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Amazonやアリババが実践。リアル店舗とネット販売が融合するニューリテール戦略とは?

Eコマース企業がリアル店舗の運営をはじめる事例が最近増えてきました。

日本では無人コンビニ「Amazon Go」が話題になりました。

Amazonの無人コンビニAmazon Goはリアル小売とネットが融合するニューリテール戦略の代表事例のひとつです。

Amazonだけではなく中国のEコマースで有名なアリババも最近はリアル店舗に進出しています。

この流れは、単にEコマース企業がリアル店舗の販売チャンネルを増やしただけと捉えてはいけません。

Eコマースの巨人がリアル店舗を運営するのは単にリアル店舗の販売チャンネルを増やす以上の意味があります。

小売業がリアル店舗もEコマース店舗も並行するのは今にはじまったことではありません。

ニューリテール戦略はリアル店舗とネットが融合することで新たなバリューを生み出す戦略なのです。小売業への投資をする際には絶対に知っておきたいトレンドです。

ニューリテール戦略とは

ニューリテール戦略はオンラインとオフラインを融合して相乗効果を図るビジネスモデルのことです。

単にオンライン店舗とオフライン店舗を両方もつことがニューリテール戦略ではないところに注意が必要です。

ニューリテール戦略を提唱したのは2016年末に中国の大手Eコマースであるアリババの社長、ジャック・マーです。

店舗型の小売企業がEコマースのチャンネルをもつことは今では当たり前の時代です。

しかし店舗型の小売企業がEコマースをはじめても、販売チャンネルが増えただけでした。

一方で、ニューリテール戦略はEコマース企業が主導です。

オンラインとオフライン、物流、データ、テクノロジーなどを全て融合し、新しい顧客体験を実現し、かつ小売事業者の課題までも解決するのがニューリテール戦略です。

O2OからOMOへ

ニューリテール戦略はO2OからOMOへの進化です。

O2OはOnline to offlineの略です。オンラインからオフラインへの行動を促すという意味です。

一方でOMOはOnline merge with offlineの略です。オンラインとオフラインの融合という意味です。

ニューリーテール戦略はO2OからOMOの段階に既に移行しています。

オンラインとオフラインを別物として分けるのではなく、一体化したOMOが最新のニューリテール戦略です。

見直されるリアル店舗

Eコマース企業がリアル店舗を展開する事例はAmazonだけではありません。

アメリカのメガネのオンラインを手がけてきたWarby Parker(ワービーパーカー)は自社で一貫して製造・デザイン・販売をEコマースに絞ることで急成長してきた企業です。

Warby ParkerもEコマースで成功後にブランドの世界観を体現できるリアル店舗の展開をはじめました。

Warby Parkerのリアル店舗は試着のみで、実際の購入はオンラインで行うところがAmazonGoとは違うところです。

日本でもEコマース企業ではありませんが、スポーツメーカーのアシックスが「買えるショールーム」というコンセプトで京急品川駅にリアル店舗をオープンしました。

在庫がある場合はシューズを買える、在庫がないときや持ち帰りが面倒なときは、その場でEコマースを利用して注文もできるというハイブリットな形です。

中国のEコマース大手のアリババも、生鮮スーパー「盒馬鮮生」(Hema Fresh)を中国都市部で店舗を増やしています。

これからのリアル店舗は「データをとるところ」になる

AmazonがAmazon Goをはじめた理由は、Eコマースが頭打ちになったからと考える人もいるかもしれません。

しかしAmazon Goは、店舗の採算を度外視して展開しようとしている可能性があります。

Amazon Goの本当の狙いは、顧客の行動データを捕捉するところにあると言われています。

AmazonのEコマースサイトでは購入履歴などをもとに一人一人のユーザーに合わせた商品を推薦してくれるシステムがあります。

しかしEコマースサイトの中で捕捉できるデータには限りがありました。

Amazon Goならば、実際の消費者の行動様式や表情など、これまでEコマースサイトだけで読み取ることが難しかったデータまで捕捉可能です。

また、Amazon Goではキャッシュレスでレジに並ばずに商品をピックアップし、そのまま持ち帰る新しい消費体験を提供しています。

しかし、それだけではなく店舗でこれまで以上に顧客のデータを取得することで、Eコマース事業もさらに進化するはずです。

Eコマースとリアル店舗を分ける意味すらなくなる時代がきそうです。

ニューリテール戦略が進んでいる中国

中国のEコマース大手のアリババのニューリテール戦略も、Amazon Goと同様に小売業界では動向が注目されています。

アリババのニューリテール戦略には以下の3つの柱があります。

  • オフラインの個人店舗とオンラインの融合
  • 無人コンビニ
  • 盒马鲜生(he ma xian sheng)と呼ばれる新しいコンセプトのスーパー

例えば、個人店舗とオンラインの融合では、アリババの持つビッグデータを活用して個人店舗が仕入れを最適化します。

個人店舗はアリババを卸売業者として最適な仕入れを行え、アリババも小売店に商品を最適な品目、量で卸すことができます。

無人コンビニはアリババ以外の企業が先行しています。

中国は既にキャッシュレス化が進んでおり、スマホ支払い前提の無人コンビニが展開されています。

例えば元祖コンテナ型の無人コンビニのBINGO BOXなどが有名です。

一方でアリババもF2という無人コンビニを今後展開していく見込みで、Amazon Goと同様にEコマースでは取得できない行動データを集める役割を果たしていきそうです。

盒马鲜生は無人レジだけではなく、プライスカードのバーコードをスマートフォンのアプリで読み込むと、詳細な情報を読みとることができます。

実際に商品を購入することも、ECのカートに入れることもできるリアル店舗とEコマースのハイブリット型の店舗になっています。

またEコマースの倉庫の役割も果たしており、まさにオンラインとオフラインの融合を体現した店づくりがされています。

中国のIT企業、Eコマース企業の経営はスピード感もあり、中国の小売業界はどんどん新しい形になっていくのではないでしょうか。

ニューリテールで変わる消費体験

Eコマース企業のもつビッグデータやノウハウ、さらにはオンラインでは実現できなかったブランド体験、キャッシュレスでの商品購入や商品の受け取り方をその場で受けとるか配送してもらうか自由に選べるなど、ニューリテールの流れによって消費体験は大きく変わっていきます。

これまで以上に精度の高い商品提案をされることもあるかもしれません。

在庫を持たないタイプの店舗ならば店舗のオペレーションの負担も減り、販売員が接客に集中できる店舗をつくることもできます。

一方で、販売員が一切いない無人型店舗で買い物を楽しむなど新しい消費体験もできるでしょう。

近い将来、ニューリテールが当たり前の時代に

今後の小売業ではリアル店舗とEコマースは並存するだけでなく、融合が当たり前になるでしょう。

アメリカや中国で既にニューリテールは現実のものになっています。

日本を含めた世界中でニューリテールの動きは加速していくのではないでしょうか。

リアル店舗とEコマースを分ける発想自体が既に古くなっています。


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記事の作者、田守正彦はAmazon、アリババの株を保有していません。記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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