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黄金株と普通の株式の違いは?黄金株を企業が発行するメリットも解説

出典:Getty Images

株に興味を持ち勉強をし始めると、種類株式の中に黄金株と呼ばれる特殊な株があります。

普通の株式と違った権利を持ち、名前にも黄金と入っているからにはさぞや価値があるのだろうと思われるかもしれませんが、それは違います。

今回は黄金株とはどんな株式なのか、どのようなメリットがあるのか、どんな企業が発行しているのかなどを解説していきます。

今回の記事を読んで、株式への理解が深まるはずです。

黄金株とは

黄金株とは、会社の合併などの重要議案を否決できる特別な株式の事です。

本来、株主には株主自身の利益のための権利と、会社の権利に参加することを目的とした権利があります。

それぞれを自益権と共益権と呼びますが、共益権の中には株主総会での決議の取り消しを訴える権利があります。

共益権の決議の取り消しを訴える権利は、決議の内容が会社法に抵触する内容だった場合のみ、決議の取り消しが可能となります。

これが一般的な株式の持つ決議の取り消しの権利ですが、黄金株は一般の株式よりも強い権利を持っています。

黄金株は種類株式の一種で、正式には「拒否権付種類株式」と呼称されます。

その最大の特徴は、この株を持っていると株主総会での決議を拒否できます。

他の一般株式を持っている株主が賛成票を投じても、黄金株を持っている株主が拒否をすれば、それが通ってしまいます。

なお、黄金株と呼ばれていますが、株式としての価値は他の株式と同等で、特別高く売れたり、株式への分配が増えるという事はありません。

あまりにも強い権利のため、発行されるのは1株のみで、使い道は限定的とされています。

それは、事業継承やM&Aなどの敵対買収に対する防衛策です。

企業側が黄金株を発行するメリット

企業が黄金株を発行するのは、会社を存続させる重要な場面で大いに役立つからです。

それは事業継承と、他社からの買収の場面です。

新しい経営者への事業継承

大企業はともかく、中小企業だと同族経営は珍しくありません。

日本は上場企業の50%以上が同族経営の企業ともいわれており、親から子へとバトンを渡すように経営者が代替わりします。

しかし、親にしてみるとバトンを受け取った子が、会社の経営方針を大きく変えたり、リストラを強行するといった不安は拭えません。

経営権の譲渡のやり方として、自分の保有する株式を新しい経営者に譲るのが一般的です。

そのため、先代の経営者は新しい経営者よりも株式の保有数で負けてしまい、経営方針に口出しできません。

そこで登場するのが黄金株です。

先代の経営者が黄金株を持っている限り、株主総会での決議を拒否できます。

新しい経営者が間違った方向へと突き進もうとするのを、止める事が出来ます。

つまり、事業継承において黄金株はブレーキの役割を担っています。

敵対買収に対する防衛策

敵対買収とは、買収される側の経営陣の合意も無しに株を大量に購入し、会社の経営権を乗っ取る買収方法です。

最近ではスポーツ用品大手デサントが、筆頭株主の伊藤忠商事に敵対買収を仕掛けられたことで話題になっています。

敵対買収を仕掛ける側は株式を大量に購入し、自分の息のかかった人間を経営陣に送りこんだり、会社の合併や定款の変更などを行えるのが目的になります。

そのために、大量の株式を購入しますが、黄金株を持っている株主には拒否権があります。

敵対買収を仕掛けた側がどれだけ大量の株式を購入したとしても、黄金株を持っている株主が拒否したら、要望は通りません。

そのため、敵対買収に対する防衛策として、黄金株は大変に有効なのです。

実際に、イギリスでは公益性の高い国営企業を民営化する際に、その会社の公益性を誰からも侵害されないように黄金株が発行されたというケースがあります。

ですが、敵対買収に対する防衛策として有効ですが、実際に使用されるケースは少ないです。

というのも、敵対買収に対する防衛策は黄金株以外にも有効な手段が幾つもあり、どれも効果的だと実証されています。

一方で黄金株は、黄金株を持っている株主が秘匿されて、なおかつ企業に対して友好的な人物でないと効力を発揮しません。

そのため確実性が低いと言われています。

また、日本だと敵対買収のケースが少ない事もあり、黄金株が有効活用されたという事例はほとんどありません。

黄金株は現状中小企業向け

上記にもあるように、黄金株を発行している企業の多くは、事業継承を目的として発行しています。

新しい経営者に事業を継承するには多くの手続きと時間が必要となります。

会社の規模によって違いますが、長ければ10年以上かかるケースもあります。

その間に新しい経営者と方針の違いから対立したり、会社を守る為に決断する時が来るかもしれません。

黄金株は先代の経営者に残された唯一の権限となり、会社を守るのに大いに役立ちます。

ただし、黄金株にはデメリットもあります。

黄金株のデメリット

黄金株のデメリットは3つあります。

1つは敵対買収の防衛策の部分でも触れましたが、黄金株を持っている株主が友好的な人物でないと効力を発揮しない点です。

つまり、企業にとって不利益をもたらす人物の手に黄金株が渡れば、会社の経営に大きな不安要素が付き纏います。

よくあるケースなのが、黄金株を保有している人物が死んでしまい相続で受け取った人物が、会社にとって不利益をもたらす人物という物です。

同族経営で長男と対立していた親が死亡し、本来なら優秀な次男に引き継がせるはずの黄金株が長男に渡ってしまった、という物語にありそうなケースも珍しくありません。

もう1つのデメリットが、黄金株の乱用です。

黄金株は拒否権を持っていますが、保有する株主が拒否権を連発すれば会社の経営は困難になります。

また、黄金株を持っている株主と対立しているという構図は、取引先からの信頼や社内の空気を悪くする要因にもなりかねません。

そして最後のデメリットが、黄金株を保有している株主に対して他の株主が不満を持ちやすい点です。

日本だと2006年の会社法によって黄金株が導入されるようになりましたが、東京証券取引所が黄金株を導入した企業の上場を認めないと発表しました。

黄金株と他の株式が同じ価値しかないのに、黄金株だけが株主総会の決議を拒否する権利があるのは平等ではないと考えたのです。

その後、東京証券取引所は一定の条件付きで黄金株を認める方針にしましたが、株主の中にも黄金株の存在は平等ではないという考えが根付いています。

日本の上場企業で黄金株を採用しているのは一社のみ

以上のデメリットから、黄金株を発行しているのは主に中小企業のみで、日本の上場企業の中で発行しているのは国際石油開発帝石です。

主に石油や天然ガスの開発を行う企業で、エネルギーの安定確保が目的です。

国の基盤を支える企業という事もあり、黄金株を発行していながら東京証券取引所への上場が認められている唯一の企業になります。

なお、黄金株を所有しているのは経済産業大臣になります。

まとめ

以上が黄金株の解説になります。

黄金株は主に中小企業の事業継承に役立つ株で、他にも敵対買収に対する防衛策としても有効です。

今回の記事を読んで、株式に関する理解が深まれば幸いです。

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