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大幅な半導体価格引き上げを発表した台湾セミコンダクター

出典:Getty Images

8月25日、半導体大手の台湾セミコンダクター・マニュファクチュアリング(NYSE:TSM)(以下、TSMC)が半導体価格の引き上げを発表しました。

今後、同社の提供する半導体の価格は従来価格から20%引き上げられることになります。

昨年以降、同社を中心とした半導体メーカー各社は約10%の値上げを行なってきましたが、今回の値上げはその中でも最大のものとなっています。

世界的な半導体不足が今後も続くと予想されるなかで、大幅な値上げとなった同社の半導体への需要はなおも増加していくと考えられます。

実際に、このような考えが広く共有され、同社株価は24日から25日にかけて終値ベースで4%を超える大幅な上昇を見せました。

今後、他の半導体メーカーも同社を追いかける形での販売価格引き上げを行うことも考えられます。

世界的に半導体価格上昇が続いていけば、パソコンや自動車に家電などの最終製品価格への影響も避けられないでしょう。

もはや人々の生活とは切っても切り離せないと言える半導体の価格上昇は人々の生活に大きな影響を与えています。

本記事では同社の半導体価格引き上げに関して、その要因や今後の株価などについてみていきます。

まず、TSMCについて、企業概要やこれまでの株価の推移などを簡単に見ていきます。

企業概要

同社は、 顧客企業からの依頼に応じて半導体を生産するファウンドリー企業となっており、アップルやクアルコムなどが大口顧客として挙げられています。

最近では、米国の半導体大手インテルなども同社に製造を依頼しており、世界トップの半導体メーカーとしての地位を確立しつつあります。

これまでの同社株価の推移

同社の株価は上場以来2013年ごろまでは10ドル前後でほぼ横ばいの推移をしています。

その後は上昇傾向にあり、大きな下落のないまま、コロナショック直前には60ドル弱で取引されて高値となっています。

コロナショックの影響もほぼなく、一時的にやや下落したものの、活発な半導体需要などに支えられる形で業績を維持し、2021年初にかけて大きく上昇しました。

同年2月中頃には140ドルを超えて高値を更新しています。

しかし、それ以降は冴えない動きとなっており、現在まで120ドルをやや下回る水準でほぼ横ばいに推移し続けています。

続いて、同社が今回半導体価格引き上げを決定した要因について考えてみます。

半導体価格引き上げの要因

一つめの理由としては、やはり現在の世界的な半導体不足問題が挙げられます。

もはや半導体は人々の生活においてなくてはならないものとなっており、様々な分野の製品に用いられているため、半導体が不足している現在において需要は止まるところを知りません。

その影響はますます拡大しており、2021年初に顕著になった自動車から始まった減産の流れはスマートフォンなどのモバイル端末に拡大しつつ2023年ごろまで続くとも言われています。

そのような状況下で、半導体生産を行うメーカーの価格決定力が増しています。

冒頭でも述べたように、昨年末以降、同社をはじめとする半導体メーカーの多くが半導体価格の引き上げを行なっています。

二つめの理由としては、同社の今後の投資拡大への備えとして収入拡大を進めたいという思惑があるのではないかと考えられます。

同社は今後3年間で過去最大規模となる約1,000億ドルもの投資を決定しています。

これは、アメリカでの新工場設立や中国、台湾の既存工場の設備拡大のための投資となっています。

また、日本での新工場設立も検討しています。

特にアメリカにおいて、台湾と異なる各種規制や高い人件費からコスト拡大がささやかれており、課題として上がっています。

これに対してアメリカ政府も補助金などの対応をしていますが、どこまでカバーし切れるのかはわかりません。

今回の半導体不足を受けて、各国が半導体の国内生産を目指す動きが強まっており、アメリカ側はなんとしても同社アメリカ工場を完成させたいと考えていると思われます。

また、同社としても半導体メーカーとして世界トップの地位を確立させるための事業拡大や、この後同社特有のリスクの部分でも触れますが、台湾という極めて特異な場所柄からも海外進出を望んでいるとも考えられます。

ここまでを簡単にまとめておくと、TSMCは事業拡大に伴う投資費用として収入拡大を必要としており、そこに世界的な半導体不足によって価格決定力を増したことが合わさって、実際の半導体価格引き上げに及んだと考えることができます。

半導体市場で実に半分近くのシェアを誇る同社の更なる事業拡大、価格上昇に伴う収益の安定化などは投資家にとって非常に喜ばしいニュースに思えますが、ここで一旦、同社に特有のリスクについても確認しておく必要があると言えます。

同社特有のリスク

同社特有のリスクとしては、同社が台湾企業であるということが挙げられます。

台湾という政治的な困難を抱える場所であるため、企業としての立ち回りには一層の繊細さが求められると考えることができます。

現在、同社の拠点は台湾および中国にしかありません。

台湾と中国の関係性は逼迫しており、そういった背景から同社は海外の拠点を必要としている側面が考えられます。

また、多数の顧客がいるアメリカと中国の対立が激化していることも課題の一つです。

今後、特に中国工場などはアメリカ側からの各種規制の対象となる可能性も考えられるのではないでしょうか。

実際に、同社はアメリカの規制の関係でアップルに次ぐ大口顧客だったファーウェイとの取引を停止せざるを得なくなっています。

米中両側の規制などに対して、拠点を分散させることでリスクの削減を目指している可能性があります。

同社株価の今後

同社株価は、価格引き上げの発表を受けて25日に前日終値から4%以上上昇しました。

最近はやや下落傾向となっていましたが、今回の発表以降は上昇しています。

ただし年初来で見ると、まだ下落局面を完全に脱したとは言えない状況が続いているため、もうしばらくは様子を見る必要があると言えるでしょう。

しかし、価格引き上げによって、今後、業績を保ちつつ事業拡大が順調に進んでいけば、株価にはまだ伸び代があると考えられます。

同社自体としては、台湾と中国、アメリカと中国の関係性の悪化が指摘される今日、より繊細な企業運営を求められていく必要があるといえ、同社に投資する上で様々なニュースに敏感になっておく必要があるのではないでしょうか。

一方で、今回の半導体不足がなかったとしても、半導体は今後ますます重要な要素として発展していくことは明らかです。

そのため、固有のリスク以外の側面では、同社事業自体は安泰と考えて良いのではないでしょうか。

しばらくは様子見をした方が良いと言えますが、今後さらに多くの分野で広がっていくと言える半導体で圧倒的なシェアを誇る同銘柄をチェックしておく価値は大きいと思われます。

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