相場にも種類がある?金融相場と業績相場のサイクルと投資戦略について

株式市場の上昇相場は、金融相場と業績相場に大きく分けることができます。
同じ上昇相場でも金融相場と業績相場では質が違います。
何故、株式市場が好調なのかを理解して投資をしなければ、大局観をもった運用ができません。
リーマンショック以降、アメリカの株式市場は大規模な量的緩和によって上昇しましたが、この上昇局面は一般的に金融相場なのか業績相場なのか答えられるでしょうか。
答えは金融相場です。
株式市場には、金融相場以外にも一般的には4つのサイクルがあります。
株式市場の金融相場、業績相場をはじめとしたサイクルを知り、大局観をもった投資をしましょう。
本記事では金融相場や業績相場をはじめとしたサイクルと、大きな金融相場の後に起きる市場の今後について考えていきます。
金融相場とは
金融相場とは、金融緩和や低金利政策などいわゆる「カネあまり」を背景にして上昇する相場のことです。
企業の業績が低迷している場合でも株というアセットそのものの価値が上昇します。
リーマンショック後の上昇相場は典型的な金融相場です。
当時のFRB議長のベン・バーナンキは、単に金利を引き下げるだけではなく、通貨量を増やす量的緩和政策を行いました。
中央銀行が国債や証券を買い入れることで、市場に潤沢な資金を供給しました。
つまり、リーマンショック後の株式市場の上昇は、典型的な中央銀行の低金利政策と量的緩和によるカネあまりを背景にした金融相場でした。
株式市場の動向を大きく左右するのが実は金利です。
金利は政府が景気政策で引き下げるといった金融緩和でコントロールされます。
一般的には低金利だと株式は上昇しやすく、高金利だと株式は売られやすくなります。
株式市場の全体的な動向を知るには、金利の動向をしっかり把握しておきましょう。
業績相場とは
業績相場とは、企業業績そのものの上昇や好転によって株式市場全体が上昇する相場です。
金融緩和の効果が実体経済に波及することで景気が回復し、企業業績そのものが回復することで、好業績が評価され買われる相場です。
また新しいイノベーティブな産業で企業が育ち、好業績を出すことで相場全体を引っ張っていく業績相場もあります。
成長株投資のアプローチでは、新しい時代を牽引するイノベーティブな企業群が市場全体を盛り上げる業績相場が、本当の意味で強い相場だとする見方もあります。
業績相場は実態が伴った上昇局面といえます。
株式市場の4つのサイクル
株式市場は一般的に金融相場、業績相場を含め4つのサイクルがあると言われています。
現実的には4つのサイクルを明確に分けられる訳ではありません。
しかし4つのサイクルを意識することで、相場が現在どのステージにいるのか大局観をつかむ指針となります。
4つのサイクルをそれぞれ見ていきましょう。
1:金融相場のサイクル
政府の金融緩和や低金利政策によって市場がカネ余りの状態となります。
そして相対的に株式などのペーパーマネー以外のアセットが上昇するステージです。
企業の業績で買われるのではなく、アセットとしての株式が相対的に買われる局面です。
特に金融関係の金利に敏感な株が反応しやすくなります。
貸し入れ金が多く、低金利になり、利払い負担が軽くなることで有利になる企業が買われやすいステージです。
2:業績相場のサイクル
金融緩和が実態経済に波及することで景気が回復し、企業業績も向上すると株式が業績の良さに注目されて買われるようになります。
これが業績相場です。
景気に敏感な素材セクターの銘柄が買われやすくなります。
3:逆金融相場のサイクル
景気が過熱しすぎると、政府は金融引き締め、政策金利の引き上げを実施します。
つまりアセットとしての株式自体が売られやすくなります。
金融引き締めは相対的にアセットとしての株式の価値を下げます。
4:逆業績相場のサイクル
金融引き締めや政策金利の引き上げにより、企業の業績そのものに悪影響が出て売られるサイクルです。
業績も悪くなり株式が売られるようになると、再び政府が金融緩和や低金利政策によって景気をてこ入れするため、1の金融相場のサイクルに戻ります。
天井になりやすいのは業績相場〜逆金融相場のステージ
市場が天井を迎えやすいのは業績相場から逆金融相場の間が一般的です。
もちろん個別銘柄によって早い時期に天井を打つことも、その逆もあります。
現在の複雑な株式市場では綺麗に4つのサイクルが訪れる訳ではありません。
例えば金融相場と業績相場が重なるようなこともあります。
現在の株式市場はどこのサイクルにあるのかを意識する
株式市場が現在どのサイクルにあるのかを踏まえて投資に挑むのが良いでしょう。
例えばリーマンショック以降、FRBは大規模な量的緩和を繰り返し株式市場は上昇しました。
しかし2010年台の半ばから金融引き締めに入っているため、既に金融相場のサイクルは過ぎていると考えるのが妥当です。
むしろFRBは利上げを2010年台半ばから段階的に行っているため、逆金融相場の段階にサイクルが既に来ているともいえます。
2019年の市場は既に中盤から後半のサイクルにいると考えて投資をするべきでしょう。
大規模な金融緩和の次の2019年以降の下げの主役は?
大規模な金融緩和では業績に関係なく多くのセクターの銘柄が上昇しました。
つまりITバブルや新興国バブルと異なり、広い業種が株価上昇の主役となりました。
大きく伸びた業種が、下げ相場では大きく下がるという原則で考えると、大規模な金融相場で広い業種が上昇したため、次の下げ相場が訪れた時は不況の影響は広範囲の及ぶと考えられます。
もちろん市場に絶対はありません。
しかし大きな緩和で幅広い業種の株価が上昇した分、次のリセッションの影響は広範囲に及ぶ可能性も想定しておくべきでしょう。
イールドカーブでサイクルを見極める
株式市場が現在どこのサイクルにあるのかを見極める方法に、イールドカーブを確認する方法があります。
イールドカーブとは縦軸に金利、横軸に期間をとった利回り曲線のことです。
イールドカーブの勾配が急になることをスティープニング、平坦になることをフラットニングと呼びます。
イールドカーブの形は大きく4つに分かれます。
イールドカーブの形で景気のサイクルがどこにあるのかを市場関係者は判断することが多いため、イールドカーブの種類とサイクルの関係を端的にまとめておきます。
ブル・スティープニングは金融相場に相当
長期金利と短期金利が共に下落し、長短金利差も拡大している段階をブル・スティープニングといいます。
この段階が金融相場です。
ベア・スティープニングの段階は業績相場に相当
短期金利も長期金利も上昇し、長短金利差が拡大している状態です。
この状態の時は業績相場にあると考えられます。
ベア・フラットニングは逆金融相場に相当
長期金利も短期金利も上昇局面ながら、長短金利差が縮小している段階がベアフラットニングです。
この段階に入ると逆金融相場にあると考えます。
ブル・フラットニングは逆業績相場に相当
長期金利と短期金利が下落し、長短金利差が縮小している段階をブル・フラットニングといいます。
この段階は逆業績相場であると考えます。
まとめ
市場は金融相場・業績相場・逆金融相場・逆業績相場の4つのサイクルを循環すると言われています。
投資をする際にどのサイクルに市場があるのかを考えて大局観をもって投資をすると良いでしょう。
市場のサイクルがどこにあるのかを判断する場合は、一般的にイールドカーブの形で判断されます。
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