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株主もインサイダー取引の対象になる?注意点について解説

インサイダー取引は、会社内部の人間が該当する株式を売買することで起こる、と思われがちですが、株主にも該当する可能性があることをご存知でしょうか?

自分は会社内部の人間じゃないから大丈夫、と安心していると思わぬ形でルール違反を犯してしまっていることも考えられます。

「インサイダー取引」は金融商品取引法で規制されている犯罪行為です。知らなかったでは済まされません。

この記事では、実際に起こりうるケースを想定して、会話形式でインサイダー取引について説明していきます。

今回は、株主がインサイダー取引に該当する場合についてです。

インサイダー取引について、実際に起こりうるケースを会話形式で解説

インサイダー取引はパート・アルバイトでも該当する?情報受領者について解説

株主はインサイダー取引に該当する?

上場会社モトリーフルー物産で顧問弁護士を務めているS井弁護士が経理部員であるK主任から相談を受けている設定です。

法理論及び裁判例などの実務をベースとして考え方を提示します。

K主任:S井先生、前回の続きで今度は株主によるインサイダー取引について教えて下さい。

S井:K主任、いいですよ。前回説明したとおりインサイダー取引の主体は原則として上場会社等の役員、使用人、代理人その他の従業者とされているんですが、一定の場合には株主も規制対象になるんですよ。

K主任:どういう場合に株主にもインサイダー取引の網がかけられるのですか?

S井:株主の中でも会社法の会計帳簿閲覧請求権を持っている株主です。会社法433条1項で規定する総株主の議決権の3%以上の株式を持っている株主ということですね。

K主任:その3%以上の株式を持っている株主がどういうことをするとインサイダー取引になるのですか?

S井:その株主が会計帳簿閲覧請求権の行使に関して未公表の重要事実を知って公表前に株式を売買するとインサイダー取引違反になります。

K主任:なるほど、ただの株主であれば会社の重要事実を知る機会はありませんが、会計帳簿閲覧請求できる株主であれば重要事実を知る機会があるからですね。

S井:そういうことです。

K主任:ほかに株主でインサイダー取引が問題になるケースはありますか?

S井:前回教えましたが、会社関係者から重要事実の伝達を受けた情報受領者にあたる場合があるでしょうね。

K主任:株主が会社の役員から内緒で重要事実を教えてもらって株式を売買するケースですね。

S井:そのとおりです。

K主任:ほかにもありますか?

S井:厳密にいうとインサイダー取引ではないんだけど、短期売買利益返還という制度がありますよ。

K主任:それはどういう制度なのですか?

S井:総株主の議決権の10%以上の株式を有している主要株主が6カ月以内に短期売買を行うとその理由の如何を問わず適用され、短期売買により得た利益を会社に返還しなければならないという制度です。もちろん役員も対象になります。

K主任:インサイダー情報を利用しなくても利益を返還しなければならないのですか?

S井:そうです。この規定は一定の者について短期売買を行うこと自体を自重させることによって、インサイダー取引を間接的に防止する制度なんですよ。

K主任:ちなみに会社側がその主要株主や役員に遠慮して利益の返還請求を行わなかった場合はどうなるんですか?

S井:K主任、またいいところに気がつきましたね。今日も冴えていますね。

K主任:ありがとうございます。

S井:特定の株主が会社に対し、短期売買を行った役員や主要株主に対し返還請求すべき旨を要求してから60日経過したときはその特定の株主が会社に代わって返還請求することができるんですよ。
K主任:なるほど、代位というやつですね。

S井:そのとおりです。

K主任:株主もインサイダー取引の規制対象になる類型がこんなにあるなんて意外でした。

S井:インサイダー取引はいろんなバリエーションがあるので気をつけましょうね。                 


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