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2019年に注目される米国小売株5銘柄

モトリーフール米国本社、2019年5月15日投稿記事より

米国の小売業界は困難に直面しています。

2017年に約8,000の小売店舗が閉鎖された後、「小売業界の崩壊」的な話題はやや落ち着いているものの、業界は依然として流動的です。

アマゾン・ドットコムなどのEコマース(電子商取引)の圧力が既存小売業者に変革を迫っていますが、業者によって独自のオンライン事業を立ち上げたり、ビジネスモデルの優位性をさらに高めて対応しています。

そのような中、注目される小売株5銘柄を紹介します。

小売業界の厳しい状況を反映し、近年、小売株のパフォーマンスは市場平均を大きく下回っています。

下のチャートでも分かるように、小売株は2016年の大統領選以降のマーケットラリーに乗り遅れています。

しかし、このために小売株のPER(株価収益率)が低下し、配当利回りが上がっているので、投資妙味が増しています。

S&P500インデックス(青)とSPDR S&P小売りETF(オレンジ)の推移

出典:YCHARTS。2019年5月14日時点

2019年後半に注目される小売銘柄

以下の5銘柄は、2019年後半以降において注目されています。

企業名 既存店増収率(前年比) 予想PER 時価総額
コストコ・ホールセール

(NASDAQ:COST)

6.8% 30倍 1,150億ドル
TJXカンパニー

(NYSE:TJX)

6% 19倍 650億ドル
ターゲット

(NYSE:TGT)

5% 14倍 446億ドル
チルドレンズ・プレイス

(NASDAQ:PLCE)

4.6% 12倍 15億ドル
ホーム・デポ

(NYSE:HD)

5.2% 19倍 2,277億ドル

既存店増収率は直近年度のもので2019年5月時点(燃料価格や為替の影響を除く)。予想PER(株価収益率)と時価総額は2019年6月17日時点。

出典:YAHOO! FINANCE

コストコ:会員制の強み

コストコのように過去10年以上にわたり一貫して成長してきた既存型小売企業はほとんどありません。

同社は10年以上S&P500インデックスをほぼ上回り続けており、新店舗開設、既存店売上高の成長、Eコマース事業の立ち上げを通じて成長を続けています。

コストコは、昨年だけでも21の新規店舗をオープンし、Eコマースセグメントも堅調で、Eコマース売上高は今年度上期も前年同期比25.5%増加しています。

コストコの強みは会員制で、来客動向にかかわらず一定の年会費収入が見込めます。

60ドルからの年会費はコストコの利益に直結するため、会員に大幅な安値を提供できます。

会員の更新率は北米では90%、世界的には88%で、会員はコストコのサービスに満足していると言えるでしょう。

コストコのビジネスモデルはロット数が大きい販売なので、オンライン販売で同じことをやるのは困難です。

そして、大量販売で大幅な割引を行っているため、コストコの既存店舗は引き続き多くのユーザーを引きつけています。

コストコの過去5年平均のPERは、S&P500平均の21.5倍に対して29倍と高く、成長性が評価されています。

同社は明確な競争優位性と成長戦略があるため、今後も好業績を続けるとみられます。

【米国個別株動向】コストコ、堅調な成長を継続

TJX:オンラインでは真似しづらい業態

TJXは主要アパレル小売企業で、TJマックス、マーシャルズ、ホームグッズなどのチェーンを展開しています。

オフプライス・ビジネスモデル(最終在庫・過剰在庫のブランド品を買い取り、正規価格から大幅に割り引いて売るもの)やショッピングモールでの独自のロケーション展開により、アマゾン時代に生き残る小売企業となりつつあります。

オフプライス小売企業は、オンラインでは真似しづらい業態のため、Eコマース時代になってもさらに成長を続けています。

TJXでは、通常の小売企業よりもかなり速く在庫を動かして、20%~60%の大幅値引きで売るため、オンライン販売では利益を上げにくいビジネスモデルです。

昨年、TJXは世界で236店舗をオープンし、総店舗数は4,306になっていますが、同社にはさらなる拡大計画があり、世界の総店舗数6,100を目指しています。

今後TJXが堅調な既存店売上高の増加を続け、新店舗も順調にオープンできれば、さらなる増益が見込めるでしょう。

5年平均PERは21倍なので、その競争優位性と成長見通しを考慮すると、同社は魅力的と考えられます。

ターゲット:Eコマースの攻勢に対応

ターゲットのような大型ディスカウントチェーンは、まさにアマゾンを筆頭とするEコマース企業の競争圧力にさらされています。

しかし、ターゲットは時代と共に変化し、業容を調整しています。

昨年の既存店売上高は前年比5%増となり、2005年以来最高でした。

ターゲットは近年、物流関連会社を買収したことで、半数以上の店舗で即日配達が可能となっています。

また、一部店舗では、オンライン注文した商品を店舗駐車場で受け取り、店員が車のトランクに詰めてくれます。

2018年のデジタル売上は前年比36%と大幅増となり、5年連続で25%以上の増収率となっています。

また、70億ドルにおよぶ店舗改善投資も奏功しており、2018年の来客数は一貫して増加しました。

既存店売上高および利益が増加していますが、5年平均のPERは16.2倍に過ぎません。

また、ターゲットは「配当貴族(25年以上連続して増配を実施している会社)」の一つで、実際、45年にわたって増配を続けています。

予想配当利回りは3.2%となっています。

【米国個別株動向】ターゲット、好調なEコマースや既存店売上で増収増益

チルドレンズ・プレイス:主要ライバル倒産による生存者メリット

子供服のチルドレンズ・プレイスは変化のただ中にあります。

長年、優れた小売株だったチルドレンズ・プレイスは、2015年の50ドル以下から2018年には160ドル超に上昇しました。

しかし、その後株価は急落しています。

この背景には、チルドレンズ・プレイスの主要ライバルで老舗子供服のジンボリーが倒産し、全店舗閉鎖に伴う在庫一掃セールのチルドレンズ・プレイスへの影響を投資家が懸念したためです。

なお、ジンボリーの倒産は短期的にはチルドレンズ・プレイスにとって打撃ですが、長期的には主要ライバルの消滅は有利な状況をもたらすでしょう。

チルドレンズ・プレイスは米国最大の子供服専業小売企業で、ブランド力があり、増益基調を継続してきました。

昨年の既存店増収率は4.6%で、Eコマース売上は全売上高の27%を占め、オンライン事業の健全な成長を反映しています。

最近の株価下落を経て、利益が回復すれば、チルドレンズ・プレイスは割安との見方があります。

なお、経営陣は自社株買いおよび配当による株主還元を明言しており、投資家は堅実な配当を享受できるでしょう。予想配当利回りは2.4%です。

ホーム・デポ:長期成長で布石

米国住宅市場の減速に伴い、ホームセンター大手のホーム・デポの株価も過去1年間は低迷していますが、今後に期待が持てる理由が幾つもあります。

ホーム・デポは過去10年間の住宅市場の回復に乗り、株価は2018年末までに700%以上上昇し、ライバルのロウズをアウトパフォームしました。

ホーム・デポの事業はマクロ経済環境や住宅市場の影響を受けやすいですが、同社は長期成長のための布石を打ってきました。

新店舗を増やしたロウズとは異なり、ホーム・デポは過去10年間、店舗数は2,200程度にとどめてきました。

新規店舗に投資するのではなく、ホーム・デポは既存店舗の改善、Eコマース充実、株主還元を重視してきました。

この結果、同社は既存店の増収、利益率の改善、増配および自社株買いを成し遂げてきました。

ホーム・デポは、クラウドコンピューティングやAIなどのテクノロジーにも積極的に投資しています。

また、木材や住居関連機器はEコマースでは扱いにくいため、ホーム・デポはEコマースの脅威にさらされていません。

ホーム・デポは、2020年までにROIC(投下資本利益率)40%を目指し、営業利益率は今年の推計14.4%を最大15%まで引き上げようとしています。

比較的低いバリュエーションに加えて積極的な増配基調にあるため、ホーム・デポは魅力的とみられています。

なお、ホームデポの予想配当利回りは2.9%です。

米小売大手のコールズとホーム・デポ、決算で明暗

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

「米国株投資を始めるのに適した、国内のネット証券5社を比較」


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アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール社は、アマゾン株、コストコ・ホールセール株を保有し、そして推奨しています。モトリーフール社は、ホームデポ株、ロウズ株、TJX株を推奨しています。

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