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【米国株動向】全固体電池銘柄に投資する

出典:Getty Images

モトリーフール米国本社、20211011日投稿記事より

全固体電池と聞いても馴染みの薄い投資家が多いと思いますが、これは電気自動車(EV)や、ひいては再生可能エネルギー業界全体を大きく変える画期的な技術です。

一言でいうと、全固体電池(ガラス電池とも呼ばれます)は、EVで現在一般的に使用されているリチウムイオン電池よりはるかに進んだ技術です。

全固体電池は電解質のエネルギー密度が高く、リチウムイオン電池より小さいスペースで同程度のパワーを生み出すことができます。

発火性がないためにリチウムイオン電池のような発火防止の装置は不要であり、充電速度は速く、エネルギー密度が高いということは走行距離が長くなります。

まだ新しい技術ですが、近年のEV需要の爆発的増加を考えれば、投資対象としては極めて魅力的な市場です。

以下に挙げる3社は、全固体電池技術の分野で重要な特許を持っている企業です。

クアンタムスケープ

技術は実験段階で具体的な収益ももたらしていない全固体電池業界の中でリーダーを選ぶのは難しいですが、クアンタムスケープ(NYSE:QS)は投資家の注目を集めています。

同社は2020年後半に特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場し、12月には時価総額が一時500億ドルを上回るまで高騰しましたが、その後に株価は落ち込んでいます(執筆時点)。

同社の単層セルの電池は、わずか15分で容量の80%まで充電できることが実験で示されましたが、燃料電池として完成させるには数百個ものセルが必要になります。

単層セルの実験結果は前進と言えますが、実用的な全固体電池の生産ははるかに複雑になると予想されます。

一方で、好材料として、クアンタムスケープは世界的自動車メーカーのフォルクスワーゲン・グループ(OTC:VWAGY)と提携しています。

2025年までにEV向け電池の実用化を目指し、これまでに3億ドルを上回る投資を受けている他、両社は合弁会社を設立し、全固体電池を生産する大規模工場の建設を計画しています。

トヨタ自動車

大手自動車メーカー各社が全固体電池を開発する新興企業との提携を模索する中、トヨタ自動車(NYSE:TM)は自社開発という異なる道を進んでいます。

同社はEV競争で後れを取っていますが、先日、EV向け電池の開発に今後10年間で136億ドルを投資し、全固体電池もそのなかの大きな割合を占めると発表しました。

自動車メーカーであるトヨタには、全固体電池専業メーカーと比べて幾つかの優位性があります。

何よりも、主力事業により資金は潤沢であり、全固体電池への投資が株価を押し下げる心配はありません。つまり専業メーカーと比べてボラティリティが低いということです。

また、トヨタは自社開発した全固体電池をまずは自社のハイブリッド自動車に搭載する計画です。

同社は9月に、ハイブリッドではなく完全EV車向けの全固体電池の開発に予想以上に時間がかかるとの見通しを明らかにしましたが、全固体電池技術がいかに画期的であるかを考えれば、実用化が簡単でないことなど投資家はとっくに織り込み済みです。

デカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポレーションIII

デカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポレーションIII(NASDAQ:DCRC)もSPACで、全固形電池の開発を手掛けるソリッド・パワーを買収することで合意しています。

ソリッド・パワーは2012年の創業当時から全固体電池の開発を手掛けており、これまでにフォード(NYSE:F)、現代自動車(OTC:HYMTF)、BMW(OTC:BAMXF)、サムスン電子(OTC: SSNLF)といった超大手企業が出資しています。

2022年前半に自動車用電池の本格生産を目指していますが、時価総額は5億ドル未満であり、投資家はソリッド・パワーにクアンタムスケープ(時価総額約100億ドル)ほどの期待を寄せていないようです(執筆時点)。

忍耐が必要

全固体電池の技術が実用化するのは数年先とみられ、現時点では有望な製品もなく、市場で有力な企業もありません。

しかも、自動車業界の技術革新は必ずしも成功するとは限らず、全てが計画通りに進んでいたら今頃は自動運転が普及していたはずですが、現実にはそうなっていません。

全固体電池が成功しないというわけではありませんが、決定的なデータと明らかな市場リーダーが現れるまで、もう少し待つ必要があり、現時点ではリスク許容度の高い投資家向けの投資先かもしれません。

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、フォルクスワーゲン・グループ株を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、BMW株を推奨しています。
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