The Motley Fool

【米国株動向】AMDの時価総額は2025年までにインテルを上回るのか

出典:Getty Images

モトリーフール米国本社、2021829日投稿記事より

ITバブルのピーク期だった2000年当時、半導体大手インテル(NASDAQ:INTC)の時価総額は一時5,000億ドルを超えましたが、競合のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(NASDAQ:AMD)はわずか120億ドルに過ぎませんでした。

しかし、直近の時価総額を見ると、インテルが2,150億ドルと以前より低い水準にある一方でAMDが1,300億ドルと上昇しています。

この背景と、AMDの時価総額が2025年までにインテルを上回るかどうかを見てみましょう。

インテル失速の経緯

ITバブルのピーク時には、インテルの株価は2020年の同社利益比で50倍近くの水準でした。

一方、現在では予想利益をベースにしたPER(株価収益率)はインテルが12倍、AMDが35倍です。

2000年代前半にCPU(中央演算処理装置)市場でインテルのシェアがAMDに奪われていったことで、インテルに対する株式市場の熱狂は薄れていきました。

一方で、AMDはGPU(画像処理装置)市場に参入する目的で2006年にATIを買収するなど手を広げすぎ、CPUとGPUという二つの異なる市場でインテルおよびエヌビディア(NASDAQ:NVDA)との競争に苦戦することとなりました。

インテルは新たなCPU開発で反転攻勢に出て、2016年第3四半期には世界のCPU市場の82.5%を占め、残りの17.5%をAMDが占めたとみられます。

しかし過去5年間で形勢は逆転しました。

半導体製品のライフサイクルが2年程度と短い中、インテルは製品の継続的な改良に苦戦し、「半導体微細化競争」でファウンドリ(半導体の製造を専門に行う企業やサービス)世界最大手のTSMC(NYSE:TSM)(台湾積体電路製造)に遅れをとりました。

度重なる製品の開発遅延と製品不足にしびれを切らしたOEM(他社ブランド製品の製造を受託する企業)は、仕入れ先をAMDへと変更しました。

AMDは社内のファウンドリであったグローバルファウンドリーズを2009年にスピンオフし、半導体設計に特化するようになりました。

当初は製造の大半をグローバルファウンドリーズに委託していましたが、次第にTSMCやサムソンのより先進的な生産工程に切り替えました。

そうした決断により、AMDはインテルよりも性能の良い半導体を生産し、OEMに安定的にCPUやGPUを供給しました。

その結果、2021年第3四半期にはAMDは世界のCPU市場の39.8%、インテルは60%を占めたもようです。

過去5年間では、売上成長の面でもAMDはインテルを大きく上回っています。

インテルの巻き返し計画

インテルは最近、既存の製造プロセス技術の名称を変更し、ファウンドリを2倍に拡大したうえで、2025年までに製造プロセス技術における首位を奪還すると述べました。

一方で、AMDは2025年までの間、TSMCの製造プロセス技術を使用するとみられます。

つまり、今後の競争はインテルとAMD間というより、インテルとTSMC間であると考えられます。しかし、インテルがTSMCよりも小型の半導チップを製造するのには最低でもあと数年かかるはずです。

AMDの現在のCPUは、TSMCの7nm(ナノメートル、半導体回路の線幅の単位)プロセス技術で作られています。インテルの最新のチップは自社の10nmプロセスで作られており、これはTSMCの7nmプロセスと性能密度(Density)の面では同等ですが、サイズはより大きく、電力効率は劣ります。

AMDは2022年に5nmプロセスの「Zen 4」を発売する計画ですが、この製品はRDNA 2 GPUが統合されている可能性があり、CPUではインテルとGPUではエヌビディアと競合します。インテルは2022年に「Intel 7(名称変更前は10nm)」と「Intel 4(同7nm)」の各チップを発売予定です。

インテルは「Intel 4」が、TSMCが製造する5nmチップよりも優れていると信じていますが、インテルには14nm、10nm、7nmといったプロセス技術間の移行が順調ではなかったという事実があります。

もし計画通りに進まなければ、さらなる開発遅延や製品不足に直面し、製造面でTSMCに頼るAMDにシェアを奪われる可能性があります。

AMDの時価総額は2025年までにインテルを上回るか

アナリスト通期予想によれば、2021年度および2022年度の売上成長率はAMDが各々60%と16%、インテルが同マイナス5%とマイナス1%で、両年度のEPS(1株あたり利益)伸び率はAMDが同93%と23%、インテルが同マイナス10%とマイナス7%です。

こういった数値の背景には、AMDのCPUおよびGPU事業の強靭さ、ゲーム機向けのカスタムAPU(GPU統合型CPU)の堅調な販売に加え、デスクトップ、ラップトップ、サーバー各市場でのインテルのシェア減退が挙げられます。

またインテルは、国内のファウンドリ拡大と新たなチップ開発を計画していることから利益の減少が見込まれます。

もし、インテルの計画がとん挫し、2025年まで成長が低迷した場合、AMDの成長は加速し、株価も倍以上に上昇し、時価総額はインテルを上回る可能性が大きくあります。

しかし、インテルの巻き返し計画が成功した場合には、同社の株価は上昇し、再度AMDを時価総額の面で大きく上回る可能性があります。

結論

AMDの時価総額が2025年までにインテルを上回るかは不透明ですが、筆者は3つの理由からAMDが引き続き優れた投資先であると考えます。

同社のCEO(最高経営責任者)は明確なビジョンを持ち、インテルを巧みに困難な立場に追い詰めていること、同社はCPU、GPU、APU市場に事業を上手く分散していること、そして製造の面でTSMCや他のファウンドリを上手く頼っていることです。

【米国株動向】20年間の長期保有に向く優良株3銘柄

フリーレポート配信

コロナ禍で消費者が一斉にレストランや航空機の利用を敬遠した一方、在宅需要という大きな恩恵を享受し、新産業として伸びた分野もあります。過去1年で既に株価は大幅に上昇してしまいましたが、在宅関連銘柄としても、長期的な成長株としても注目できる3銘柄を取り上げます。

在宅需要で新たな産業が勃興する中、注目のコンスーマー関連3銘柄」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。

公式ツイッターアカウント公式フェイスブックアカウントをフォローする。

また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。
友だち追加

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Leo Sunは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、AMD株、エヌビディア株、台湾積体電路製造株を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、インテル株を推奨しています。モトリーフール米国本社は、インテル株のオプションを推奨しています(2023年3月57.50ドルののロング・コール、2023年3月57.50ドルののショート・プット)。
最新記事