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アメリカの雇用統計が日本に与える影響とは?雇用統計の分析方法も解説

出典:Getty Images

雇用統計とはアメリカの金融政策に大きく関わってくる指標になります。

アメリカの事だから日本とは関係ない、という事はありません。

アメリカが世界最大の経済大国である以上、アメリカの金融政策や景気によって日本のマーケットにも大きな変化が生まれます。

株式相場はもちろん、FXを始める人は常に気にしておく必要があります。

そこで今回はアメリカの金融政策に大きく関わってくる雇用統計とは何なのか、どの項目に注目するべきなのか、いつに発表されるのかなどを説明していきます。

この記事を読めば雇用統計に関する知識が手に入り、経済や投資への理解が深まるはずです。

雇用統計とは?

雇用統計はアメリカの労働省が発表している、雇用情勢に関するレポートです。

複数の項目に分かれていますが、重要になってくるのは非農業部門雇用者数と失業率の数字になります。

それぞれの項目ごとに説明します。

非農業部門雇用者数

分かりやすく言うと、農業以外で給料をもらっている人が何人いるのか、という数字になります。

アメリカは移民の国のため、日本のような終身雇用では無く、企業の業績が悪ければすぐに労働者をリストラします。

日本に比べれば転職へのハードルが低くなっており、業績が良くなれば、すぐに雇用を増やします。

つまり、非農業部門雇用者数が増えれば企業全体の景気が良いと判断できます。

アメリカのGDP(国内総生産)は雇用の増加によって変化します。

なぜなら、アメリカのGDPは個人消費だけで約7割を占めており、個人が雇用に付いて安定して給料を貰えないと上がりません。

反対に雇用に付けない人が増えて、給料を貰えなくなるとGDPは下がってしまいます。

一般的に、非農業部門雇用者数が毎月10万人以上増加しないと、アメリカの経済は安定しないと言われます。

そしてアメリカ経済を成長させるには毎月20万人以上増加する必要があります。

反対に10万人を下回るとアメリカ経済への不安感が世界中に広まり、大暴落などが起きる危険性がぐっと高まります。

非農業部門雇用者数を見る時は10万以下なら危険、10万以上15万以下なら要注意、15万以上20万以下なら様子見、20万以上なら景気上昇と覚えておきましょう。

失業率

アメリカの失業率は、失業者数を労働人口で割ったパーセンテージになります。

上記でも触れたように、アメリカは景気が悪くなるとすぐにリストラを行うため、不景気の時は失業率が上昇します。

そのため、アメリカの景気を知る上で役立つ指標です。

一般的にアメリカの失業率が5%前後なら、通常の水準と考えられます。

5%を大きく下回るのなら、雇用が増えて消費が増え、景気拡大に繋がります。

反対に5%を上回ってしまうと、雇用が減り消費も減ってしまい景気が冷え込んでしまいます。

雇用統計を見るうえで注意すべきポイント

非農業部門雇用者数や失業率はアメリカ経済の状態を表していますが、実際の景気と僅かにずれています。

なぜなら、企業が雇用を増やすのは消費が増えて生産を増やす必要になったタイミングになります。

まずは消費が増えないと雇用は増えないのです。

景気が変化してから雇用が変化するため、雇用系の指標は景気に対して遅れてしまいます。

非農業部門雇用者数は「アメリカ経済をリアルタイムに表す指標」と言われていますが、それでもワンテンポ遅れているという事を念頭に置きましょう。

また、失業率は景気が悪くなってもすぐにリストラを行う企業と、そうでない企業もいるため、非農業部門雇用者数よりも遅れて反映されています。

雇用統計はアメリカ時間のいつ発表される?

雇用統計は毎月第1金曜日の、ニューヨークの現地時刻8時30分に発表されます。

アメリカはサマータイムを導入しているため、日本だと4月から10月までは毎月第1金曜日の21時30分、11月から3月までは毎月第1金曜日の22時30分に発表されます。

日本から確認する場合は、証券会社のホームページから確認するのが見やすいです。

アメリカの雇用統計のみならず、各国の経済発表に関するレポートをまとめて表示し、独自の解説などもされているため内容を理解しやすいです。

雇用統計と株式相場との関係

非農業部門雇用者数が良好だと、アメリカの経済は順調だと判断されます。

企業の業績が上がり、給料も上がれば自然と物価も上がります。

すると、市場全体がインフレ方向に行こうとするため、アメリカの経済を一手に担うFRB(連邦準備理事会)が金利を引き上げてインフレを防ごうとします。

これを「利上げ」と呼び、アメリカドルは世界の基軸通貨として使われているため、利上げが行われるとドルの価値が高まります。

日本から見ると、円の価値が下がってしまうため、非農業部門雇用者数が増えると円安ドル高になります。

円安ドル高になると、1ドル=100円だったのが、1ドル=200円となります。

ドルの価値が高くなり、1ドルの物を買うのに100円分損をするようになります。

しかし、1ドルの物を売る場合は100円分得をします。

そのため、円安ドル高になると輸入が不利になりますが、輸出は有利になります。

反対に非農業部門雇用者数が減るとドルの価値も下がるため、円高ドル安の傾向になります。

1ドル=100円だったのが、1ドル=50円となります。

1ドルの物を売るのに50円の損が発生しますが、1ドルの物を買う時は50円分得をするようになります。

つまり、円高ドル安の場合は、輸入が有利になり、輸出が不利になるのです。

どちらのパターンでも日本の株式相場にも変動が起きやすくなるため、注意しましょう。

一般的に、利上げは慎重に行われますが、利下げ(デフレを止める経済性格)は大胆に行われますので、判断は早めにした方が賢明です。

アメリカの雇用統計を見ることで相場の流れを読み取れる

アメリカは世界最大の経済大国であり、アメリカドルは基軸通貨です。

アメリカの金融政策次第で、ドルの価値は変化し、世界中に影響を与えます。

遠く離れた日本にも大きな影響を与えるため、アメリカの相場は重要になってきます。

そのためにも、アメリカの金融政策に影響する雇用統計に注目し、自分なりの分析をして相場の流れを読み取るのが大切です。

まとめ

以上が雇用統計の解説になります。

経済とは自国だけで完結しているのではなく、他の国と互いに影響しあっています。

その中でもアメリカの影響力は凄まじく、「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引く」といった格言もあるほどです。

今回の記事を読んで、経済や投資への理解が深まれば幸いです。

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