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好調なオーストラリア経済と米中貿易戦争の影響

日本人の観光や留学先としても人気で、時差がほとんどないオーストラリア。

最近では北海道のニセコにスキーやスノーボードで訪れるオーストラリア人観光客も増加し、年々、その賑わいを増しています。

2025年を目処にニセコから最寄りの倶知安駅まで北海道新幹線が延伸を決定するなど、今後もオーストラリアからの観光客は増加するはずです。

今後はさらに身近な国になるであろうオーストラリアですが、先進国のなかでも経済的にとても優秀で、近年は投資先としても魅力的な国として注目されています。

ところが米国でのトランプ政権誕生以降、米中の関係は悪化による余波で好調なオーストラリア経済の行方が懸念されており、今回はその経済動向に迫ります。

オーストラリア・国の特徴

オーストラリアは日本から見て真南に位置するオセアニア地域を代表する経済先進国です。

人口は約2500万人ほどで年々増加しています。

出生率は2016年時点で1.87%と他の先進国とあまり変わりませんが、日本の場合は2017年の出生率が1.43%なので、日本よりも高い水準をキープしています。

またオーストラリアは年1.55%で人口増を達成している国で、基本的に人口とGDPは直結しているので、経済成長による未来は明るいことが予想されます。

その理由はオーストラリアの移民政策にあります。

1950年代まで人口がたった600万人しかおらず、太平洋戦争による危機意識と国土防衛問題から移民を受け入れる政策に舵をとったのです。

その当時、国が不安定な状態であったイタリア、ギリシャ、スペインから多くの移民がオーストラリアに流れ、これが移民政策の始まりであると言われています。

続いて同時期にハンガリー動乱による難民の受け入れを行い、60年代以降ではベトナム戦争終結後の大量難民も受け入れてきました。

そのような時代の変遷の中で、90年代に入ると政府が主導した国家プロジェクトとして移民を受け入れるようになりました。

これにより他民族が混じり合う多民族国家へと成長し今日に至るのです。

オーストラリアの経済政策

オーストラリアの国土は世界6位と広大ではあるものの、国土の40%は塩害や降雨量が極めて少なく人が住んでいません。

しかし、それを補うほどの豊かな資源に恵まれた国でもあります。

主に石炭・鉄鉱石などの資源に恵まれ、近年はLNG(液化天然ガス)の世界的な需要を見越して、LNGプラントを開発して輸出が拡大しています。

特に中国は深刻な大気汚染を背景にエネルギーを石炭から天然ガスへと積極的に転換を進めており、結果的にオーストラリア経済も恩恵を受けています。

政府は2019年度にLNG輸出国としてカタールを抜いて世界一になる見通しとの発表もしており、今後の見通しも明るく経済を支える好調な要因のひとつです。

とはいえ資源はGDPの6%に過ぎず、主に第3次産業の金融業やサービス業がGDP全体の70%以上を占めています。

またオセアニアという場所柄、他国の経済動向の影響を受けにくいとも言われ、失業率も1991年をピークに減少し、この10数年の間、5~6%台で推移しており極めて安定しています。

現在まで1度も景気減速することなく、27年連続で経済成長を続けているとても優秀な国なのです。

オーストラリアの政策金利

2019年2月、RBA(オーストラリア準備銀行)は政策金利を1.5%に据え置きました。

このまま低金利の金融政策を維持することで、経済を土台から支えていく方針です。

これは、まだまだ持続的な発展を続けていけると政府が考えている結果の表れです。

また、この政策金利がFXトレードなどのスワップポイントにもなる重要な数字なので、トレーダーにとっても目が離せない指標といえるでしょう。

現在のところ雇用も安定しており、インフレ率も急上昇することなく、今後も基調インフレ率は2%前後で推移する見通しです。とても安定した経済環境といえます。

オーストラリアの最大貿易国は中国

現在、オーストラリア最大の貿易国は輸入輸出とも中国です。

主に鉄鉱石や石炭が安定して推移しており、LNG(液化天然ガス)については年々増加の一途を辿っています。

鉄鉱石は鉄含有量の違いから品質がとても高く常に需要があります。

LNG(液化天然ガス)については、世界有数の天然ガス生産国である米国から中国向けの輸出が米中貿易摩擦によって減速し、オーストラリアにとっては今後中国への輸出が拡大するチャンスであり、輸出量がさらに伸びていくことが予想されます。

オーストラリアと米中貿易戦争の影響

2018年に表面化した米中貿易戦争の本質は、貿易による関税の問題だけでなく、先端技術を巡る米中の熾烈な主導権争いと言われています。

発端となったのは2015年に中国が発表した「中国製造2025」と言われ、米国が強く警戒する契機となりました。

2018年12月には世界最大の通信機器メーカーである中国企業ファーウェイのCFO(最高財務責任者)が、米国の要請でカナダ司法省によって逮捕された「ファーウェイ事件」なども、次世代通信規格である5Gへの牽制であるとも言われています。

将来、中国が先端技術の分野で米国を追い抜くことを警戒し、貿易問題と絡めて摩擦が起きているのです。

なぜなら先端技術が揺らげば軍事力においても優位性がなくなることが懸念され、米国はあらゆる手段を使って中国を叩こうとするはずです。

そのため、両国の争いは長期化するとの見方が強いです。

しかし、オーストラリアへの影響はそれほど大きくはないとも考えられています。

最大の貿易相手国である中国への輸出品の8割以上が中国国内で消費されるため、例えば中国経由で米国へと輸出される中継貿易などの影響を受けにくく、米国にとってもオーストラリアは貿易黒字国のため標的になる可能性は低いです。

米中貿易戦争による影響は極めて低いことが予想され、結果的にオーストラリア経済の見通しは明るいといえます。

豪ドルは中国の景気の影響を受けやすい

オーストラリア経済は米中貿易戦争よりも、中国の景気動向の影響を受けやすいことが貿易の面からも明らかです。

それは為替相場も同じで、豪ドルの値動きは中国経済の動向に強く引っ張られる特徴があります。

とはいえ、豪ドルはその他にも外部要因に左右される展開がしばらく続きそうです。

例えば、今年の3月21日にFOMC(米国連邦公開市場委員会)が利上げをしない発表をしました。

これにより米ドル安/豪ドル高のトレンドに入ったとの見方もあります。

とはいえ2019年以降、対円で見た場合の豪ドルは70円台をレンジに推移しており、仮に100円台になる条件としては、オーストラリアとアメリカの政策金利が上がり、中国経済が失速した場合が予想されます。

いずれにせよ豪ドルは中国の影響を強く受けやすい特徴があるのです。

まとめ:懸念材料もあるオーストラリア経済の未来

オーストラリア経済は1992年以降2018年まで継続してプラス成長を達成しています。

さらに2019年以降も米国や日本と比べて高い成長を維持する見込みです。

今後、米中貿易戦争による影響で、米国企業が中国から撤退する事態となれば、オーストラリア企業にとって中国進出のチャンスが拡大するとの見方もあります。

とはいえ懸念材料もあります。それはオーストラリアの都市シドニー郊外エッピングで起きた「不動産バブルの崩壊」です。

2017年にピークを迎えた不動産価格を開発業者が大量に購入しましたが、そこから不動産価格の下落が止まらず、これをバブルの崩壊の始まりだとする見方もあります。

不動産価格の下落は、一般市民にも手が届く価格になる利点もあるので、必ずしもネガティブな要因とならない可能性もあります。

しかし価格下落の発端は、住宅価格が上昇することで年収に見合わないローンを無理に組む人が増加したことです。

それを懸念したオーストラリア当局が外国人融資規制をしたことで、中国人投資家などのオーストラリアにおける不動産投資が減少して、不動産価格が下落したと言われています。

順調に成長しているオーストラリア経済は今後鈍化するのか、それとも緩やかにバブルも沈静化するのか、しばらく注視し続ける必要があります。


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