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成長の鈍化するネットフリックスのゲーム事業参入への展望

出典:ネットフリックス

ネットフリックス(NASDAQ:NFLX)は全世界で映画やテレビ番組のストリーミング配信を行っていますが、昨年から続くコロナパンデミックで大きな注目を集めた企業の一つです。

昨年を通じて、ヨーロッパやアジア太平洋地域を中心に同社サービスの新規有料会員数は3,700万人増加し、有料会員は通算で2億人の大台を突破しました。

それに伴って同社株価も大きく上昇を見せており、2021年初までに1年間で1.5倍以上となる急成長を見せました。

しかし、2021年に入って以降、新規有料会員数は大幅に鈍化しており、それとともに同社株価も下落方向に傾きつつあります。

さらに、米国証券取引委員会に提出されたフォーム13Fからはソフトバンクグループが同社株式の売却を行ったことが明らかになっています。

ソフトバンクグループは売却益によって新たにAIスタートアップへの投資を行うなど、こういった側面からもネットフリックスの将来性が危ぶまれていると言えるかもしれません。

同社は、先日の2021年第2四半期決算発表後に、ゲーム業界に参入するという正式な発表を行っています。

これまで映像ストリーミングサービスで成長してきた同社ですが、転機にあると言えそうです。

本記事では、ネットフリックスの今後について、ゲーム業界参入がどうなっていくのか考察していきます。

ネットフリックスのゲーム進出と熾烈なクラウドゲーム業界の行方

新規有料会員数の推移

まず、現在のネットフリックスの有料会員状況などを概観しておきます。

  • 2020年第1四半期…新規有料会員数1,576万人
  • 2020年第2四半期…新規有料会員数1,010万人
  • 2020年第3四半期…新規有料会員数221万人
  • 2020年第4四半期…新規有料会員数852万人
  • 2021年第1四半期…新規有料会員数398万人
  • 2021年第2四半期…新規有料会員数154万人

パンデミックの始まった昨年第1四半期と比較して、大きく鈍化していることがわかります。

さらに、地域ごとに詳しく見てみると、現在の新規有料会員数はアジア太平洋地域がけん引しており、最大の有料会員数を誇る北米ではすでに頭打ちとなっていることがわかります。

実際に、2021年第2四半期決算で発表された資料では、北米地域では有料会員数が前四半期比で減少しています。

特筆すべきポイントとしては、アジア太平洋地域でも僅かに伸びの鈍化がみられるものの、全地域で一時的に大きく減少を見せた2021年第3四半期を除く全四半期で100万人以上の新規有料会員数をカウントしていることと、EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)で2021年第2四半期の新規有料会員数が全四半期比で大きく伸びていることが挙げられます。

現在の世界のゲーム市場

続いて、現在の世界のゲーム市場について簡単にみていきます。

世界のゲーム市場規模は2020年末で約1,750億ドルとなっています。

前年比で約23%の増加となっており、パンデミック下での巣ごもり需要などに支えられ好調に推移したと考えられています。

地域別に見ると、アジア太平洋地域が48%、北米が26%、ラテンアメリカが7%、EMEAが22%となっています。

国別ではアメリカと中国が大きな割合を占めており、両者を合計して全体の約半分の割合を占めています。

ゲームのプレイヤー数に目を向けてみると、アジア太平洋地域が過半数を占めており、EMEAが続いています。

ゲームプレイヤー数は年々増加傾向にあり、それに伴ってゲーム市場も拡大しています。

ネットフリックスのゲーム事業参入

まず、ネットフリックス社がゲーム事業に参入する上で、プラスとなる側面についてみていきます。

モバイルゲームの市場規模の拡大

まずネットフリックスのゲーム事業展開にとって追い風となることとして、モバイルゲーム市場の規模が年々大きくなっていることが挙げられます。

モバイルゲームとはスマートフォンやタブレットなどの持ち運び端末で遊ぶことのできるゲームのことで、スマートフォンの普及に伴い、2010年ごろから急速に拡大しています。

2021年に入ってからのゲーム市場は世界全体で1,758億ドルとなっていますが、そのうち、スマートフォンゲームが45%、タブレットゲームが7%を占めています。

それぞれ前年同期比で4.7%、2.0%の増加となっています。

そのほかのPCゲームや従来の据え置き型ゲームのシェアが全て減少となっていることからも、今後こういったモバイルゲームが市場シェアを拡大していくことは明らかです。

ネットフリックスの展開するアプリケーションはこの状況と相性がいいと考えられます。

同社は、ゲーム事業の展開に関して、まずは現在の同社のサブスクリプションサービスを利用しているユーザーに対して追加料金なしで展開すると発表しており、この点で、現在のモバイルゲームへの需要拡大とかみ合っていると言えそうです。

アジア太平洋地域およびEMEAのユーザー

続いてあげられるのは、現在同社の動画ストリーミングサービスを利用しているユーザーの分布です。

新規有料会員数で述べた通り、成長の鈍化が目立つ同社動画ストリーミングサービスにおいて、唯一粘っているのがアジア太平洋地域です。

そして、アジア太平洋地域は先に述べた通り、ゲーム市場、ゲームプレイヤー規模でも世界で最大の規模を誇っています。

そのため、アジア太平洋地域での有料会員数が増えている現状は、ゲーム事業の展開に非常に有利に働くことが予想されます。

また、ゲーム事業が拡大していくことでアジア太平洋地域の会員数をさらに伸ばすことにもつながるのではないでしょうか。

このように、ネットフリックスのゲーム事業展開は、昨今のゲーム市場の拡大を受けた無謀な試みというわけではなく、ゲームプレイヤーやゲームへの需要といった側面から見て成功する可能性は低くないように思えます。

特に、新興のゲーム会社などと比較した際には、同社がすでにストリーミングサービスで多くのユーザーを獲得しているということが大きな強みと言えそうです。

既存のストリーミングサービスユーザーをうまくゲーム事業に取り込むことで、同社のゲームユーザーを拡大するとともに、ゲーム市場全体にとって新しい顧客市場を開拓することにもつながると言えそうです。

一方で、ネットフリックスのゲーム事業展開には障害もあります。

大きなものの一つは競合他社の多さです。

同社がまず参入を発表しているモバイルゲーム市場ですが、すでに多くの企業が競い合っています。

近年では、世界的ゲーム大手である任天堂も参入するなど、今後一層の競争激化が予想されます。

実は、今回の発表以前にもゲームを発表したことがあるネットフリックスですが、本格的にゲーム市場に参入するとなるとノウハウなど課題が多いのではないでしょうか。

また、そのほかの課題としては、北米地域におけるゲームプレイヤーの少なさが挙げられます。

市場規模では世界トップクラスを誇る北米ですが、意外にも、ゲームプレイヤーは世界全体の7%に過ぎません。

中国を有するアジア太平洋地域のユーザー数が必然的に多くなることを考慮しても、ラテンアメリカやヨーロッパをはるかに下回っていることは思わぬ障害となり得るのではないでしょうか。

ネットフリックスの既存のユーザーは北米が最も多いため、いざゲームを発表した際に想定よりもプレーヤー数が少ないという可能性が考えられます。

とはいえ、まだゲームの内容やローンチ時期などは全く未定であり、その辺りは実際にゲームが配信されないとわからない部分ではあります。

しかし、少なくとも、同社の新しい挑戦は十分期待して良いものとなるのではないでしょうか

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