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バリュー投資とは?バフェット氏も推奨する投資手法の王道について解説

かの有名な米国人投資家、ウォーレン・バフェット氏は、自分が編み出した投資戦略を使って世界の大富豪の仲間入りを果たしました。その投資戦略は「バリュー投資」ともいわれています。

成長株(グロース)投資の対極と見なされるバリュー投資は、市場で過小評価されているいわゆる割安株に投資することによって大きな収益を上げようとする投資法です。

この戦略では、投資家は企業の本質的価値を計算し、実際の株価と比較します。株価がその企業の本質的価値よりも大幅に割安な場合に、投資家はその株を購入します。

今回はこのバリュー投資について、キーになる考え方、バリュー投資戦略法、そして他の投資法との違いについて解説します。

大富豪も推奨するバリュー投資を参考にしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

バリュー投資とは?グロース投資との違い

バリュー投資と他の投資法との違いは、バリュー投資家が、株には本質的価値があると考えていることです。

この価値は、将来のキャッシュフロー純利益を使って計算されます。

一方、成長(グロース)株投資家は、潜在的成長性を重視します。

例えば、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を持つアマゾンのように、将来大きく成長して収益の柱となる可能性のあるオプションをより重視します。

これに対してバリュー投資家は、将来の可能性ではなく、より確実にでてくるキャッシュフローや利益に対して割安な株を探し出すことに注力しています。

バリュー投資家は、投資が確実にリターンにつながる安全余裕度という尺度を基に投資を始めます。

例えば、1株100ドルの本質的価値のある株に対して20%の安全余裕度を見積もった場合、この株を80ドル以下で買います。

そして、この株が100ドル以上に値上がりした時に売ることを考えるのです。

成長株投資家はバリュー投資家が割高だと思うような株でも、将来的なポテンシャルがより高いと考えるときに投資する傾向があります。

バリュー投資を始めるには?割安な株を見つける方法

理論上妥当な事業評価方法としてDCF法があります。

DCF法とは、投資家が企業の将来のキャッシュフローを予想し、加重平均資本コスト(WACC)等の割引率を基に、将来のキャッシュフローを割り引くという方法です。

DCF法には、フリーキャッシュフロー(FCF)よりも配当金支払いに注目した配当割引モデル(DDM)などがあります。

このモデルは、FCF以外のキャッシュフローからその企業の本質的価値を割り出すものです。DCF法では、株の正味現在価値(NPV)を推定しようと試みます。

割安な株を発見する他の手法としては、含み資産に着目する方法があります。

含み資産株とは、土地や知的財産などの有形・無形の資産を保有しながらも株価にそれらが適切に反映されていない株のことです。

今日の株式市場では、ひと昔前よりも特許権などの無形資産を評価する傾向があります。

例えば、アメリカンコミックで有名な、マーベルコミック社の市場価値は、2000年代初めから、ディズニ―社により40億ドルで買収された2009年にかけて20倍以上も上がりました。

ディズニ―社による買収の結果、ヒット作「スパイダーマン」を始めとして、「アベンジャーズ」や「ブラックパンサー」などがウォルト・ディズニー・ピクチャーズから配給され、マーベルコミック社に埋もれていた膨大な無形資産が次々と明らかになったのです。

バリュー投資は歴史のある投資手法

次に、バリュー投資がいかに歴史的に成功しているか説明します。

バリュー投資の父とされる人物ベンジャミン・グラハム氏は、コロンビア・ビジネススクールの教授で、1947年に「The Intelligent Investor」という本を書きました。

グラハム氏は、一般投資家が株式投資で利益を得るための方策として、「本質的価値」という新しい概念を考え出しました。

ただ彼は、この概念を十分に定義しなかったため、この言葉の意味は、投資家自身の解釈に任されることになりました。

その後の「大恐慌」による3年以上の市場の暴落は、ダウ平均で89%もの壊滅的な下落を引き起こし、多くの投資家達が市場から消えて行きました。

この時、グラハム氏は、「低価格で取引する収益性の高い大企業への投資が最良の投資効率を上げる」という考え方を基に、「バリュー投資」という新しい投資法を編み出しました。

彼はまた、バランスシート上に明示されている有形資産価値を持つ企業に焦点を合わせて、その株価純資産倍率(PBR)に注目すべきで、PBRが1.33以上の株への投資は避けるべきであるとの考えを唱えました。

分かりやすく言うと、株価は簿価(資産価値から負債)を差し引いた値を反映するもので、株価は簿価の1.33倍までが妥当だということです。

バリュー投資の代名詞、ウォーレン・バフェットの投資手法

バークシャー・ハサウェイ社の創業者兼CEOであり、かつてベンジャミン・グラハム氏に師事していたウォーレン・バフェット氏は、グラハム氏のバリュー投資の後継者と言えます。

バフェット氏は、「他が恐れている時こそ積極投資のチャンスである」などの分かりやすい格言で、個人投資家達からの人気を集めています。

グラハム氏の考えを踏襲したバフェット氏は、安定したキャッシュフローを持つ企業の中で割安に放置されている株に注目しました。

これまで彼は、コカ・コーラ社や銀行業関連銘柄であるウェルズ・ファーゴ社のような消費者へのブランド関連銘柄に好んで投資しつつ、ヘルスケア・製造業・エネルギー関連銘柄の中からもバリュー投資を行っています。

また、割安さだけでなく事業の質にも注目しています。

具体的に説明すると、経済的な競争優位を持つ株、またはブランドネーム、ネットワーク効果、スイッチングコストなどの継続的な優位性を備えた株に好んで投資しています。

例えば、コカ・コーラのブランドは世界で長期間通用するブランドで、これを追い越す競合は現れそうにもありません。

バークシャー・ハサウェイ社は、50年以上に渡って年平均20%以上の利益率を誇っており、そのおかげでウォーレン・バフェット氏は、今や世界的大富豪となり、同社の初期の株主は億万長者になることができました。

バフェット氏は、最近の株主宛て投資レターの中で、多くの銘柄の株価が割高になっていて、妥当な価格で買いにくくなっていると苦言を呈しています。

世界で最も尊敬されている投資家の一人として、バフェット氏の株主向け年次レターの内容は細部まで読み込まれており、このニュースレターを通じて、バフェット氏は彼の支持者たちに、現在の世界の株式市場と投資家の投資行動についての考え方を発信し、彼らの精神的な支柱となっています。

その他の有名な投資家には、ピーター・リンチ氏がいます(グロース投資で語られることが多いが、バリュー投資の側面も持つ)。

彼は、PERに類似した成長力を測るバロメーターであるPEGレシオに注目しています。

PEGレシオはPERを収益成長率で割るため、この数値が低いほど成長性の割には割安ということになります。

もう一人の有名なバリュー投資家であるセス・クラーマン氏は、外部環境からのノイズには耳を傾けず、また、リターンのことばかりを考えずに、リスク管理に注力すべきであると言っています。

バリュー投資のデメリット

以上のバリュー投資戦略は、バフェット氏、グラハム氏、リンチ氏の売買では大成功を収めましたが、欠点も含んでいます。

最大の欠点は、まだ、収益性の低い、急成長過程にあるスタートアップ企業が投資対象から外されてしまいがちなため、これらの企業がその後大化けした時に乗り遅れてしまうことです。

例えば、金融危機以来のマーケットラリーをけん引して来たのは、いわゆるバリュー株ではなく「FANG」グループのような成長株であり、アマゾン社やネットフリックス社のような数千%も上昇した株へのスマート投資(スマートベータ指数に基づく投資)でした。

この投資法は、金融危機で凋落した何十人もの投資家達をよみがえらせ、独力で富を築くことを後押ししたのです。

とくに、ウォーレン・バフェット氏は、最近の彼の最大の失敗の一つが、アマゾン社やアルファベット(Google)社が駆け出しの頃に、これらの企業に投資をしなかったことだと認めています。

彼はずっと前にアルファベット社による広告業界支配の状況を気付いていましたが、株価が高値にあったことと、ハイテク株に関心がなかったために、この株を購入しなかったのです。

人気の高いバリュー株(米国株)の一例

以下は、米国株の中で、投資家に人気のあるバリュー株の例です。

  • アップル社
  • デルタ航空社(世界最大の航空会社)
  • ベライゾン・コミュニケーションズ社(多国籍通信会社)
  • コールズ社(P百貨店チェーン)

バリュー株を選別する最も簡単な方法は、株価収益率の低い株を探すことでしょう。

投資家が注目するPERは、1ドルの純利益に対して投資家が支払う金額を表しており、株が安いかどうかを判断するために最も頻繁にみられる指標です。

例えばPERが16の場合、1ドルの企業収益に対して投資家が16ドルを支払っていることを意味しています。

ゼネラルモーターズ(GM)は、今日、わずかPER=6で取引されています。(2018年10月時点)

その理由は自動車メーカーが、EVや自動運転自動車(ADAS)が登場してくる時代まで成長し続ける能力があるかどうかに投資家は疑問を持っているからです。

また自動車販売もピークを打ってきています。一方、テスラ社は、GM社よりもはるかに小規模にも拘らず、時としてGMを上回る時価総額になっています。

同様に、2023年までに20種類の電気自動車を発表する計画を持つクルーズ社の買収により、EVやADAS分野での立場を強化したGM社は、依然として将来も自動車業界の強力なプレイヤーであることは間違いないでしょう。

今季のGM社の一株当たり利益は横ばいと予想されているものの、利益率が高いピックアップトラックの新しいラインアップが追加されるため、来期には増益基調に転じるという予想もあります。

バークシャー・ハサウェイ社はこのGMの株を保有しています。

もうひとつ最近購入したばかりの有名なバリュー投資銘柄は、アップルです。

このiPhoneメーカーのPERは18で、依然としてPER平均が25のS&P 500よりかなり割安に放置されています。

アップル社は世界で最も収益性の高い企業で、年間約500億ドルの利益を上げていて、2850億ドルもの比類のない巨額の現金を保有し、負債分を差し引いても1630億ドルのネットキャッシュを持っています。

ネットキャッシュを差し引いたこの株のP/Eレシオは14になります。

アップルは、規模が非常に大きく会社の収益性が高いため、顕著な成長はもう見込めなくなってきています。

しかし同社は、サービス部門にApple Store・iTunes・ Apple Payなどの高成長企業を持ち、インターブランド社による格付けでは、世界で最も価値のあるブランドと認定されており、強豪優位性やキャッシュフローもしっかりしているため、バリュー投資家に十分魅力的に映ります。

最後に、統合後の大手4社によって、市場の80%が寡占状態になっている航空業界は、航空株を保有しているバフェット氏のようなバリュー投資家にとって魅力的になってきています。

デルタ航空のPERは10倍です。

同社は配当を実施しており、過去2年間の競争圧力で低下していた単価も本年度は向上へと向かっています。

新税法もアトランタを拠点とするこの航空会社の利益を生む効果があります。

バフェット氏は最近、航空株を買い増すと言っていますが、デルタ航空は、業界内部での強固な位置を占め、キャッシュフローもあるため、バフェット氏の買いの候補にになる可能性があります。

最後に:バリュー投資のメリット

バフェット氏が示しているように、バリュー投資は巨額の利益を生み出すことができます。

しかし、あなたがバリュー株に投資するか否かは、あなたの投資目標と投資対象期間に大きく関係してきます。

あなたが、財産の保全と低リスク・低リターンを目標としたタイプの投資家なら、バリュー投資はあなたに合った投資法と言えます。

企業規模が大きくて収益性の高い、銘柄によっては配当性向も高い、バフェット氏やグラハム氏が推奨するような株を購入すれば、大幅な損失を出さずに済むうえ、運よく対象銘柄の中に出遅れ株を見つけることができれば、市場を上回るリターンが得られるはずです。

バリュー投資とその原則を踏まえて作られたバリュー株と成長株をミックスした多様なポートフォリオこそが、投資家に安定したリターンを提供し、かつまた弱気相場でも生き残ることができるのです。

いくつかの研究によると、ポートフォリオの多様化は、リターンを失うことなくリスクを下げる最善の方法のひとつであることが示されています。

配当を実施している多くのバリュー株をポートフォリオに加えることにより、配当利益を中心とした複合的な利益の力によって、長年に渡り良いパフォーマンスを得ることができるということです。

若い投資家は、成長株にポートフォリオを傾けたいと思うかもしれませんが、投資家にとって出遅れ株を選ぶことは、相場に勝つための試行錯誤の結果編み出された妥当な方法といえます。


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