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ベーシックインカムとは?メリット・デメリットや導入事例も紹介

近年、「ベーシックインカム」という政策を、日本に導入可能か、導入すべきかといった議論も含め、耳にするようになりました。

個人に政府が無条件で毎月お金を配布するベーシックインカムは、究極のバラマキと批判を浴びています。

一方で、今後ほとんどの職がAIに奪われ、経済が人間なしでまわるようになると考えると、現実的な解決策の一つであるようにも思えます。

今回は、ベーシックインカムをテーマに、そのメリット・デメリットについて、あらためて考察していきます。

また、世界での導入事例を見ていく中で、今後日本での導入可能性の有無について、筆者の主観交じりにはなりますが、考察していきます。

ベーシックインカムとは?

ベーシックインカムとは、政府が全ての国民に対して最低限度の生活を保障するための資金を無条件で支給する社会政策です。

「最低限度のお金を政府から直接支給」というと生活保護といった既存の社会保障政策が既になされています。

しかし、生活保護は需給にあたって収入状況や資産状況などの要件がある個別の政策であるのに対し、ベーシックインカムは、「全ての」国民に、「無条件で」支給するという構想です。

また、「全ての人に平等に」というコンセプトから社会主義を連想する方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的には「ベーシックインカム以外の経済活動については国は不関与」という資本主義、市場経済的な発想のもとに成り立っています。

ベーシックインカムのメリット

ベーシックインカムについて初めて考える機会を持ったという方は、政策の是非について様々な意見を抱かれるかと思いますが、実はベーシックインカムの実現には数多くのメリットがあると言われています。

今回は理解が容易かつ効果の大きいものにしぼり、3つ解説します。

社会保障制度が簡素化する

現在、生活保護、年金などの社会保障制度は窓口がわかれ別々の領域として扱われていますが、ベーシックインカムの実現によりこれらの制度は統一することができます。

必然的に、現在行政にかかっているコストも削減することができ、財源確保にもつながります。

労働環境の改善、職業選択の自由度の増加

現在、労働問題のなかで非正規雇用の正社員との格差問題や、安い賃金で労働者を酷使するブラック企業など、労働環境が話題になりますが、これらはベーシックインカムにより是正が期待できます。

すなわち、比較的収入がありながら、各種の社会政策や税制において優遇されている正社員と、その恩恵を受けづらい非正規社員との格差が是正されやすくなります。

また、国から最低限の保証がなされることにより労働者がブラック企業を「辞めたくても辞められない」という負のサイクルから脱却することが可能になります。

ブラック企業は存続のために環境を改善せざるを得ない状況に追い込まれます。

最後に、ベーシックインカムの実現により、起業や芸術家を含め、職業選択の幅が広がることが期待できます。

これらは現在、一般にリスクの高い選択と考えられ、それを理由に不本意に選択が諦められるケースも多いです。

最低保証額が国から支給されることで、そういった選択を取ることができる割合が増加することが期待できます。

企業の経済活動への恩恵

ベーシックインカムが存在することは、企業の経済活動においてもメリットが出ます。

まず、ベーシックインカムが支給されることにより、最低賃金が撤廃できるとともに、雇用の流動性を高めることができます。

現在、日本企業の正社員は非常に解雇しにくい仕組みになっていますが、ベーシックインカムという保証があることで、正社員を解雇しやすい状況になる可能性があります。

生産性の低い社員を抱え、倒産するリスクが軽減されます。

また、最低賃金の撤廃により、賃金の安い海外の労働力にコストで対抗できるようになり産業の空洞化を防げるとも言われています。

 ベーシックインカムのデメリット

一方で、ベーシックインカムのデメリットとして主張されている内容に関しても簡単にまとめてみます。

財源不足への不安

ベーシックインカムは理屈の上では実現すれば恩恵の大きそうな仕組みではあります。

しかし、実際のところ全ての国民に最低限生活が可能なだけの資金を給付するとなると、莫大な財源の確保が必要となってきます。

その財源をどこから確保するのか、常に問題となるポイントです。

その手段が増税しかないとすると、結局なんらかの形でどこかに負担を押し付ける形となり、堂々巡りになってしまいます。

倫理的観点からの問題

ベーシックインカムは就労状況、生活状況に関わらず、無条件に支給される資金です。

給付されるのと別に、自身で得る収入については何の制限も、控除もないため労働意欲の向上につながるという意見もありますが、一方で、「何もしないでも得られる」お金があることで労働意欲の低下が懸念されるという意見もあります。

また、同様に「性悪説」に立って考えると、ベーシックインカムが浪費に回される、反社会的勢力にも支給されることで、犯罪資金になりうるといった懸念もなされています。

弱者の切り捨てになりかねない

全国民に平等が額の支給を行い、既存のシステムを廃止することは、既存の社会保障システムの中で受けている恩恵の多い社会的弱者、低所得者を切り捨てることになりかねないことも意味しています。

世界でのベーシックインカム導入事例

現在、日本では議論されてるにすぎないベーシックインカムですが、世界では実験的に、もしくは限定的に導入が実施されている例もあります。

たとえば、カナダのオンタリオ州で貧困層4000人に限定した期間限定の支給を開始しましたが、当初3年間を予定していた実験は政権交代により1年で打ち切りとなりました。

まだそれだけ賛否が分かれており、不安定な仕組みであるともいえます。

フィンランドでも、無作為に選ばれた失業者2000人に対し、2年間の期間限定での実験が行われました。

この実験は終了しましたが、受給者の生活の質の向上といった成果が報告されています。

ケニアでは、国主体ではなく、慈善団体主体ではありますが、12年間というかなりの長期にわたっての実験も行われています。

ベーシックインカムは日本で導入の可能性はある?

ベーシックインカムは、今後日本にも導入可能性はあるのでしょうか?

当然、未来のことを確定的に論じることはできませんが、少なくとも現状の延長線上としては、日本での導入可能性は決して高くはないと考えます。

まず、現在の日本においてベーシックインカムの財源の確保は困難であり、かつ現状の与党である自由民主党はベーシックインカムの導入に否定的です。

現状の複雑な社会保障システムの統一のハードルの高さも考えると、前向きかつ、スムーズに導入されることは中々難しいのではないでしょうか?

ただ、年金制度をはじめとした既存のシステムの未来が悲観視されている中、また、産業構造やその他の状況が変化していく中で、先進的に取り組んでいる各国の成果次第では導入が検討される可能性も、当然存在します。

まとめ

ベーシックインカムは日本ではなじみの薄い制度ではありますが、現状の社会問題の現実的な解決策の一つとして有効な仕組みであると期待視されている部分も大きいです。

財源確保の問題や、倫理的観点の問題などクリアすべき問題も多いですが、世界の中では実験的に導入もスタートしています。

現在、日本で前向きに検討されているとは言い難いものではありますが、今後取りうる可能性のある一つの選択肢として知識としては抑えておきたいものです。


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