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【米国個別株動向】フェイスブック上場以来最大のIPOとなるウーバーに注目

モトリーフール米国本社、2019年5月8日投稿記事より

ライドシェアリング(配車サービス)大手のウーバー(ティッカー:UBER)が、10日金曜に上場します。

米国企業としては、2012年のフェイスブック上場後、最大のIPO(新規株式公開)となり、上場の影響は広範囲にわたるとみられます。ウーバーの上場に関して注意すべき点を確認します。

【米国個別株動向】ウーバーのIPO申請で知っておくべき5つのこと

IPOに関する情報

IPO価格は1株45ドルと9日に決定され、当初の予想レンジ44ドル~50ドルの下限にとどまりました。完全希薄化後ベースで時価総額は約820億ドルとなります。

上場により、ウーバーの早期投資家は大きな含み益を獲得します。

投資家には、アップル、アルファベット、アマゾン創設者のジェフ・ベゾス、サウジアラビアの王家、ソフトバンクが含まれます。

しかし、上場の喧噪にもかかわらず、ウーバーはさまざまなリスクを抱えていることに投資家は留意すべきです。

同社は巨額の赤字を出し続けており、そして売上高の成長が急速に減速しています。

・ウーバーの2018年の営業赤字は30億ドルで、さらに6億4,800万ドルの金利費用がありました。しかし、著しい投資利益によりGAAPベースでは9億8,700万ドルの純利益をあげています。なお、過去3年間の累積営業赤字は100億ドルを超えます。

・2017年には106%だった前年比増収率は、2018年には42%に低下し、2019年には18%~20%まで低下すると見込まれています。なお、昨年の売上高は113億ドルでした。

・2018年のライドシェアリングおよびウーバーイーツ(外食の宅配)の営業利益率は9%でしたが、2019年第1四半期には-4%~-7%に低下すると予想されています。

・ウーバーの市場シェアは、2017年1月に始まったボイコット運動以降、リフト(ティッカー:LYFT)に奪われています。リフトの第1四半期決算を見ても、この傾向は続いています。米国以外でも、各国の競合に対してシェアを落としています。

ウーバーの過去

華々しいIPOと共に、ウーバーにまつわる様々な問題も浮上しています。

・8日朝、世界各国の主要都市で数千人のウーバー運転手が、待遇改善を求めてストを実施しました。ウーバーの共同創設者トラビス・カラニックなどの投資家が巨万の富をIPOで得る一方、運転手は低賃金で健康保険もない劣悪な状況に置かれている、と訴えています。

・攻撃的なカラニック体制下で、ウーバーは、市民権侵害、世界各国の地方規制違反、住民の軽視などの悪評を買ってきました。同社は多くの訴訟を抱えており、グーグルを含む競合他社(知的財産権の侵害)、ウーバー運転手(雇用条件など)に対してです。また、カラニックの下、セクシャルハラスメントが放置されていました。

・2017年までにウーバーの評判は著しく悪化しました。同社の急激な成長戦略は何度も壁に直面し、中国など一部の海外市場で撤退を余儀なくされ、国内市場でもリフトにシェアを奪われています。昨年カラニックは追放され、CEOを引き継いだダラ・コスロシャヒがすっかり悪化したイメージの回復に努めています。

ウーバーの強み

IPOは投資家に多くのリスクをもたらすものの、ウーバーには本源的な強みがあります。

だからこそ、ベンチャーキャピタルなどの早期投資家が数十億ドルも出資してきたわけです。

・ウーバーの最も大きな資産は、世界の主要なライドシェアリング市場で大きなシェアを持っていることです。同社によれば、北米、南米、欧州、オーストラリア/ニュージーランドで65%以上の市場シェアを占めています。また、インド、中東、北アフリカでは50%以上のシェアです。

・ウーバーが撤退せざるを得なかった市場においても、巧みな交渉により競合に出資を行っています。同社は、中国ライドシェアリング市場最大手の滴滴出行の15%、ロシアの代表的検索エンジンで自動車ビジネスにも進出しているヤンデックスの38%、東南アジアのライドシェアリング市場リーダー「グラブ」の23%を所有しています。

・ライドシェアリング以外では、ウーバーイーツが急速に成長しており、一部のアナリストは、最終的にはウーバーイーツがウーバーの主力ビジネスに取って代わるのでは、と考えています。2018年のウーバーイーツ関連の売上は、前年同期比149%増と大きく伸び、14億6,000万ドルに達しています。ただ、競争の激化により、2019年第1四半期の増収率は減速し、84%に落ちています。

・ウーバーの自動運転車開発への投資には大きなポテンシャルがあり、インテルなどの予測によれば、最終的には数兆ドル規模の価値があると予想されています。ウーバーは、自動運転車部門に1,000人の人員を擁しており、250台以上の自動運転車で何万回もの乗客走行を行っています。

・累積営業赤字にもかかわらず、ウーバーのバランスシートは強固とみられます。IPO後には、同社の現金および現金同等物は約150億ドルに達する見込みで、45億ドルの負債を差し引いても、今後数年間は借り入れに頼らずに事業を継続できる力があります。

「リフト効果」

競合のリフトが3月にIPOで上場した際、上場当日は株価が20%急上昇しました。

しかし、熱狂はすぐに冷め、投資家はあまりにも高いバリュエーションに対して慎重になりました。

結局1カ月が過ぎ、株価はIPO価格よりも17%低い水準で取引されています。

【米国個別株動向】リフトのIPOは失敗だったのか?

この結果、ウーバーは保守的なアプローチを取っています。

上場を準備する金融機関は、IPOへの人気が高かったため一時1,200億ドルの時価総額を目標としましたが、ウーバーの経営陣は当初のIPO価格レンジを変更しませんでした。

ウーバーは10日金曜のIPO後に大幅な株価上昇を望んでいると思われます。

しかし、上場の大騒ぎの後は、どんな小さなネガティブ情報であっても直ちに市場の失望を招くことになるでしょう。


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アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。アルファベットのエグゼクティブであるSuzanne Freyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。Randi Zuckerbergは、フェイスブックのマーケティング開発部の元ディレクターおよび元スポークスウーマンであり、マーク・ザッカーバーグCEOの姉です。Randiはモトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール社は、アルファベット(A株)、アルファベット(B株)、アマゾン株、アップル株、フェイスブック株を保有しています。モトリーフール社は、アップル株に関するオプションを保有しています(2020年1月の150ドルのロング・コールと2020年1月の155ドルのショート・コール)。モトリーフール社は、ソフトバンク・グループを推奨しています。

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