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リスクを伴うテーマ型投資信託

ETF
出典:Getty Images

昨今注目を集める投資方法として、テーマ型投信があげられます。

テーマ型投信とは、その名の通り、特定のテーマに沿った銘柄に絞って運用している投資信託のことを指します。

テーマ型投信の例としては、宇宙関連銘柄に投資するプロキュア・スペースETFやクリーンエネルギーなどの環境関連銘柄に投資するiシェアーズ・グローバル・クリーン・エナジー(NASDAQ:ICLN)などがあげられます。

また昨年以降、特に注目を集めたテーマ型投信の一つとしては、キャシー・ウッドCEOの率いるアーク・インベストメント・マネジメント社のアーク・イノベーションETF(NYSEMKT:ARKK)があげられるでしょう。

この投資信託は「破壊的なイノベーション」をもたらす銘柄に集中した投資を行っています。

「破壊的なイノベーション」について、同社は、劇的な生産性の向上、急激なコスト低下、新しいイノベーションを生み出すプラットフォームとなることの3点からみて、今後3年から5年の間に急成長する銘柄としています。

そして、この理念の下、同投資信託は電気自動車分野で世界をリードするテスラ(NASDAQ:TSLA)や遠隔医療サービスを展開するテラドック(NYSE:TDOC)、テレビ番組や映画のストリーミング・サービスを展開するロク(NASDAQ:ROKU)などを中心に数十の銘柄から構成されています。

また、同社はその他にも自動運転やロボットに注目した自律型テクノロジー&ロボティクスETF(NYSEMKT:ARKQ)やクラウドサービスなどに注目した次世代インターネットETF(NYSEMKT:ARKW)などを含めた6つのアクティブファンドと2つのインデックスファンドを運用しています。

テーマ型投信拡大の背景

昨年から続くコロナパンデミック下のアメリカでは、人々に多くの給付金が支払われました。

その結果、金銭的、時間的余裕を背景に、個別株やインデックス投資、そしてテーマ型投信などを通じて投資を始めた人々は少なくありません。

そのような人々にとって、明確でわかりやすい主張を伴うテーマ型投信は非常に魅力的に見えたのではないでしょうか。

実際に、昨年を通して、アーク・インベストメント・マネジメント社のETF中心にテーマ型投信はいずれも好調な動きを見せています。

同社のアーク・イノベーションETFの運用実績を見てみると、2021年初には1年間で約3倍近く上昇しています。

これは、昨年1年間好調な推移を見せたS&P500が同期間に約25%の上昇となっていることと比較すると、目を見張るパフォーマンスとなっていることがわかります。

しかし、テーマ型投信は本当にそれほど優れた投資方法なのでしょうか。

テーマ型投信について懐疑的な見方をする人も少なくありません。

ここからは、テーマ型投信のリスクについてみていきます。

集中投資のリスク

テーマ型投信のリスクとして、集中投資であることがあげられます。

一般に集中投資よりも分散投資のほうが好まれます。

なぜなら、分散投資を行うことでリスクの分散につながるからです。

GAFAMに代表されるグロース銘柄、コカ・コーラやスリーエムに代表される高配当銘柄などの個別株を自分で購入することで分散投資を行うことも可能ですが、個人投資家が個別株を通じて分散投資を行うことには大きなハードルがあります。

分散投資としてのメリットを生かせるように多くの銘柄を保有するためには、それ相応の資金が必要となってくるからです。

そこで投資信託の出番となります。

S&P500に連動するバンガード社のバンガードS&P500ETF(NYSEMKT:VOO)やナスダック100指数に連動するインベスコ・パワーシェアーズ社のインベスコQQQトラスト・シリーズ1(NASDAQ:QQQ)などといったインデックスファンドに代表されるような分散投資では、構成銘柄のうち、ある分野に属する銘柄群が下落しても、それは全体でみれば小さな割合にすぎないため、投資資産全体としては大きな被害を避けられます。

その他にも、分散投資を行うことで運用効率の上昇などを見込めるという利点もあります。投資信託を通じた投資を行うことで、より少ない資産でより多くの銘柄を扱うことができます。

つまり、より手軽に分散投資のメリットを享受することができると言えます。

しかし、テーマ型投信も広くは投資信託の一種ですが、構成銘柄が特定の分野に絞られているため、投資信託の大きなメリットの一つである分散投資によるメリットを放棄していることになります。

そのため、テーマ型投信では、該当するテーマが下落したとき投資信託全体が大きな被害を受けることになります。

そして、特定の分野の銘柄のみを保有するため、インデックスファンドなどに比べるとボラティリティが大きくなります。

その分大きなリターンを得ることも可能といえますが、逆に売買のタイミングをより一層見極める必要があり、自身の保有する投資信託が扱う分野について詳しく知っておく必要があると言えます。

ですので、テーマ型投信は投資信託ではあるものの、その運用においては個別株に近いと言うことができます。

本来、難易度の高い個別株に対して、初心者にも比較的優しい投資信託ですが、テーマ型投信では全くの別物と考えたほうがいいでしょう。

以上のように、テーマ型投信は投資信託というものの、その性質や運用方法としてはむしろ個別株に近いことがわかります。

では、テーマ型投信をよりうまく扱うにはどうすればよいのでしょうか。

一番良いのは無理にリスクをとってテーマ型投信に触れないことだと言えそうですが、あえてテーマ型投信を運用するなら複数のテーマ型投信を保有することといえます。

複数のテーマ型投信を通じて複数の分野に分散投資を行うことで、テーマ型投信のメリットを生かしつつ、全体としてデメリットを軽減することにつながります。

また、自身で各投信の比率を調整することで、インデックス投資以上の運用効率などを期待することもできると言えるでしょう。

テーマ型投信増加に伴うリスク

このように、テーマ型投信には集中投資のリスクがあるが、個人の運用能力によってそれをカバーすることも可能であることがわかります。

ですが、テーマ型投信には個人の運用能力とは別な部分でのリスクも秘められています。

昨今のテーマ型投信の加熱に伴い、どんどん新しいテーマ型投信自体が生み出されていますが、そこにもリスクが潜んでいると言えます。

テーマ型投信のテーマとしては、アーク・インベストメント・マネジメント社の掲げる「破壊的なイノベーション」をはじめとして、AIや宇宙、環境問題など、今後注目が集まる分野に集中します。

そのような分野に属する銘柄は限りがあるため、必然的に、同様の分野に投資するテーマ型投信同士の構成銘柄は似通ったものとなることが多々あります。

この場合、ある銘柄が急な下落を見せた場合に、各運用会社がその銘柄を無理に売却しようとすることで株価のさらなる下落を招く可能性が考えられます。

これは結果的に投信の運用成績の更なる悪化につながる可能性もあります。

そのため、テーマ型投信という商品自体が、株価下落に伴う運用成績悪化から簡単には抜け出せないという問題点が考えられます。

まとめ

昨年のパンデミック下では、多額の給付金やテクノロジー銘柄の高騰など様々な特殊な状況を背景としてテーマ型投信が大きな盛り上がりを見せました。

しかし、今後も好調な成績が続くのかどうか、会議的な見方をする人が少なくありません。

実際に、本記事でも取り上げ、昨年は大きな成果を上げたアーク・インベストメント・マネジメント社ですが、そのテーマ型投信は2021年に入って以降芳しくありません。

金利上昇への嫌気からテクノロジー銘柄中心にさえない動きが続いており、同社投信もその影響などもあってか、年初比で20%近い下落となっています。

今後もこう言った動きは昨年注目を集めたテーマ型投信全体で続いていくと考えられており、さらに悪化していく恐れもあります。

短期間での上昇などに期待が持てるテーマ型投信ですが、長期的な資産運用を考えるうえでは手を出さないほうが良いでしょう。

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