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年末までの米国市場を展望する

出典:Getty Images

早いもので、今年も残すところ4カ月程度になって来ました。

昨年、コロナショックで大きく落ち込んだものの、その後の回復で何事も無かったかのような成績となり、そして今年はそれ以上の成績となっています。

市場が今抱えているテーマを再整理し、今後の市場の展開に備えていければと思います。

株式市場を巡る要因の根本にあるのは、もちろん企業業績です。

企業業績に与える要因が何であり、どのような関連があるかを体系的に理解しておくと、何が起きても非常に判断しやすいかと思います。

企業業績に影響を与えるものは、もちろん景気などの経済環境があります。

通常の景気サイクルで行けば、景気がピークアウトして下降に向かえば、金融政策や財政政策で景気を刺激し、景気が底打ちして回復に向かうようになります。

そのサイクルの中で、企業業績は景気のサイクルと同じように増減する企業群と、サイクルとは関係なく業績が増加したり減少したりする企業群があります。

金融政策・財政政策と企業業績の関係をある程度理解しておくと、分かり易くなるかと思います。

今の企業業績を巡る環境は、2020年第1四半期に景気が良かった中で、新型コロナウィルスの感染拡大により、経済活動を強制的にストップさせたという特殊な事情から始まっています。

従って、景気を最も左右する根本原因は、新型コロナウィルスの感染状況と言っても過言ではないかもしれません。

これを予想することはなかなか難しいですが、ワクチンの接種状況や、治療薬の開発、治療法の確立などは大きなポジティブ材料になるでしょう。

政府が無理やり経済活動にストップをかけたので、財政政策と金融政策で企業や個人の助成を行いました。

米国政府の支援は前例のない大きなもので、これからは、その効果を見極めていく段階で、支援は減っていく方向にあると見て良い。

財政政策では、失業保険の上乗せを止める方向の議論がなされていますし、金融政策では、債券買取りの量的緩和の縮小(テーパリング)の話が出てきています。

この金融政策の変更をネガティブにとらえる人も多いですが、景気がそうした支援を必要とする度合いが弱まったということで、むしろプラスの話です。

全体の関係図を示すと以下のようになるのではないかと思います。

金融政策、特に量的緩和の縮小(テーパリング)を市場は懸念しています。

ただ、その影響は短期的なものと考えて良いかと思います。

既に、7月のFOMC後くらいから、各地の連銀の総裁が、テーパリングに関するコメントを急に沢山するようになっていました。

そして、7月FOMCの議事録が公表されると、7月のFOMCでは、詳細についてはまだ何も決まっていないものの、現在の景気回復の状況が続けばテーパリングを開始することを具体的に検討することで合意していることが書かれていました。

FRBは市場に対して、テーリングをそろそろ開始するから驚かないように、とメッセージを送ってきています。

市場はそれを現在のマーケットで織り込んでいる最中だと考えられます。

8月26日からのジャクソンホールの中央銀行カンファレンスで、パウエル議長が講演で、何らかの方針を示すのではないかとする憶測も多いです。

ジャクソンホールはカンファレンスであって政策決定の場ではないので、せいぜいが、7月のFOMCで話し合われたことを言うくらいでしょう。具体的な話は9月以降のFOMCです。

しかし、この話題ももう市場で織り込まれてしまえば、大きな材料とはならず、むしろテーパリングの決定で、株式市場が上昇することもあり得ます。

「Sell on rumor, buy on fact(噂で売って、事実で買う)」というパターンも十分想定されます。

金融政策のかじ取りがFOMCによって緻密になされているので、サプライズはあまりないと考えて良いと考えています。

かく乱要因は、根本原因の新型コロナウィルスの変異種(デルタ株)による感染再拡大です。

こればかりは、人間によってコントロールできない状況になっています。

これが、順次落ち着いていくのであれば、大きな下落の心配はないと見て良いかと思っています。

新型コロナウィルスの感染拡大とは直接関係のない、株式市場への影響要因としては、以下の3つがあるかと思います。

  • 中国の産業政策とサプライチェーンの見直し
  • FTCの動き
  • 気候変動対策コスト

中国の産業政策と米中関係

アリババの子会社のアントフィナンシャルのIPOが昨年11月に急遽、中国政府の意向により延期になりました。

そして、7月には、上場したばかりの滴滴出行(DiDi)が取り締まり対象となり、「撃墜」されてしまいました。

IT大手などが巨大化し、中国政府の存在を脅かすとまでは行かないまでも、大きな力を持つことを阻止しようとしたように見えます。

政府の意向に沿った動きを実質的に求められているということかと思われます。

ただ、最先端の技術での米中の先陣争いを、中国政府が敢えて米国に譲るようなことも考えづらいです。

しばらく米国上場の中国株、ADRなどは厳しいかもしれませんが、長期的には再び成長軌道に戻ると思います。

むしろ、パンデミックの影響で寸断されたサプライチェーンが世界中の企業に大きな痛手となっており、サプライチェーンの見直しが起きています。

世界の工場と言われた中国やアジアにとって、この影響は無視できません。

米国の企業にしてみれば、生産コストの低いアジアでの生産を減らして自国での生産を増やすとなるとコスト増につながる可能性もあり、難しい問題です。

サプライチェーンの組みなおしが、どのような形になるのかに注意が必要です。

それによってビジネスの浮き沈みが個別企業レベルでは起きえます。

FTCの動きも注意が必要です。

FTCのカーン委員長は、巨大化した大手IT企業(プラットフォーマー)の解体を考えているような人です。

公正な競争が維持されているかどうか、それが維持されないM&Aは否定の立場です。

実際、現在、FTCはフェイスブックのワッツアップとインスタグラムの買収について、競争阻害であるとして、フェイスブックに対してこの二つの企業を売却するよう求める訴訟を起こしています。

将来の競合を小さなうちに買収して独占状態を作るようなやり方は出来なくなり、GAFAMも、新たなビジネスモデルの台頭で、その地位を脅かされることも将来的にはあり得るということです。

気候変動対策(二酸化炭素排出削減)

バイデン政権が2050年までのカーボンニュートラルを宣言しましたが、先日、国連から、気候温暖化の速度が速まっているという研究結果が報告され、想定より10年以上早く、産業革命直前比世界平均気温の+1.5度上昇の時期が来るとしています。

この二酸化炭素排出削減の努力は、企業に対して更に大きなコストになっていくものと思われます。

影響は、伝統産業に大きいものの、ビジネス自体に二酸化炭素排出が少ない企業にも影響は出てきています。

サプライチェーンに係る全ての企業、使用する電力なども含めて、二酸化炭素排出を求められているからです。

この問題もコストとしてネガティブに影響する企業と、その取り組みによってポジティブにしてしまう企業と二つに分かれていくと思います。

長期的な要因ですが、常に気にしておくべき要因かと思います。

纏めると、新型コロナウィルスの感染状況という最大のかく乱要因はあるものの、極端に悪化しないという前提では、あまり大きな下落の要因は見えず、むしろ現時点と比較してフラットもしくはプラスを見ています。

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