外貨預金は確定申告が必要?外貨預金に関わる税金について解説します

みなさんの中には少しでも高い預金金利を求めて外貨預金を検討されている方も多いでしょう。
外貨預金について調べていると、確定申告が必要という記事を見かけたことがある方もいらっしゃると思います。
しかし会社員の方の中には確定申告は行ったことがない人もいらっしゃると思います。
そこで今回の記事では、
- 外貨預金で課税される利益をおさらい
- 為替差益
- 利息
- 海外の金融機関で外貨預金をした場合は確定申告が必要
- 国内の金融機関であれば原則確定申告は不要
- 外貨預金の確定申告で必要な書類
以上について解説していきます。
この記事を読んで頂ければ、外貨預金の税金の仕組みと確定申告までの流れを理解することができます。
ぜひ最後までご覧ください。
外貨預金で課税される利益をおさらい
外貨預金で課税される利益はどのようなものがあるのでしょうか?
外貨預金の利益は、為替差益と利息の二つパターンから発生します。
それぞれの利益が発生すれば、確定申告を行わなければならないかというと、そうではないのです。
では確定申告が必要な時はどのような場合なのでしょうか?
そもそも確定申告の義務は、給与所得者(会社員など)の場合は年収2000万円以上または、給与所得以外の収入が年間20万円以上の場合のみ発生します。
つまり、外貨預金などで得た収入が年間20万円以下の場合は確定申告不要となるのです。
また、年間20万円以上の利益を上げた場合でも確定申告が不要となる場合もあります。
詳しく見ていくことにしましょう。
為替差益
為替差益の場合は基本的に確定申告が必要です。
ちなみに為替差益とは、以下のような場合に発生する利益です。
- 1ドル=80円で1万ドルの外貨預金を開始
- 1ドル=110円になったところで1万ドルを全て売却
⇒110円-80円=30円
30円×1万=30万円(利益)
この30万円が為替差益となります。
30万円には、雑所得としてみなされ課税されることになります。
この雑所得は総合課税として確定申告します。
そのため、この30万円の利益は給与所得、退職金など給与と合算して税金の額が確定します。
ちなみに為替差損(損失が発生した場合)は確定申告不要?と思われるかもしれませんが、実はここが落とし穴です。
前述の通り、外貨預金は雑所得として他の所得と合算して課税される総合課税です。
そのため、その他の収入があれば課税額を相殺することが可能です。
外貨預金で損失が出た場合は、確定申告をされた方がいいでしょう。
利息
そもそも、預金で利息を受け取るにあたり課税されることをご存知でしょうか?
利息は利子所得として課税されます。
もちろん、円預金でも利息に対する税金の支払い義務が発生します。
皆さんの中で銀行に円預金をしていて税金を納めた経験がある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
実は円預金を行っている人全員、税金を納めています。
銀行が利息を支払うと同時に、源泉徴収という形で税金を差し引いた金額を預金者の口座に入金しているからです。
外貨預金も同様で、日本の金融機関で外貨預金を行っている場合は、こちらも源泉徴収という形で金融機関側が利息に対する税金を差し引いてから口座内に入金しています。
利息に対する税金は、所得税、住民税、復興特別所得税込みで20.315%課税されます。
こちらについては、金融機関側で源泉徴収してくれるため確定申告は不要です。
このことから、みなさんの銀行口座に振り込まれる利息は源泉徴収後の利息ということになります。
しかし、注意点があります。
実は国内の金融機関で外貨預金を行い利息を受け取った場合は、確定申告が不要ですが、海外の金融機関で外貨預金を行った場合は確定申告が必要となるのです。
詳しく見ていくことにしましょう。
海外の金融機関で外貨預金をした場合は確定申告が必要
前述の通り、国内の金融機関で外貨預金を行えば、日本の銀行で外国の通貨を保有しているとみなされ、円預金同様20.315%の税金が発生します。
この時、銀行側が源泉徴収してくれるので確定申告は不要となります。
しかし海外の金融機関で外貨預金を行っている場合は日本の源泉徴収が適用できないため、確定申告が必要となるのです。
ここでの注意点は海外の金融機関で外貨預金を行っている場合であっても、現地の国で課税され、日本の税金と合わせて二重に税金を支払ってしまうことがないようにしてください。
その場合、確定申告の際に外国税額控除という制度を利用してください。
外国税額控除のやり方を詳しく解説。外国証券の取引に備えて確認しよう
国内の金融機関であれば原則確定申告は不要
一方、日本国内の金融機関で外貨預金を行い、為替差益を受取り年間20万円以上の利益を上げている場合は確定申告が必要です。
しかし前述の通り、日本の金融機関は源泉徴収制度を適用しているため、利息については確定申告が不要です。
私達に支払われる利息は源泉徴収後の利息となります。
外貨預金の確定申告で必要な書類
では前述の例で為替差益で30万円の利益を出した場合の確定申告までの流れを考えていきましょう。
外貨預金での為替差益は雑所得となり、その金額も30万円です。
そしてこの雑所得は給与所得やその他の雑所得と合算されて課税されます。(総合課税)
まず、給与所得者の確定申告の際には以下の書類を用意してください。
- 対象年の源泉徴収票
- 確定申告第一表
- 確定申告第二表
- マイナンバーカード(通知カードも可)のコピー
まず、源泉徴収票を見ながら第一表に転記をしていきます。
【源泉徴収票】 ⇒ 【確定申告第一表】
支払金額 ⇒ 収入金額等(給与ア)
給与所得控除後の金額 ⇒ 所得金額(給与①)
所得控除後の額の合計 ⇒ 所得から差し引かれる金額(⑥から⑮までの計⑯)
源泉徴収税額 ⇒ 税金の計算(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額㊳)
続いて雑所得の記入ですが、
収入金額等(その他ウ) ⇒ 300,000
所得金額(雑②) ⇒ 300,000
これで第一表は記入完了です。
後は申告書に記載されている計算方法を確認しながら、税額の計算を行います。
第二表は、第一表を転記するだけです。
確定申告はとても簡単に行うことが出来ます。
しかし、確定申告の時期になって慌てないためにも年間で得た利益をあらかじめ把握しておくといいでしょう。
特にネット銀行の場合は通帳がないことが多く、ネットの明細も1年分はスクリーンショットなどでとっておき、利益をしっかりと把握しておく必要があります。
また、第二表を記入される際に「給与・公的年金等に係る所得以外(平成29年4月1日において65歳未満の方は給与所得以外)の所得に関わる住民税の徴収方法の選択」という箇所があると思います。
その際、「給与天引き」、「自分で納付」の二択がありますが、本業に副業知られたくない場合は、「自分で納付」に〇をつけるようにしてください。
もっとも外貨預金が副業とみなされるかどうかは定かではありませんが、こちらに〇をつければ本業に知られてしまうことはないでしょう。
まとめ
外貨預金の確定申告についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の記事のポイントは、
- 外貨預金で課税される税金は為替差益と利息それぞれに課税される
- 会社員は年間20万円未満は確定申告不要
- 利息は源泉徴収されるが、為替差益は源泉徴収されない
- 外国の金融機関で外貨預金を行う場合は確定申告が必要
でした。
外貨預金は円預金同様、銀行の商品の一つであるため確定申告が不要と思われることが多いようです。
しかし円預金と大きく違うのは為替差益が発生する可能性があるということです。
為替差益は源泉徴収されませんので、確定申告をする必要があります。
税金のことはわかりません、では済まされないので条件を満たせば必ず確定申告を行ってください。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。
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