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アマゾン傘下のゲーム配信Twitchの絶大な影響力とデータ流出事件の影響

出典:Getty Images

Twitch(ツイッチ)は2011年に誕生し、2014年にアマゾン(NASDAQ:AMZN)が買収したライブストリーミングの配信プラットフォームです。

この分野においてTwitchは約91%という圧倒的なシェアを握っており、「ゲーム配信=Twitch」の牙城は今後も崩れそうにありません。

ちなみにTwitchに続くプラットフォームは「YouTube Gaming(シェア5.5%)」「Facebook Gaminng(シェア3%)」です。

比較するとTwitchがこの分野において絶大な影響力を持っていることが分かると思います。

特にコロナ以降、家にいる時間が長くなったことからTwitchの利用者数は増加しており、2020年時点で平均同時視聴者数は250万人を突破しています。

またZ世代の約33%が週1回はTwitchを利用しているというデータもあり、デジタルネイティブ世代より上の世代がテレビを見ている、あるいは見ていたような感覚でゲーム実況を視聴していることが伺えます。

こうしたゲーム配信の影響力によって、エレクトロニック・アーツ(EA)はゲームプレイだけでなく、そのゲームの視聴体験がどんなものになるのかを考えながらゲーム制作をしていると言います。

ちなみにアマゾンがTwitchを買収した金額は約9億7,000万ドルしたが、Twitchの現在の価値は150億ドルを超えると言われるほど成長しており、Twitchの付加価値も上昇しています。

つまりTwitchを利用すれば新しいゲームやお気に入りのゲーム実況者(以下ストリーマー)に出会えるので、最新のゲーム市場の動向を把握するにはTwitchとストリーマーなしでは語ることが出来ません。

またTwitchのストリーマーの半数以上が英語以外の言語で話しており、いかにTwitchがグローバルなゲームプラットフォームであるのかを実感できると思います。

このようにTwitchの特筆すべき特徴として、「ゲームをやる」だけでなく「ゲームを見る」という行動を創出したことにあるのです。

Twitchのデータ流出事件とは

今年の10月6日にハッカーによってTwitchの持つ膨大なデータ(125GB)が盗まれる事件が発生しました。

これは匿名のハッカーが「4chan」に書き込んだことで発覚し、盗まれたデータの中にはTwitchのソースコードやストリーマーの収益情報も含まれるTwitch史上最大の事件となったのです。

現段階では個人情報は盗まれていない(発覚していない)模様ですが、ソースコードが外部に漏れたという問題の根幹は変わらず、少なくともハッカーやプログラマーがコードを見てしまっているため、今後も100%対策が万全とは言い切れないのが現状でしょう。

またハッカーが「4chan」に投稿した際のタイトルが「twitch leaks part one (Twitchの情報リークパート1)」となっており、今後更なる流出が発覚する可能性もあります。

これに対してストリーマーの反応は様々なようです。

というのもトップストリーマーの場合はTwitchの他にも様々な収入源があるため、収入の全貌が晒されたわけではありません。

事件発覚後から現在までに、漏洩データを正確と認めるストリーマーと間違っていると主張するストリーマーが混在しているようです。

いずれにせよTwitchが世界中に広がった背景には、魅力的なコンテンツとそれを配信するストリーマーの存在を支持する多くのファンがいるからです。

今回の事件でハッカーが特定のストリーマーをターゲットにしようとするリスクが高まったことは間違いなく、これはTwitchだけでなく、ゲーム配信プラットフォーム全体の安全性に関わる問題と言えるでしょう。

また今回のハッカーは、Twitch上で問題となっているストリーマーのチャットに偏見や嫌がらせのスパムを送りつける「ヘイトレイド」にも言及しています。

実際、Twitchでは嫌がらせが絶えず存在し、今年4月にTwitchはプラットフォーム外での行動でもストリーマーに対して行われた嫌がらせに対応するべく、ポリシー強化をすることを明言しましたが、人気ストリーマーの一部はTwitchの対応が万全ではないと一時的に配信を停止した例もあります。

こうした問題は、例えば近未来で実現するであろうメタバース化した社会でも起こるであろうリスクであるため、ハッカー側とテクノロジー企業との間で今後もイタチごっこのような状況が続くかもしれません。

特に国境を超えて一つのプラットフォームに集まることができるサービスにおいては、何らかのグローバルなルール整備が必要であり、今後も社会問題の一つとして議論されるべき問題であることは明らかです。

Twitchを代表するストリーマー

ストリーマーとはゲームのライブ配信する人を指します。

Twitchには世界的なストリーマーが独占契約を結んでおり、ストリーマーの人気もTwitchを牽引する大きな要因となっています。

Pokimane(ポキマネ)

モロッコとカナダの二重国籍を持つ女性Twitchストリーマーです。

他のストリーマーと「OfflineTV」というコミュニティを形成しています。

得意なゲームはリーグオブレジェンド、フォートナイトで有名です。

Ninja(ニンジャ)

現在、Twitchで最もフォロワーの多い米国のストリーマーです。

2019年にはタイム誌の選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に選出。

一時期、活動のフィールドをTwitchからMixerに移しましたが、再びTwitchに復帰しています。

得意なゲームはフォートナイト、ヴァロラントで有名です。

Tfue(ティーフュー)

現在、Twitchで2番目にフォロワーの多い米国のストリーマーです。

Ninjaとの不仲もTwitch上では有名です。

現在はフォートナイトのプレイを停止し、Apex LesendsやCall of Dutyなどのゲームを配信しています。

ゲーム実況のプラットフォーム

ここでは数字からゲーム実況の市場規模を見ていきます。

まず2020年のゲーム業界の市場規模は2,000億ドルに到達しており、コロナ前の映画業界の年間興業収入400億ドルの5倍に到達しています。

これはゲーム実況を見たことがある13歳~39歳の割合が約50%に到達していることから、いかに若い世代にゲーム実況が浸透しているのかを実感するのではないでしょうか。

ちなみにTwitchの月間アクティブユーザー数は4,000万人に到達する見込みであり、2023年には4,700万人に到達することが予測されています。

このようにゲーム産業自体が成長を続けており、それに伴いゲーム実況プラットフォームもTwitchを中心に拡大して行くことは間違いありません。

もはやエンタメの主役はゲーム産業であり、今後もゲーム産業がエンタメを牽引していく構図は変わらないでしょう。

アマゾンの株価への影響

執筆時点でのアマゾンの株価は3,300ドル近辺を推移しており、今回発生したTwitchのデータ流出事件への影響は限定的で株価には特に影響を与えていません。

またアマゾンの収益源はAWSやマーケットプレイス、アマゾンプライムなど多岐に渡り、2020年のアマゾンの売上は3,860億ドルに到達しており、現時点ではTwitchの影響力はアマゾン全体から見れば一つの売上部門に過ぎないと言えるのです。

しかしTwitchの成長力はゲーム配信の未来を占う上でベンチマークとなる存在であることは変わりません。

今後もTwitchを巡って様々な議論が起こるかもしれませんが、こうした課題も含めて将来的にはTwitchがアマゾンを牽引する原動力となりえると筆者は考えます。

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