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企業が良い買い物をしたかがわかる?「のれん」について解説

決算書を見ると、貸借対照表に「のれん」という勘定科目を見たことがある人もいらっしゃるでしょう。

のれんと聞くと、ラーメン屋や居酒屋ののれんをイメージされる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし会計におけるのれんはそれらとは全く異なります。

そこで今回の記事は、

  • 会計における「のれん」とは?
  • のれんはどのような時に計上される?
  • 投資においてののれんの見方
  • 国際会計基準(IFRS)と日本基準におけるのれんの違い
  • のれんを確認すれば、企業が良い買い物をしたか確認できる

について解説していきます。

この記事を読んで頂ければ、勘定科目ののれんについて理解でき、対象の企業が良い買い物をしたかを知ることができます。

ぜひ、最後までご覧ください。

会計における「のれん」とは?

のれんと聞くと、ラーメン屋や居酒屋ののれんをイメージされる方も多いと思いますが、会計におけるのれんは全く異なります。

会計におけるのれんとは、企業が企業を買収(M&A)した時に発生します。

テレビや新聞でも企業の買収(M&A)を目にすることも多いかと思います。

日本の企業は、国内経済のパイが縮小することを見据えて、経営の効率化を目指し他社を買収して新たなノウハウの獲得やシェアを拡大することが増えてきました。

また、海外での収益を伸ばすため海外の企業を買収(M&A)する例も多くなってきました。

それでは、のれんはどのような時に決算書に計上されるのでしょうか?

以下で詳しく見ていきましょう。

のれんはどのような時に計上される?

例えば、A社がB社を買収(M&A)する際、B社の貸借対照表の純資産が70億円のところを100億円で買収(M&A)したとします。

この時、100億円と70億円の差額30億円がのれんとしてA社の貸借対照表の資産の部に計上されます。

それでは、こののれん代30億円はどのような意味を持つのでしょうか?

理想をいえば、買収(M&A)する際に純資産以下で買収できることがいいのですが、B社には独自の技術、ノウハウ、シェア、取引先など目には見えない価値があります。

この目には見えない価値を無形固定資産といいます。

先ほどの例でA社がB社を買収(M&A)する際、純資産70億円の企業をあえて100億円で買収する理由が、そのような無形固定資産があるからです。

そしてのれん代は固定資産であることから、建物や設備などと同様に一定期間においてのれん償却を行います。

そのため、のれん償却期間においては毎期費用として計上させるというのが日本の会計基準ではルールとなっています。

それでは投資を行う上でのれんをどのような解釈をすべきなのでしょうか。

以下で詳しく見ていきましょう。

投資においてののれんの見方

まず注意すべきこととして、のれんは目には見えない価値のためそののれんが果たして資産として考えていいのかということです。

前述の例でA社がB社を買収し、のれんとして30億円計上したとします。

A社としては、B社のブランド価値として30億円を見込んだのですが、買収(M&A)した後に隠されていた負債があることが発覚します。

この時30億円は資産ではなく負債となります。

実際、買収(M&A)した直後にこのようなことが発覚し、買収先の企業が倒産してしまうこともあります。

このようにのれんは目には見えない資産のため正確に判断することが難しいのです。

投資の銘柄分析を行う際はこのことをしっかりと意識しておく必要があります。

買収(M&A)の例として、以下の例を考えてみましょう。

  • C社(大手居酒屋チェーン)
  • D社(スマホ部品の製造メーカー)

C社は飲酒人口の減少を見込み、新たな事業の柱としてD社のスマホ部品の製造メーカーを買収(M&A)しました。

これだけを見ると、C社は新たな収益源を獲得できたため買収(M&A)は成功したかと思われます。

今後両社が上手く相乗効果を出し合えば事業は軌道に乗せることが可能ですが、全く違う業界の両社がどのような相乗効果を出せるかを考えていく必要があります。

この際、C社としてはD社の買収(M&A)にどのような思惑があったのでしょうか?

そもそもC社とD社は業界も違えば、ビジネスモデルも全く異なります。

そのためお互いの相乗効果を得られる可能性は低いと考えられます。

またマクロ経済的に考えれば、スマホ部品メーカーのみならず、製造業は安価な人件費などの理由からアジアを中心として海外企業のシェアが拡大しています。

このような事を踏まえると、C社はさらなる事業拡大を見込んだはずが逆にD社の損失を被る可能性が出てきます。

C社はそもそも大手居酒屋チェーンですが、スマホ部品の製造メーカーを買収(M&A)すると一体何の会社なのかわからなくなってしまいます。

2018年末、RIZAPグループが赤字に転落しました。

その原因が積極的な買収(M&A)が裏目に出たからです。

RIZAPは美容、健康事業でスタートした会社でしたが、インテリア雑貨、メガソーラー事業、アパレルメーカーなどを次々に買収(M&A)を仕掛けていきました。

当初はさらなる売上拡大を見込んだつもりでしたが、手を広げすぎた結果決算で赤字となってしまいました。

積極的な買収(M&A)は仕掛ける企業がどのような思惑があり、中長期的にどのような経営プランを持っているか吟味することが必要と言えるでしょう。

ちなみにRIZAPグループのように積極的に買収(M&A)を仕掛ける企業では、日本の会計基準ではマイナス要因になることもあります。

以下では会計基準の違いにより、のれんの扱い方について解説していきます。

国際会計基準(IFRS)と日本基準におけるのれんの違い

実は国際会計基準(IFRS)と、日本基準ではのれんの扱い方が異なります。

前述の通り、のれんは無形固定資産として一定期間で償却していく必要があります。

つまり、毎期決算時にのれん償却として費用計上していく必要があるのです。

費用とは企業が売上を上げるために貢献した経費であるため、買収(M&A)によって発生したのれんも設備や建物など同様、毎年売上に貢献するとされます。

そこで日本の会計基準ではのれんを20年以内に限って償却していくとしています。

一方、国際会計基準(IFRS)ではのれんの償却は基本的にはしません。

しかし全く償却しないわけでなく、減損テストでのれんの減損の兆候があれば償却していくのです。

つまり、日本の会計基準は毎期のれん償却という費用が発生しますが、国際会計基準(IFRS)ではのれんの減損がなければ費用として計上しなくてもいいのです。

このことから、前述のRIZAPグループのような積極的に買収(M&A)をしかけていく企業にとっては日本の会計基準であることで、のれん償却は成長阻害要因となります。

のれんを確認すれば、企業が良い買い物をしたか確認できる

のれんは目には見えない資産であるためどのような価値があるのかを判断することは少し難しいことでもあるのですが、銘柄分析において一つの判断材料となるでしょう。

例えば楽天は積極的に買収(M&A)をしかけて上手くいっている典型的な例です。

元々はインターネット場でのショッピングモールから始まった会社ですが、その後は旅行、証券会社、クレジットカード事業、銀行など金融分野にも積極的に買収(M&A)を行い事業を拡大しています。

ポイント事業も好調で、楽天経済圏というものを確立されつつあります。

楽天の膨大な顧客情報、マーケティング戦略で他の事業でもしっかりと活用できている証でもあります。

これらの買収(M&A)の際に発生するのれんは、買収先の企業の純資産額と買収額の差です。

つまりのれんは買収(M&A)された企業から期待される価値ですので、その価値が買収(M&A)した側にどのような恩恵をもたらすか考えます。

先ほどの楽天のように、のれんに対して買収先の企業がもたらす恩恵が大きければ良い買い物をしたと言えるでしょう。

まとめ

のれんについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回の記事のポイントは、

  • のれんは目には見えない価値を表すもの
  • のれんは無形固定資産として償却される
  • 国際会計基準(IFRS)ではのれんの償却は行われない

でした。

積極的に買収(M&A)を仕掛けることは一見、良い行動のように思えますがその効果がどれくらいあるのか慎重に見極めることが必要です。

またその際発生したのれんが、そのような価値に見合った金額なのかも見極める必要があります。

つまり、企業の買収(M&A)はその目的が何なのか、その際期待される効果は何なのかとう2点についてしっかりと確認する必要があります。

最後までご覧頂きましてありがとうございます。


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