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中国の不穏な動きは、マーケットにどう影響するのか?

出典:Getty Images

先月8月17日、中国共産党の習近平国家主席は、党中央財経委員会を開き「共同富裕(ともに豊かになる)」の実現へ富の配分を強化する方針を固め、国内の富を再分配するという新たな公約を発表しました。

そして中国は今、格差社会から脱却し、所得分配を促す制度改革を猛スピードで進めています。

中国大手アリババ・グループ、テンセント・ホールディング、美団など中国を代表する大手企業が独占禁止法などの規制により、巨額の罰金を払わされたり、IPO(新規株式公開)する予定だったものを急に止められたりと規制当局による強い締め付けを受けています。

このような厳しい規制当局の動きから、中国巨大企業へ投資していた多くの投資家は市場から資金を取り出し、多くの中国企業の時価総額は猛スピードで低下して行きました。

このような動きは、中国国内の投資家だけにとどまらず、海外投資家も同じく市場からキャッシュを取り出しました。

その影響から今年に入り、株式市場で約1兆ドルの中国企業の時価総額が消えています。

また、中国の8月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は、5カ月連続で悪化傾向にあり、背景には中国国内で新型コロナの変異株であるデルタ株の感染拡大が広がったこともあり懸念されています。

ご存じの通り、中国は世界第2位の経済大国です。

その中国の景気が減速すれば、経済大国である米国、そして我が国日本、そして世界経済に大きく影響します。

中国と言えば、世界最大の鉄鋼製品の生産国であり、また輸出国でもあります。

その中国は、環境重視の時代の流れを尊重し脱炭素社会すなわち「カーボンニュートラル」を2060年までに達成するという目標を掲げました。

中国政府は、中国で生産する鉄鋼製品の輸出時の関税の引き上げを実施し、更に冷延製品の税環府廃止を発表するなど、業界改革に乗り出しています。

また中国政府は、鉄鋼生産の削減を表明しており、その影響から中国の7月の鉄鋼生産は、1年3ヵ月ぶりの低水準に落ち込み、同時に石炭生産も低水準となりました。

更に、先月8月には鉄鉱石先物が続落し、今年の鉄鋼生産は「容赦ない削減」の可能性が高まっていると専門家は見ています。

中国規制当局の動き

中国の規制当局は、新たな住宅用不動産ファンドの承認も停止させています。

政策当局は「住宅は投機ではなく、住むために建てられる」と強調し、一部の土地の入札を一時的に停止させたりファンドによる資金集めを禁止させるなど、価格が高騰した不動産市場への規制も強化しています。

こう言った影響から既に中国における住宅販売数は減少傾向にあり、一等地の住宅販売数は2カ月連続で減少しています。

そして、このような規制の動きは、教育現場にも広がっています。

中国共産党と国務院は、義務教育段階の学習負担を軽減するため学校以外の学習を禁止する「学習塾禁止令」を発表しました。

学校以外での学習が禁止されたことで、中国で学習塾、補習校といった教育現場への摘発が進み、中国各地で次々と学習塾は閉鎖に追い込まれて行きました。

このような状況で、親が学習塾に押し寄せるという混乱が起きたりと、様々な事への急激な変化に国民は困惑し、各地で混乱が起きるという現象が起きています。

「文化大革命」を思わせる

今年に入ってからの中国の規制強化の動きは、1966年に起きた「文化大革命」を思わせます。

「文化大革命」は、当時中国共産党中央委員会主席であった毛沢東が、自らの権力を固めるために仕掛けた大衆運動であり、政治紛争でもあります。

毛沢東の思想に反する行動をした者、またそのような思想を持つ者は「反革命勢力」と位置づけられ、毛沢東を支持する組織から極めて暴力的な「吊るし上げ」を受けました。

そして、この動きは中国全土に広がり中国は大混乱に陥ります。

この「吊るし上げ」の詳細は、文章を読んでいるだけで吐き気がするほどひどいものであり、人を人とも思わない過酷な糾弾や迫害によって、多数の死者や自殺者が続出し、また「吊るし上げ」を行う側の組織もまた各派閥に分かれ、抗争を展開して行きました。

この混乱は1966年から1976年まで続き、1977年に終結宣言が出されています。

習近平の狙い

なぜ、自らの国の成長企業を痛めつけるのか?

筆者の目から見れば到底理解しがたいことですが、中国の歴史を振り返ることで習近平の狙いが少し見えて来ました。

中国共産党は、過去に資産家や地主と言った富を持っている者たちを打倒し、私有財産保有制度を禁止したことで「社会主義経済」を確立して来ました。

「共同富裕」の実現は、富裕層にとってはひどい話ですが、貧困層の人たちや庶民からは支持を得られます。

また、中国は社会主義国であるため、習近平国家主席の権力は絶対的です。

つまり、習近平国家主席が今までにして来たことに恨みを持つ者が、次のリーダーとなった時、自分や自分の家族がどのような仕打ちを受けるのか。本人は痛いほど理解しているはずです。

習近平主席の任期は、来年秋の党大会までとされています。

しかし、後継者が見つからない場合は続投する可能性が高いと見られており、中国共産党強化のため、いや、習近平は、自らの任期終了が近づいて来るという恐怖と焦りから、地固めに動いているのではないでしょうか?

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