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米国アパレル株の幅広い選択肢に注目

モトリーフール米国本社、2019年6月18日投稿記事より

Eコマース(電子商取引)の台頭により、米国の既存小売企業は困難に直面しており、アパレル企業も例外ではありません。

しかし、新たな状況に商機を見出す革新的なアパレル企業があり、また一部の伝統的小売企業も進化を遂げつつあります。

なお、参入障壁が低いアパレル業界には様々な業態、ブランドの企業があり、投資家にとって幅広い選択肢があります。

米国小売業界において、アパレルは最も市場規模が大きいセクターの一つです。

米国勢調査局によれば、米国の昨年の衣料品店における小売売上高は2,725億ドルで、それにはウォルマートやターゲットなどの総合小売店舗やメーシーズなどの百貨店での数十億ドル規模の衣料品売上は含まれていません。

また、ユーロモニターによれば、世界的なアパレルおよびフットウェアの売上高は2017年に1.7兆ドルに達したとみられています。

投資家は、アパレル業界の投資機会に注目しています。業界が巨大なだけでなく、様々な株式、幅広い製品カテゴリーがあるからです。

製品カテゴリーには、スポーツウェア、アスリージャー(スポーツウェアと普段着を兼ねたファッションウェア)、ランジェリー、下着、ビジネスウェア、シューズなどがあります。

業態も、ファストファッション(流行衣料品を大量生産・販売するファッションブランド)、カジュアル、オフプライス(最終在庫・過剰在庫のブランド品を買い取り、正規価格から大幅に割り引いて売るもの)など多岐にわたります。

アパレル企業の業態

アパレル産業の歴史は古く様々なチャネルで進化してきたため、アパレル企業は広範なビジネスモデルを通じてビジネスを展開しています。

下の表は、アパレルビジネスを形成する代表的なものの一部です。

アパレル企業の業態 特徴 企業例
垂直統合型企業 自社ブランド商品を製造し、原則的には自社店舗および自社ウェブサイトで販売 ルルレモン、ギャップ、カナダグース、H&M
再販企業おおび大型小売企業 卸売業者およびメーカーから仕入れた様々なブランドを幅広く販売 TJX、メイシーズ、ノードストーム
卸売企業 自社ブランドおよびライセンスを保有し、販売は小売業者に委託 VF、PVH、G-IIIアパレル

アパレル株の投資機会

アパレル産業全体の成長は低迷していますが、個別に見ると急成長分野があります。

アスリージャー関連は過去10年以上にわたり投資家に注目されており、ルルレモンが大きなリターンを上げ、ナイキやアンダーアーマーが成長を牽引してきました。

アスリージャー分野には新規参入も相次いでいますが、世界的な成長余地は大きいとみられます。

TJXなどのオフプライスチェーンの株価は、長年にわたり市場平均を上回っています。

これは業態がEコマースの影響を受けにくいためです。

オフプライス企業は、通常の小売企業よりも素早く在庫を動かして大幅値引きで売り切るため、オンライン販売では利益を上げにくいビジネスモデルです。

また、スティッチ・フィックス(NASDAQ:SFIX)が、アパレル業界に革命的なパーソナルスタイリングと関連Eコマーストレンドをもたらしました。

スティッチ・フィックスのユーザーは、既存店舗やウェブサイトで洋服選びに迷う必要はありません。

ウェブサイトで体のサイズや好み、予算などを詳細に記入すれば、スティッチ・フィックスのAIとスタイリストが洋服を数点選んでボックスで配達します。

ユーザーは気に入ったものだけ買えばよく、買わなかったものは無料で返送できます。

アパレル株のリスク

アパレル業界にとって最も大きな脅威はEコマースであり、特にアマゾン・ドットコムです。

Eコマースの台頭により、伝統的な主要小売企業の店舗数が多すぎることが明白となり、数千の店舗閉鎖やシアーズおよびトイザラスなどの倒産が続いています。

一部の既存小売企業はEコマース事業の立ち上げに成功していますが、それでも低い利益率に直面しており、抜本的なビジネスモデルの変革を迫られています。

またアパレル業界の競争が激化しているため、市場全体の成長減速も投資家にとってリスクとなっています。

さらに、中国の輸入に対する追加の制裁関税により、中国からの衣料調達に依存している小売企業は衣料品の値上げを余儀なくされる可能性があり、貿易関係の緊張もリスクとなるでしょう。

アパレル業界の代表銘柄

参入障壁が低いアパレル業界には、投資家にとって幅広い選択肢があります。

下の表では、アパレル業界で異なる業態の代表的な銘柄を紹介します。

会社名 会社概要 予想PER 時価総額
ナイキ

(NYSE:NKE)

世界的な大手スポーツウェア企業で、世界で最も時価総額が大きいアパレルブランド 28倍 1,340億ドル
TJXカンパニーズ

(NYSE:TJX)

大手オフプライス小売企業。TJ Maxx、Marshall’s、Home Goodsを展開 19倍 653億ドル
ノードストーム

(NYSE:JWN)

高級百貨店とオフプライスチェーンを展開。新たな流通業態も実験 9倍 51億ドル
メイシーズ

(NYSE:M)

都市中心部の繁華街やショッピングモールで百貨店を展開する有名企業 7倍 68億ドル
ギャップ

(NYSE:GPS)

Banana Republic、Old Navyなどのカジュアル衣料店舗を世界展開。 8倍 68億ドル
アーバン・アウトフィッターズ

(NASDAQ:URBN)

若者層や女性向けカジュアル衣料を展開。AnthropologieやFree Peopleが主力ブランド 9倍 23億ドル
ルルレモン・アスレティカ

(NASDAQ:LULU)

ヨガアパレルなどの高級エクササイズウェアの垂直統合企業。女性市場にフォーカス 34倍 243億ドル
へネス・アンド・マウリッツ(H&M)

(NASDAQOTH:HNNMY)

スウェーデンを拠点とするグローバルファストファッションチェーン。カジュアルスタイル、手頃な価格で有名 17倍(実績) 263億ドル
VF

(NYSE:VFC)

Vans、North Face、Timberlandなどのブランド衣料を展開。買収戦略で有名 23倍 352億ドル

出典:予想PERと時価総額はYAHOO!FINANCE、2019年6月20日時点

ナイキ:世界的なスポーツ人気に乗る

ナイキは世界で最も時価総額が大きいアパレル企業で、いわばスポーツの代名詞です。

50年以上にわたり同社はトップアスリートとの関係を築き、ブランド戦略に活用してきました。

トップアスリートには、マイケル・ジョーダン、タイガー・ウッズ、セリーナ・ウィリアムズなどが含まれます。

世界的なスポーツ人気の高まりと巧みなマーケティング戦略により、ナイキは好業績を継続してきました。

過去10年間に売上高は倍増し、2018年に364億ドルに達しました。

2020年までに売上高500億ドルの目標を掲げています。

なお、ナイキのブランドおよびロゴは2018年時点で推定280億ドルの価値があり、他の米国ファッションブランドを凌駕しています。

ナイキの強みは、売上高の3分の2がフットウェアであることです。

フットウェアはアパレルよりも急速に成長しているカテゴリーで、特に近年は多彩なスニーカーが流行となっています。

ポートフォリオの中核となりうる3銘柄:バークシャー、ディズニー、ナイキ

TJX:オフプライス戦略が奏功

TJXは米国で最も大きな小売企業の一つで、オフプライス戦略の成功により堅調な業績を続けています。

同社は、メーカー、百貨店、閉鎖小売店舗などから過剰在庫を引き取ることで、20%~60%の大幅値引きを実現しています。

また在庫を速いスピードで回転させているため、消費者は品揃えの変化を楽しむことができます。

オンライン販売では真似しづらい業態で、TJXでも、ウェブサイトで商品を売っているものの、売上高の大半は実店舗からです。

小売店舗の閉鎖が続く中、TJXは店舗数を急拡大しており、2018年時点で3,143の全米店舗数を長期的には4,400に、世界的には6,000店を目指しています。

2018年の既存店売上高は前年比6%増で、大半のアパレル企業を大きく上回っています。

全売上高は9%増の530億ドル、純利益は、税率低下の追い風もあり17%増の31億ドルでした。

2019年に注目される米国小売株5銘柄

ノードストーム:高級百貨店がオフプライスチェーンも展開

高級百貨店として知られているノードストームは、バリュー投資家にとって現在最も魅力的なアパレル株かもしれません。

株価は5年来安値圏にありますが、同社の主力ビジネスは堅調で、将来的に有望な布石も多く打っています。

ノードストームの傘下には、TJXと同様のオフプライスチェーンがあり、健全な事業を展開しています。

ノードストームは、百貨店の通常価格販売商品をオフプライスチェーンに流すことでアウトレットとして活用しています。

また、ノードストームはEコマース投資も積極的に行っており、2019年時点でオンライン売上は全売上高の31%を占めるまでになっています。

加えて、2014年には、スティッチ・フィックスの競合のトランク・クラブを買収しました。

トランク・クラブの売上高は2018年に35%増となっており、ノードストームはオンラインパーソナルスタイリング市場においても存在感を高めつつあります。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、アマゾン株、ナイキ株、ノードストーム株、スティッチ・フィックス株、チルドレンズ・プレイス株、アンダーアーマー(A株)を保有しています。モトリーフール社は、アマゾン株、ルルレモン・アスレティカ株、ナイキ株、スティッチ・フィックス株、アンダーアーマー(A株)、アンダーアーマー(C株)を保有し、そして推奨しています。モトリーフール社は、G-IIIアパレルグループ株を保有しています。モトリーフール社は、カナダグース・ホールディングス株、ノードストーム株、TJXカンパニーズ株を推奨しています。

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