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米国モールREITとそのトップ3の魅力

モトリーフール米国本社、2019年3月27日投稿記事より

多くの投資家は、小売関連株式への投資を怖がっています。

アマゾンや他のeコマース小売業者の影響で、小売業者の倒産、店舗の閉鎖など実店舗関連の大崩壊が続いています。

小売業界のいくつかの分野は確かに被害を受けていますが、すべての小売企業が同じ船に乗っているわけではないことを認識することが重要です。

一例を挙げると、ディスカウント志向の小売業が隆盛です。

最近コストコやファイブビロウ(低年齢者向けのディスカウントチェーン)に行ったことがあるなら、よくお分かりでしょう。

適切な小売業への投資を可能にするモール中心のREIT(不動産投資信託)があります。

ここでは、モールREITに投資する前に知る必要があることと、注目するに足る3つのREITを紹介します。

REITとは

REITは、特殊な種類の投資手段です。

ETF(上場投資信託)が投資家の資金を集めて株式、債券、またはその他の投資商品をまとめたものを購入するのと同じように、REITは、不動産資産ポートフォリオを所有する目的で多くの投資家から資金をプールします。

REITとしての認められるためには、投資会社はその資産の少なくとも75%を不動産または関連資産に投資し、その収入の75%以上を家賃または他の不動産関連から得る必要があります。

そしてREITは配当としてその課税利益の少なくとも90%を支払うことを約束しなければなりません。

このため、ほとんどのREITが高い利回りを維持しています。

REITには主に2種類あり、エクイティREITとモーゲージREITです。

エクイティREITは主に物的投資資産を所有、運営、開発および/または管理しているのに対し、モーゲージREITはモーゲージ、モーゲージ担保証券、その他のような金融関連資産に投資しています。

これ以降の説明では、REITという用語を使用する場合、エクイティREITを指します。

誰がモールREITに投資すべきか?

モールREITは、高いトータルリターンを求めている人々に向いています。

モールREITはしばしば平均を上回る配当利回りとなっており、さらに、小売業界が進化するにつれ優れた成長の可能性も提供します。

ただし、他の進化と同様に、古い小売環境から電子商取引主導の環境への移行は、一晩では行われません。

モールREITは、長期投資として厳密に検討すべきでしょう。

REIT投資家のための主要指標

一般的な株式投資に適用される多くの測定基準は、REIT投資でも活用できますが、いくつかの例外があります。

最も重要なのは純利益です。これは、株式について説明するときに「収益」という用語と同じ意味で使用されることがよくあります。

しかし、純利益は、REITがどれだけのお金を稼いでいるかを示す指標としては不十分です。

会計の議論に深く入りすぎませんが、主な理由は、企業が税務上の利益に対する控除として不動産を含む事業資産の減価償却が許されることです。

不動産保有が工場や倉庫を含む可能性があるほとんどの企業にとって、これは大きすぎる歪みにはなりがちです。

資産がほぼ完全に不動産であるREITにとっては、まったく別の話です。

減価償却「経費」は、REITの収益を実際よりもはるかに低く見せる傾向があります。

このため、REITの場合には、FFO(Funds From Operations)が重要になります。

FFOは、REITが賃料収入からどれだけキャッシュフローを得ているかを示す数値です。

FFOでは、減価償却費を元に戻し、REITが実際にいくら稼いでいるかについて明確な全体像を示すために他の小さな調整を行います。

FFOをREITにおける「収益」と考え、使用してください。

たとえば、価格収益分析を行うときなどです。

REIT投資家が知っておくべきもう一つの重要な測定基準は、「キャップレート」です。

これは、取得原価(または現在の市場価値)に対する施設の年間収益をパーセントで示したものです。

新しく取得した物件の収益性を示すために使用したり、売却した物件に対してREITがどれだけの価値を得たかを示すために使用することができます。

例として、REITが7%のキャップレートである不動産を1,000万ドルで取得した場合、これはその不動産が年間70万ドルの営業利益を生み出すことが期待されることを意味します。

なぜモールの不動産に投資するのか?

モールが堅実な投資対象である理由はいくつかあります。

・モールは非常に多様なテナントで構成される傾向があります。 1つのモールに100の異なる店舗がある場合、それは収入をどのテナントにも依存し過ぎません

・モールはまた、テナントにスペースを長期的にリースする傾向があり、賃料の漸進的な増加(エスカレーターとして知られる)が組み込まれています。

・小売業界に影響を及ぼしている現在の逆風のために、モールREITは低い評価額で取引されています。

最新の入手可能な情報によると、平均的なショッピングモールの資産は8.2%のキャップレートで評価されています。

平均的なマンション(5.3%)および工業用物件(6.4%)のキャップレートと比較してみてください。

言い換えれば、商業施設は、他の多くの種類の商業用不動産よりも潜在的な収益性において著しく低い価値で評価されています。

また、モールを含むほとんどの商業用不動産は、一般的にA、B、Cのいずれかに分類されます(Dもありますが、通常は投資対象ではありません)。

モールが特定の「クラス」に含まれるためには公式基準を満たす必要はありませんが、クラスAは良好な立地で近代的な設備を備えた一流モールを指し、クラスBおよびクラスCはそれよりも低い質のモールを指します。

投資に適したモール

一言で言えば、投資の検討範囲は、変化する小売環境にうまく適応する可能性が高いモールに絞り込むことが良いでしょう。

たとえば、多くの飲食店、多目的スペース、近代的な設備を備えたクラスAモールには、オンラインショッピングでは再現できない体験的な要素があります。

その一方で、古いモールや、少数の大規模な百貨店やたくさんの既存小売店舗の古いスタイルのモールモデルに厳密に依存しているものは、小売業の変化を乗り越えることはできそうもありません。

すでにクラスBおよびCモールの不動産に特化したREITの損失や配当金の減少が見られますが、多くの場合、苦痛はさらに悪化するでしょう。

モールREITへの投資リスク

電子商取引の競争およびそれが引き起こす可能性のある潜在的なテナント破産のリスクは別として、REIT投資家が検討すべきリスクは以下の通りです。

・金利:一般的に、金利が上昇する環境はREITにとって良くありません。無リスク金利(10年物国債利回りがREIT指標です)が上昇するにつれて、投資家はREITのようなインカムベースの投資に高いリスクプレミアムを要求します。利回りと価格は反対方向に動くので、これはREIT価格に下押し圧力となります。

・コストのかかる借り入れ:ほとんどのREITは借り入れにより成長するため、金利の上昇は借り入れコストが高くなることを意味します。

・執行リスク:ショッピングモールが消費者の動向変化に適応するためにかなりのリソースを投資する場合、それらの変化に適切に対応するために大きなプレッシャーに直面します。例えば、あるモールREITの場合、シアーズやJCペニーのような苦戦していたアンカーストアが以前占めていたスペースを改装して再利用するための計画について話し合います。変革が、新しいテナントの誘致とより高い賃料収入で成功するならば、それは素晴らしいでしょう。しかし、うまく行かない場合もあります。

モールREITのトップ3

REITの投資全般と投資に適したモール不動産について説明しましたので、いくつか例を見てみましょう。

ここには、進化し続ける小売業界で好調を維持できると考えられる3つのモールREITがあります。

これらはすべて、ユニークな戦略を展開しています。

REIT名(ティッカー) 特徴 5年間の配当成長率(年率換算)
サイモン・プロパティ・グループ(SPG) 最大のモールREIT。ハイエンドモールとアウトレットセンターを所有 9.5%
タンガー・ファクトリー・アウトレット・センターズ(SKT) アウトレットモール:最大のアウトレット特化型ショッピングREIT 9.5%
トーブマンセンターズ(TCO) 高級ショッピングモール 4.6%

出典:企業の配当記録。配当成長率は2018年時点

サイモン・プロパティ・グループ

サイモン・プロパティ・グループは大規模なREITです。

実際、それは世界であらゆる種類の最大REITの1つです。

サイモンは、クラスAショッピングモールとアウトレットセンターの大きなポートフォリオを所有しています。

「The Mills」ブランドは、高い質と現代的なショッピングモールでよく知られています。

そして「Premium Outlets」ブランドは、小売店でトップのマーケットシェアを持っています。

もちろん、サイモンに小売業の苦痛に対する免疫があるわけではありません。

実際、シアーズは主要なテナントであり、他のいくつかの苦戦している小売業者はサイモンのモールで存在感を持っています。

ただし、サイモンの戦略は、人々が実際に行きたいと思うショッピングスペースを創造することです。

それは、一流のアメニティ、たくさんの小売業および娯楽のオプション、そしてその他の非小売機能を提供することによってこれを達成することを目的としています。

実際、サイモンは空いているシアーズの施設をいくつかの最大の機会と捉えています。

サイモンはその空きスペースを利用して、ホテル、アパート、オフィスなどの非小売要素をモールに組み込んでいます。

これは、小売テナントにとって魅力的な集客要因となります。

業績は、サイモンの戦略がこれまでにどれほど効果的であるかを示しています。

サイモンの一株当たりFFOは目覚ましい割合で上昇し続けており、そのポートフォリオ占有率は着実に高く、2018年時点で5年間の平均96.3%でした。

サイモンの小売テナントが微笑む理由がありました。近年、床面積当たりの売上高が確実に上昇しています。

そして、サイモンは、世界各地の主要なショッピングスペースにおいて再開発し続けているので、この傾向が続くことができないと考える理由はありません。

タンガー・ファクトリー・アウトレット・センターズ

タンガー・ファクトリー・アウトレット・センターズは第2位のプレーヤーですが、アウトレットショッピングにはまったく問題がありません。

アウトレットショッピングはEコマースの移行から好調に推移する可能性があるだけでなく、2019年初めの時点でREITはかなり安く取引されていました(FFOの10倍以下、業界平均の約半分)。

ですから、それは魅力的なリスク・リターン特性を持っています。

2018年末現在、タンガーは、米国およびカナダ全土に44のアウトレットセンターを所有しており、1,500万平方フィートのスペースがあります。

先に述べたように、店舗は買い物を楽しめるような経験的な要素を持っているだけでなく、厳しい時期にも持ちこたえる傾向があります。

CEOのスティーブン・タンガーが言うように、「良い時には人々はバーゲンを愛し、厳しい時には人々はバーゲンを必要とする」と述べています。

実際に不況に強いビジネスモデルのおかげで、タンガーの占有率は過去25年間で、たとえ大不況のただ中においてさえも95%を下回ることはありませんでした。

最後に、小売業界の混乱が収拾すれば、タンガーには成長する余地がたくさんあります。

タンガーのアウトレットセンターの大多数は米国東部にあり、アウトレット業界は小売全体のごく一部です。

タンガーは、近年の成長にブレーキがかかっていますが、将来、その傾向が変わっても驚くことはないと考えられます。

トーブマンセンターズ

トーブマンセンターズは、高級ショッピングモールとアウトレット物件を組み合わせた26の小売施設のポートフォリオを所有しています。

トーブマンは、業界をリードするモールREITの中でも1平方フィート当たりの売上が最も高いという歴史があり、業界で最も生産性の高い小売物件を誇っています。

2018年のトーブマンのショッピングモールの1平方フィート当たりの売上は、サイモンより31%多く、タンガーの2倍以上でした。

そのため、トーブマンのポートフォリオは業界で最も高い賃料を要求していますが、それでもテナントにとっては比較的お買い得です。

トーブマンの平均小売テナントは業界の平均賃料よりも高い賃料を払っていますが、実際にはスペース当たりで生み出す売り上げで比較した場合、競合モールのREITよりも賃料支払いは少ないです。

そして、トーブマンは常に高い占有率で、その敷地内スペースの需要が不足することはありません。

トーブマンの戦略は簡単です。最良の場所で最良の小売資産を所有し、最良のテナントでそれらを埋めることです。

時間の経過とともに、低い質の小売物件が市場から退出するにつれて、トーブマンの物件は着実により多くの販売トラフィックを獲得する可能性があり、そのためさらに優れた賃貸収入を生むことでしょう。

トーブマンはまた、オムニチャネル小売の魅力を受け入れ、オンラインで運営するテナントを歓迎します。

ほんの数例を挙げると、アマゾンはトーブマンから小売スペースを借りています。

Casper、Untuckit、Pelotonなどのブランドもそうです。

さらに、トーブマンは問題のあるデパートへのエクスポージャーをほとんど持たず、代わりにメーシーズやノードストロームのような経済的に堅固なアンカーストアに大きく依存しています。

間違った種類のモールREITへの投資

すべてのモールREITが、現在の小売環境への良い投資であるとは限らないことを忘れないでください。

具体的には、モールREIT投資家は、配当利回りトラップ(持続不可能な高配当を支払う低品質モールのポートフォリオを持つREIT)に魅了されないようにすることが重要です。

いくつかのケースでは、ひどいパフォーマンスとそれに続く価格急落のため、特定の低品質モールREITの配当利回りは2桁にまで達しています。

しかし、これらの配当に持続可能性があるとは考えにくいです。

低品質のモールの多くでは、シアーズやJ.C. ペニーのような苦しんでいるテナントがスペースを借りており、それらのすべての物件を効果的に再開発するためのリソースを持っていません。

結論としては、クラスAとアウトレットモールにこだわるべきとの見方があります。小売業界が徐々に電子商取引の拡大に適応しているため、それらのREITが良好なリスク・リターン特性を有しているためです。


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