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自社株買いとは?メリット・デメリットと株価との関係

自社株買いとは、企業が発行した株式を市場の時価で買い戻すことをいいます。

代表的な株主還元策として「配当」と「自社株買い」があります。

配当は実際にお金を受け取るのでわかりやすいのですが、自社株買いは直接的な利益はありません。

しかし、自社株買いを行うと株価上昇要因となり、また敵対的買収から企業を守る効果があります。

今回は自社株買いが株主還元策となる理由とメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

まずは、自社株買いが株価上昇要因となる理由から見ていきましょう。

株主だけじゃない。企業が自社株買いを行うメリットとは?

自社株買いが株価上昇の要因となる理由

自社株買いは株価の上昇要因となります。それは、主に次の2つの理由からです。

自社株買いでPERが低くなる

市場全体に流通する株式の総数が減少するため、1株当たりの利益が向上し、株価の指標をよくすることができます。

株価の割安を測る指標としてPERがあります。

PERは低いほど割安と判断されます。

計算式は以下のようになります。

  • PER = 株価 ÷ 1株当たりの利益(EPS
  • EPS = 当期純利益 ÷ 発行済み株式数

具体例を見てみましょう。

  • 株価:2,000円
  • 当期純利益:1,000万円
  • 発行済み株式数:10万株

この場合のEPSは、

1000万円÷10万株=100となります。

ですから、

PER =  2000円÷100円=20倍

PER20倍となります。

自社株買いを2万株行った場合、発行済み株式数は、10万株―2万株=8万株になります。

EPSとPERは次のようになります。

  • EPS=1,000万円 ÷ 8万株=125円
  • PER=2000円 ÷ 125円=16倍

2万株の自社株買いにより、PER20倍から16倍に下がり、「割安」になったと判断されます。

自社株買いをすることでROEが上昇する

ROEとは”Return on Equity”の略で、「株主資本利益率」といいます。

企業の収益性を測る指標で、株主資本(株主による資本=自己資本)が企業の利益にどの程度つながったかを示します。

ROEは高いほど評価されます。

計算式は以下の通りです。

  • ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本×100(%)

具体例を見てみましょう。

  • 当期純利益:1,000万円
  • 自己資本:1億円

の場合のROEは、1,000万円÷1億円×100=10となります。

自社株買いは、手元資金で買い上げるので、現金が減った分、自己資本も減少します。

自社株買いによって自己資本が8,000万円に減った場合のROEは、

ROE:1000万円÷8000万円×100=12.5%

自社株買いにより、ROE10%から12.5%に改善しているのがわかります。

ROEが上がれば投資家の評価が上がり、資金流入が増える可能性があります。

これは、株高の要因になります。

手元資金が余り、他に使い道のない場合は、自社株買いを行うことが株主還元策になるのです。

自社株買いのメリット

それ以外の自社株買いのメリットを見ていきましょう。

株価は割安だというメッセージを送ることができる

自社株買いは取締役会の決議で機動的に行うことができます。

株価が低迷している時に自社株買いを行えば、「自社の株価が割安に置かれている」というシグナルを市場に送ることができます。

自社の将来性について自信を持ち、株価と投資家に常に向き合っていることをアピールすることにもなるので、市場の評価を高めることができます。

自社株買いで敵対的買収を防衛

企業価値に比べて株価が割安に放置され、しかも現預金がたくさんあれば、敵対的買収の対象になってしまいます。

敵対的買収とは、買収の対象企業の取締役や親会社の事前の同意を得ないで、株主から株式を買い集めて企業を買収することです。

経営権の取得のために対象株式は過半数の取得を目指すことが多いです。

自社株買いで株価が上昇すれば、それだけ多額の資金を用意する必要があります。

また、自社の持ち株比率も高まるため、敵対的買収をしにくくなるのです。

ストックオプションに利用する

自社株買いをした株式の使い道として「ストックオプション」があります。

ストックオプションとは、従業員があらかじめ決められた価格で自社株を買うことができる権利のことです。

持株制度と何が違う?ストックオプションのメリットとデメリットについて解説

例えば、現在の株価が1株2,000円の時に、従業員へストックオプションを付与したとします。

その後、企業の業績が伸び、株価が3,000円に上昇。

従業員は1株2,000円で株を購入できる権利を持っているので、1株当たり1,000円の利益を手にすることができます。

ストックオプションによって、会社は従業員の士気を高めることができます。

一方、会社は値上がり益を通じて、従業員に将来の報酬を与えることができるのです。

自社株買いのデメリット

自社株買いのデメリットも確認しましょう。

財務体質の悪化

自社株買いは手元資金で行うので、自己資本が減ります。

企業の安全性を測る指標として「自己資本比率」があります。

自己資本とは返済する必要のない資金のことです。

返済義務のある資金を「他人資本」といいます。

自己資本と他人資本の合計が「総資本」です。

自己資本比率の計算式はいかのようになります。

  • 自己資本比率= 自己資本 ÷ 総資本(自己資本+他人資本)

業種によって異なりますが、自己資本比率が20%を下回ると、危険水域にあるといわれています。

ですから、手元資金が潤沢にあり、自己資本比率が50%を超えるなど高い水準にある企業の自社株買いは問題ありませんが、手元資金があまりなく、自己資本比率が低い企業が自社株買いを行う場合は注意が必要です。

企業による自社株買いの増加

株式市場では、企業による自社株買いの存在感が高まっています。

2012年11月以降のアベノミクス相場で事業法人による日本株の累計買い越し額は10兆円を超え、海外投資家の買超額を上回りました。

2014年に自社株買いは3兆円を超えましたが、2018年度は6.8兆円と2006年以来の高水準に膨らみ、2019年には7.8兆円まで拡大すると見られています(ゴールドマン・サックス証券予想)。

自社株買いは、企業が直接買う場合、「立会外取引」と呼ばれる取引所の時間外取引することが多く、「事業法人」の買いとして現れます。

取引所の通常取引の場合は、インサイダー規制にふれないために信託銀行に代行してもらいます。

この場合は「信託銀行」の買いにカウントされます。

買い入れた株式は資本から控除され、金庫株として保有します。

金庫株とは本当に金庫にしまうのではなく、市場にでてこないという例えです。

M&Aなどで再び使われることもあります。

完全に処分してしまうことを「消却」といいます。

まとめ

今回は自社株について解説してきました。

PERやROEなど株価指標の改善になるので、自社株買いは株価上昇要因となります。

ただし、資金が豊富な企業ならいいのですが、資金が不足している企業では自己資本比率が低下することにより、悪材料となる可能性もあります。

自社株買いの発表で必ず株価が上がるわけではないので注意しましょう。

しかし、現在は手元に豊富な資金を保有しているので、株主還元策として自社株買いを行う企業が増えています。

日米貿易摩擦などで世界経済や企業業績の不透明感が拭えない中、日本株の数少ない買い手として、今後も株価を下支えすることが期待されます。


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