ特別行政区はこの数年の間に一体化をますます強めています。

香港と深センの間には高速鉄道が開通しました。香港のランタオ島とマカオ、珠海は世界最長の橋でつながりました。

中国人や観光客の立場からすると中国本土・香港・マカオの行き来がより便利になりました。

これまでもジェットフェリーや鉄道などで行き来は盛んでしたが、今後ますます中国の珠江デルタ地帯(香港・マカオ・広州のベイエリア)は人・モノ・金の流れが活発になりそうです。

中国共産党の強いリーダーシップのもと、珠江デルタ地帯の一体化は止まらないでしょう。

賛否両論はあるものの、東京やニューヨークに匹敵する世界的なメガロポリスが誕生する可能性が高く、投資家としても見逃せない動向です。

中国の一体化の動きは前からはじまっていた

中国は一国二制度を採用してきました。「一つの国に二つの制度」という意味です。

現在、中国の珠江デルタには金融都市として存在感のある香港と、カジノと世界遺産で有名なマカオの二つが独立した行政区として存在しています。

香港もマカオも独立した行政・立法・通貨があります。

しかし近年、習近平指導部は香港にもマカオにも政治的な影響力を強めているのは周知の事実です。

例えば香港では香港立法議会で反中的な言動があったとされた議員が議員資格を取り消されるなどの動きがありました。

マカオもマネーロンダリングの規制などの習近平の指導が入ったことで、カジノセクターの株価に影響を与えました。

中国共産党は近年、特別行政区の自治に対してかなり大きな影響を与えてきました。

そして地理的にも大規模な交通機関を早急に開発しました。

香港・マカオ・珠海が世界一長い橋でつながる

港珠澳大橋という世界で一番長い橋で香港・マカオ・珠海(マカオの北・西の中国本土)の三つがつながりました。

これまでもジェットフェリーによって活発な行き来がありましたが、現在では橋で行き来できます。

香港国際空港のあるランタオ島からマカオまで2019年4月現在では65香港ドルで行けるようになりました。

ジェットフェリーで香港からマカオに行くには100香港ドル以上はかかり、時間も1時間前後かかっていました。

しかし橋を使ってバスで行くと約30分で香港のランタオ島からマカオに入境できます。旅行者の視点から見ると便利になりました。

ジェットフェリーでは難しかった物流もより活発化することが予想できます。

香港から深センまで高速鉄道が開通

香港の九龍半島の南、ビクトリアハーバーから少し北の位置に西九龍駅という大規模な駅が完成しました。

かなり巨大な駅でどちらかといえば空港をイメージさせるほどの規模です。

西九龍駅の中に中国本土と香港のイミグレーションが設けられています。これは香港と中国本土の一体化の加速の象徴といえるでしょう。

高速鉄道がつながったことで中国の本土と香港のアクセスは格段に良くなりました。広州とのアクセスだけではなく、北京や上海などとも鉄道でつながったことも注目されています。

これは香港が中国本土の地方都市のひとつとして組みこまれたという見方もできるからです。

政治的な意見を脇に置いておくと、西九龍駅にはミシュラン一つ星の「添好運(ティム・ホー・ワン)」が入っているなど、なかなか便利で食べるところにも困りません。

一方で香港の人の中には香港の中に中国本土が駅の中に存在することに対して警戒感をもつ人もいるようです。

ジェットフェリーなど既存の交通機関は今後も利用される

香港とマカオをこれまでつないでいたジェットフェリーや香港・深セン間の鉄道の需要は今後、無くなるわけではありません。

実際に乗ってみると分かるのですが、ジェットフェリーの方が香港・マカオの市街地にアクセスが良いからです。

香港と広州をつなぐ高速鉄道もチェックインに時間がかかり、広州の高速鉄道の駅も市街地から離れたところにあります。

そのため既存の交通機関は今でも市民の交通機関として使われています。

新しい橋や高速鉄道は新しい選択肢として活用されていくでしょう。

中国本土と香港・マカオの経済一体化で何が起きる

中国本土と香港・マカオの経済は交通の面でも一体化が進みました。

経済の一体化で今後何が起きるのでしょうか。

投資家として注目しておくべきポイントを挙げておきます。

香港では共産党支配の不安が高まる

香港では中国本土に独立した行政・司法を骨抜きにされるのではないかという警戒感が強まっています。

中国共産党に対してネガティブな発言を迂闊にできない情勢になっています。

香港の独立性を重んじる市民には不安を感じている人もいます。

香港では中国共産党の関与を警戒した集会も開かれています。

中国国務院は大経済圏の構想

中国政府は香港・マカオ・広州エリアの一体化を国策として進めようとしています。

「グレーター・ベイ・エリア」という構想です。

アメリカのシリコンバレーに匹敵するハイテクメガロポリスを目指すとしています。

香港・マカオ・広州を含む珠江デルタ地帯は世界第4位の輸出国・地域として日本をしのぐ見通しです。

高速鉄道と橋はハイテクメガロポリスの構想の第一歩ともいえます。

広州エリアの不動産価格は上昇

国策を背景に広州エリアの不動産価格も上昇しています。

マレーシアの都市ジョホール・バルでは、シンガポール・ジョホールバルを連携させた都市開発が進みましたが、建設ラッシュに需要が追いつかず盛り上がりに欠けています。

香港と隣接する広州の不動産価格と開発の動向が注目されます。

証券・金融分野にも影響がでる

中国政府は金融の分野でも改革をしようとしています。

例えば中国政府は香港・マカオの証券会社が深セン市や広州市などに支店を設立する際に援助をするそうです。

またマカオに元建ての証券取引所を設立するという話も出ています。

カジノと観光以外に金融センターとしての新たな役割がマカオに出てくるかもしれません。

マカオをポルトガル語圏諸国の元決済の拠点とする案があり、ブラジルなどの資金を呼びこむチャンネルがつくられる可能性もあります。

香港・マカオ・深センが三者三様の機能を与えられ、相乗効果を発揮した一大金融エリアが生まれるかもしれません。

カジノ一辺倒に頼っていたマカオも、中国本土と香港との連携によって新たな可能性が見えてきたともいえます。

政治的な問題や懸念もありますが、ITとハイテク産業でもアジアをリードするようになった深セン、国際金融都市の香港のそれぞれの強みを生かした魅力的なメガロポリスが誕生するかどうか、投資家目線でも注目しておくべきテーマのひとつでしょう。

まとめ

中国本土と香港、マカオは世界最長の橋でつながりました。

また香港と広州も高速鉄道でつながり、香港の中に中国本土と香港の国境までできました。

高速鉄道は上海・北京ともつながっているため、中国全土との結びつきも今後、強まっていく見込みです。

橋と高速鉄道は今後の珠江デルタエリアのメガロポリス化の布石とも解釈できます。

金融の面でも香港・マカオの証券会社の中国本土への進出を政府がサポートし、マカオにポルトガル語圏諸国のための元決済できる証券所の設立も検討されています。

香港・マカオ・広州の珠江デルタがアジアを代表するメガロポリスになるかどうかは、投資家として注目してくべきテーマのひとつではないでしょうか。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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