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市場規模を増やしているインパクト投資とは何か?ESG投資との違いも解説

2007年頃に提唱されたインパクト投資は、欧米から始まり今や全世界規模で行われる投資スタイルとなっています。

市場規模は拡大していき、さらに成長が見込まれます。

日本でも数年前に比べれば、市場規模が4倍以上に膨れ上がっています。

今回はそんな、インパクト投資とは何なのか解説していきます。

インパクト投資の事例や、市場の状況、ESG投資との違いも併せて解説します。

今回の記事を読めば、投資に関する知識が深まるはずです。

インパクト投資とは?

インパクト投資とは、金銭的なリターンだけでなく、投信運用を通じて社会や環境を良くしていくことを目的とした投資運用になります。

2007年頃にロックフェラー財団が中心となって提唱した投資運用方法だと言われており、欧米を中心に広まっています。

投資とは、将来を見据えて資本を増やす為に資本を投じる行為を指しますが、インパクト投資は投資先を社会的に価値の高い取り組みなどを行う団体を対象にしています。

つまり、社会貢献をしつつ経済的に利益を得よう、という考えが基本となります。

インパクト投資の事例

社会貢献をしつつ経済的に利益を得るのがインパクト投資だと説明されても、理解しにくいかと思います。

例えば、優秀な企業に投資をし、投資を受けた企業が健全な職場環境を構築したのなら、ある意味社会貢献を果たしたと言えなくも無いです。

しかしながら、これは経済的な利益を優先した結果、社会貢献をしたに過ぎません。

なので、インパクト投資の事例として有名な物を紹介します。

株式会社ベネッセホールディングス

ベネッセでは2013年よりベネッセソーシャルインベストメントファシリティ(BSIF)を開始。

国内、及びアジアの新興国に対して、教育や保育関連の社会的課題を解決しようとする企業に対して投資するのを目的としています。

その後、インドにあるInOpen社の子供たちの就労機会や所得向上を目的とした教育サービスに投資をして、社会貢献を果たしました。

ADAP

ADAPとは、発展途上国の貧困問題を解決する企業を中心にインパクト投資を行う投資機関です。

2015年、ニカラグアにあるVEGAという企業は、農家が現地でローストしたコーヒー豆をアメリカの愛好家に定期販売するというビジネスモデルを確立しました。

定期販売だと収入が安定し、直接販売のため愛好家は定価よりも安く買えるため、お互いに利益のあるビジネスモデルで、この企業に対してADAPが投資をした事が話題になりました。

このように、世の中にある貧困・教育・性差別などの社会的問題を解決しようとする企業に投資をするのがインパクト投資になります。

インパクト投資の市場規模

日本

2018年に公開された「日本における社会的インパクト投資の現状」によれば、日本のインパクト投資の市場は、2014年170億円だったのが2017年には718億円に上昇しています。

インパクト投資の市場は多様化していますが、日本の場合は「健康・医療・保育衛生」に関する分野が投資先として最も多いです。

日本の市場が活発な原因は、2016年に成立した「休眠預金活用法」だと言われています。

この法律は2009年1月1日以降、10年以上取引が無い預金が民間公益活動に貸し出されるようになる法律です。

施行によって、毎年700億円にも昇る休眠預金が社会の問題解決のために使われるようになり、その一部がインパクト投資に使われています。

他にも保険会社や都市銀行、ベンチャーなどの各金融機関が積極的に参入している事もあり、日本の社会的インパクト投資の市場は広がりを見せるだろうと予測されています。

参照:http://impactinvestment.jp/doc/G8-2017-A4.pdf

世界

インパクト投資の規模と有効性を向上させる非営利組織GIINの研究チームが2018年に発表した年次調査によれば、インパクト投資市場は成長しています。

2013年から2017年にかけてインパクト投資をしている82社の投資額は、5年間で32%増加し、508億ドル=5兆6千億円にもなります。

どの企業もより多くのインパクト投資を行っていると考えており、来年以降も投資額を増やしていくとも回答しています。

GIINによれば、2019年は世界全体で5000億ドル、2050年には10兆ドルに達するのではないかという試算が出ています。

ただし、やはり世界的に見てもインパクト投資が歴史の浅い投資方法なのは否めず、今後の改善の余地として「関連する能力を持つ専門家」や「インパクト投資の評価を洗練」などの意見が出ています。

参照:GIIN

よく似ているESG投資との違いは?

ESG投資とは、2006年に国際連合が打ち出した責任投資原則を元にした投資運用になります。

環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の頭文字を取り、それぞれの分野で正しい事をしている企業に対して投資をする事で、世界を良くするべきという主張になります。

ESG投資とは?世界で急拡大している7つの投資手法

従来の投信運用は財務指標の数字だけを追いかけて、投資対象を決定していましたが、ESG投資は地球温暖化対策への取り組みやマイノリティへの対応、労働基準法などを守っているのかどうかなどが投資対象を決定するポイントとなります。

財務指標だけでは分からなかった、企業の実態や持続的な成長度が見えると、欧米の投資家を中心に広く取り入れられるようになりました。

インパクト投資は、ESG投資によく似ていますが、違う点があります。

ESG投資には、ESG評価の高い企業を投資対象にする「ポジティブ・スクリーニング」や、反対にESG評価の低い企業を投資対象から外す「ネガティブ・スクリーン」などの手法がありますが、基準となるのはESG評価になります。

一方でインパクト投資はESG評価に頼らず、国連などが使っているインパクト評価を用いて、社会貢献を行っている企業を見つけ出し、利益も手に入れる手法になります。

インパクト投資を始めるには?

インパクト投資は歴史の浅い投資方法のため、個人で行うのは難しいです。

証券会社や投資ファンドのインパクト投資に資産を託すのが一般的な手法になります。

もし、どうしても個人でインパクト投資を行いたいなら、社会的インパクト評価を収集・公開しているサイトにアクセスしましょう。

社会的インパクト評価を同時で集めて公開している団体は複数あり、インターネット上で閲覧できるので、そこでどのような企業が、どんな事をしているのか調べて興味が出てきた企業に投資をしてみましょう。

まとめ

以上がインパクト投資の解説になります。

インパクト投資は、投資を通じて世界を良くしようとする考え方であり、古くはフランスの「ノーブレスオブリージュ(noblesse oblige)」に通じています。

身分や資本を持っている者こそ、社会的責任と義務があるという考え方で、欧米社会の基本的な道徳観でもあります。

道徳的な観念以外にもメリットがあり、これまで財務指標だけでは分からず見落としがちだった企業の価値が見直されていき、投資のチャンスが拡大したという見方もあります。

今回の記事を読んで、投資に関する知識が深まれば幸いです。


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