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米国不動産市場の見通し

モトリーフール米国本社、2019年3月20日投稿記事より

米国のNCREIF不動産インデックスは、6,000億ドル以上の価値がある約8,000の米国の商業用不動産を指標化したものです。

そのパフォーマンスに基づけば、米国の商業用不動産は2018年に6.7%ものリターンを上げました。

これは、昨年、S&P 500ベースのトータルリターンで4.4%も下落した株式市場よりもはるかに優れています。

一方、ケースシラー住宅価格指数によれば、米国の住宅価格は、2018年9月時点で全国で年率5%の上昇を記録しています。

2018年は不動産にとって良い年でしたが、今後はいくつかの不安要素があります。

まず、金利は上昇傾向です。

そして、住宅価格は多くの都市で過去最高値かそれに近い値です。

ほとんどの商業用不動産カテゴリーのキャップレート(還元利回り、不動産の収益性を評価する指標)は圧縮されています。

そして、株式市場の最近の不安定な動向は、ほぼ10年に及ぶ経済拡大の終わりが近づいていることを示唆しているのかもしれません。

以下の2つの基本的な質問に対する答えが求められています。

一つ目の質問:「今は、不動産に投資するのに良い時期か?」

二つ目の質問:「もし良い時期なら、どこに投資すればよいか?」

これらの質問に対する答えが明確になるのは少なくとも数年後です。

しかし、2019年以降、商業用不動産に投資する上で役立つ情報があります。

2019年不動産の動向

不動産市場で何が起こっているのか、そして不動産市場がどこに向かっているのかを理解するとなると、Urban Land Institute(以下「ULI」)より優れた情報源はありません。

ULIは、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)と協力し、ULIの42,000人のメンバーを定期的に調査し、インタビューします。

メンバーは不動産企業経営陣、専門家、デベロッパーです。

そして、この優れたネットワークを活用して、年次報告書を作成します。

全100ページ以上のレポートは一読する価値があります。2019年の報告から大きな要点のいくつかをご紹介したいと思います。

不動産トップ10市場

ULIのメンバーによると、以下の10の米国都市は、平均を上回る人口増加、堅調な地域経済、および有力な開発機会により、最も優れた不動産投資となる可能性があります。

・ダラス/フォートワース

・ニューヨーク – ブルックリン

・ローリー/ダーラム

・オーランド

・ナッシュビル

・オースティン

・ボストン

・デンバー

・シャーロット

・タンパ/セントピーターズバーグ

これらの地域内及び近郊の投資機会に注目すべきです。

商業用不動産の推奨施設の1つであるモルガン・スタンレー・タワーは、フロリダ州セントピーターズバーグにあります。

住宅市場の動向

上記で述べたように、全国レベルで住宅価格は昨年上昇しました。

2007 から2009年のリーマンショックと不況を経験した後、不動産市場は2012年以降着実に上昇しています。

全国のほとんどの場所は、すでにリーマンショック前の住宅価格を超えて過去最高値となっています。

それに加え、住宅ローン金利がついに上昇しているので、多くの人々は次の住宅市場下落が今にも発生するのではないかと恐れています。

なお、ミレニアル世代がついに家族を形成し、最初の家を買おうとしています(彼らは両親や祖父母と同じように、家を所有することに魅力を感じています)。

これは、住宅市場がリーマンショック前のピークまで回復した今でも、まだ開発余地があることを示唆しています。

トップ商業用不動産カテゴリー:産業用不動産

Eコマース(電子商取引)は画期的なペースで拡大し続けています。

そして、倉庫、流通、および物流施設、特に需要の急増に伴う「ラストワンマイル(物流最終拠点からエンドユーザーへの物流最終区間)」の課題を解決できる不動産を必要としています。

Eコマースの「無料配達」では、配達自体にはコストがかかります。しかし消費者としては無料の2日(またはそれより速い)以内の配達は、オンライン小売において当たり前のこととなっています。

このように、産業用不動産に対するニーズが増加している現在において、STAG Industrial REIT(ティッカー:STAG)に注目すべきでしょう。

また、シニア住宅関連の不動産も選好対象となります。

米国のベビーブーマー世代が、シニア住宅に居住する年齢に近づき始めています。

米国国勢調査局は、シニア住宅や介護施設を利用する人口は、2025年までに1,000万人に達するだろうと推定しています。

NCREIF 不動産インデックスのシニア住宅の年率トータルリターンは、過去10年間で10.5%以上となっており、インデックス全体のリターンをはるかに上回っています。

見通しが暗い小売不動産

近年、小売不動産は、最も厳しい商業用不動産カテゴリーの1つとなっており、ULIメンバーも短期的には見通しは暗いと考えています。

しかしこれは、顧客の買い物がオンラインに移行していることだけではありません。

小売不動産自体が供給過剰なのです。ULIのレポートで、あるREIT(不動産投資信託)の関係者は次のように述べています。

「建てられた時点でのテナント需要しか考えていない質の悪いショッピングセンターや小売店舗がたくさんある」

しかし、そこにチャンスがあります。

現在、小売専用の物件は、小売だけでなく、集合住宅、シニア住宅、ホテル、およびコミュニティサービスセンターをサポートする複合用途の物件として再開発されています。また、完全に流通施設に再開発されているものもあります。

Eコマースと戦うのではなく、それをサポートする不動産に生まれ変わろうとしています。

インフレ、金利、キャップレートの動向について

最後に、不動産投資家のリターンに影響を与えるとみられるいくつかの重要な指標について、ULIメンバーの見解を見てみましょう。

ULIのメンバーの多くは、高いインフレ率と高い住宅ローン金利を予想しています。

不動産の購入価格がより高くなり、より高いキャップレートが予想されます。

この予想については、特に警報を鳴らすべきものではありません。ULIのメンバーはここ数年の間、毎年同じ予想をしています。

長い目で見れば、景気の過熱と共に金利は上昇します。

そして一般的に、それは高い入居率と増加する賃料を意味し、借入れコストと建設およびその他のコストに対するインフレ圧力の上昇を相殺するとともに、それ以上のリターンを生み出します。

ですから、ULIの報告書は、不動産業界にとって良い時代が到来していると解釈することができます。

REITについて

REITは、2018年の株式市場全体とほぼ同じ水準で推移しました。つまり、あまり良くありません。

NAREIT Equity REITS Indexによると、REITは4%強下落しました。2016年と2017年にS&P 500のリターンを大幅に下回った上に、この結果だったのです。

しかしREIT協会の調査・情報担当上級副社長ブラッド・ケースによると、REITは低迷から脱却する直前かもしれません。

REIT協会の年次REIT報告書の中で、ブラッド・ケースは、REITが2019年以降に株式市場をアウトパフォームする可能性があると考える3つの理由を説明しました。

投資家は、テクノロジー株などが主導している「バブル化している」株式市場から、REITのようなより良い価値を示す資産に資金を移し始めました。

それがまさに最近の株価変動の中で起こったことです。2018年10月中旬から12月中旬までの間に、REITは7%近く上昇しましたが、テクノロジー株式と大型成長株式は、それぞれ約9%、約7%下落しました。

強力なバランスシート、高い平均稼働率、および純営業利益の着実な成長を含むREITのプラスのファンダメンタルズは、2019年以降も数年間も変わらないはずです。

そして、REITの配当利回りとBBB格の社債利回りの間のスプレッドは縮小しています。

REIT協会は、2018年12月中旬の時点で、2019年にREITのリターンが14%(またはそれ以上)に達すると示唆しました。

REITのファンダメンタルズは強く、投資家は株式からREITに資金を移動する十分な理由があります。

結論

株式市場は、最近しばしば混乱に直面しており、それは当然のことながら投資家と経済ウォッチャーに不安を引き起こしています。

しかし、不動産市場は依然として好調であり、ULIの報告書によれば、この傾向は2019年も継続すると示唆しています。

住宅は需要の増加と在庫の低さから恩恵を受けるはずであり、産業用施設やシニア住宅のような商業不動産分野は長期にわたって追い風を受けています。

そして、REITは、バリュー投資家からの投資を得る可能性が大きいとみられます。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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元記事の筆者Matthew Argersingerは、STAG Industrial REITを保有しています。モトリーフール社は、NVRを保有しています。

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