シンガポール・テレコムの配当利回り5%が持続可能と思えない理由

モトリーフール・シンガポール支局、2019年6月17日投稿記事より
シンガポール・テレコム(SGX:Z74)は人気のある配当株です。記事執筆時点の株価は3.33シンガポールドル、また、5.3%の高配当利回りとなっています。
シンガポール・テレコムの配当利回りはストレーツタイムス指数(SGX:^ STI)よりも優れています。
配当は2008年度の1株当たり12.5シンガポールセントから、2019年度の1株当たり17.5シンガポールセントと年々成長してきました。
しかし、この配当と配当利回りは持続可能とは考えられません。
過去の実績
過去6年間のシンガポール・テレコムの配当情報を収集し、以下の表にまとめました。
2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
一株あたり利益
(シンガポールセント) |
22.7 | 23.7 | 23.9 | 24.1 | 21.7 | 17.3 |
一株あたり普通配当
(シンガポールセント) |
16.8 | 17.5 | 17.5 | 17.5 | 17.5 | 17.5 |
配当性向 | 74.0% | 73.8% | 73.2% | 72.6% | 80.6% | 101.1% |
出典:決算報告を元に筆者が編集
シンガポール・テレコムは2018年度の決算報告で、「今後2年間の年間配当を1株当たり17.5シンガポールセントに維持し、今後は60%から75%の配当性向に戻ると予想している」と述べました。
2014年度から2017年度までの間、シンガポール・テレコムは72%から74%の配当性向を維持しました。
しかし、2018年度の1株当たり普通配当は純利益の60%から75%の配当性向目標を超えました。
また、2019年度には配当性向は100%を超えていました。
将来の見通し
シンガポール・テレコムは2019年度の決算発表で、2020年度の配当性向に関する情報を繰り返しました。
「予期しない状況が起きた場合を除いて、来年度も1株あたり17.5セントの普通配当を維持する予定です。」
2019年度と比較して、2020年度の純利益が減少または一定に保たれた場合、1株当たり17.5シンガポールセントの普通配当では、配当性向は100%を超えたままです。
これは長期的に持続可能ではありません。純利益の60%から75%の配当性向目標を維持するためには利益を大幅に伸ばすか、2021年度以降に減配する必要があります。
配当性向を純利益の75%に戻し、17.5シンガポールセントの配当を維持するためには、2021年度に1株当たり利益(EPS)が約35%上昇する必要があります。
過去2年間のEPSの低下と通信業界での激しい競争を考えると、これは非常に困難なことでしょう。
結論
高い配当性向と通信市場の激しい競争を考えると、多くの側面から考えてシンガポール・テレコムの現在の5.3%という配当利回りは持続可能ではないと思われます。
シンガポール・テレコムは、電子決済やeスポーツなど新分野に進出していますが、利益貢献の可能性はまだ不明です。
(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)
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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者で、モトリーフール・シンガポールの寄稿者であるSudhan Pは、記事で言及されている株式を保有していません。