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バフェットのポートフォリオ入りしたベライゾンの魅力

出典:Motley Fool

今年になって、バフェットのポートフォリオ(正確にはバークシャーハサウェーのポートフォリオ)に仲間入りしたベライゾン(NYSE:VZ)ですが、今年の年初来のパフォーマンスは、-6.84%とS&P500の+20.57%に比較して大きく劣後しています。(8/30現在)

テレコミュニケーション・サービス産業の巨人でありながら株価は低迷しています。

バフェットがなぜこの会社のビジネスに投資したのか?

その点も考慮に入れながら、ベライゾンのビジネスの状況と先行きの見込み、そして投資する意味を考えてみたいと思います。

ベライゾンを取り巻く通信サービスの現況

ベライゾンは、世界でも最大級のテレコム・サービス企業です。

コミュニケーション、テクノロジー、情報やエンタテイメント商品やサービスを、消費者、企業、そして政府などに提供しています。

ワイヤレス・コミュニケーション、ワイヤライン・コミュニケーションの双方を提供しています。

世界最大級のネットワークを持っていますが、基本的にビジネスの中心はアメリカで、ワイヤレスにより傾斜しています。

一般消費者向けのビジネスが2/3、ビジネス向けが1/3で、米国の一般消費者に対するビジネスによってその業績は大きく左右されます。

テレコム・サービス業界のビジネスの状況を見ていく上で、ポイントとなるのは3つです。

  • 買収・売却と合併
  • 資本支出
  • ビジネスの執行能力

そして、この産業で成功するかどうかは「サービスのスピードとシームレスなサービス」が出来るかどうかにかかっています。

テレコム・サービス産業は、ワイヤラインでもワイヤレスでも、ネットワークをどれだけ張り巡らせ、ボイスやデータの高速かつ高品質な通信、特にワイヤレスであれば切れ目なく高速通信が可能であることが重要になってきます。

即ち、極めて資本集約的なビジネスになります。

資本集約的なビジネスであるが故に、群雄割拠状態は極めて非効率で、買収合併によってより巨大化した方が有利であることは間違いありません。

実際に、現在では、ベライゾン、AT&T、そしてスプリントを合併したTモバイルの実質三つ巴の競合状態になっています。

そして単にテレコム・サービスの提供における買収・合併だけではなく、スマホでのコンテンツの提供も自社で賄うという考えから、AT&Tもベライゾンもメディア企業を買収しています。

かなり膨れ上がった企業体が出来ているのが現状です。

5G社会の到来

その一方で、通信規格が進化し、3Gから4Gへ、そして5Gへと進んでいます。

その都度、通信周波数帯の入札が行われるため、それを獲得し、インフラを整備するために巨額の資金がいるのがこのビジネスでもあります。

そうした周波数帯の確保やインフラの整備に資金が必要なため、債券発行や借入という方法だけではなく、傘下に持っている企業を売却して資金を作るという方法も取られています。

ベライゾンは、5月にメディアおよび広告事業の90%の株式をアポロ・グローバル・マネジメントに50億ドルで売却しています。

そのおかげでミッドバンドの周波数帯の入札に際して、最高入札者になることが出来ました。

ビジネス・顧客ベースを広げるための買収は今後も起きていくと想定されますし、資金を調達するために、コアビジネス以外のところで傘下にある企業を売却する動きも出てくると思われます。

この買収・売却そして合併の動きは今後も業界の競合状態に大きな影響を与えるので、注目が必要です。

ベライゾンのビジネスが、米国の消費者ビジネス、特にワイヤレス・コミュニケーションに依拠していることから、常に激しい競争にさらされていると言えます。

新しいもの、速くてどこでもシームレスにつながる、そして安いサービスを消費者は求めています。

したがって、今の競合の焦点は、5Gのサービスです。

そして、5Gサービスが普及すれば、消費者は無制限のデータプランに移行するケースが増え、顧客一人当たりの収入が増えることが期待されています。

現在、ベライゾンでは、一般個人加入者(消費者)の約6割が月間データ無制限のデータプランで加入しており、これは2018年の約4割から増加しています。

5Gに移行すれば、これが更に上昇すると期待されているということになります。

しかも、そのデータプランは、速くて大量のデータが処理できる5Gということでプラン料金を高く出来る。そのような期待を持っています。

米国のワイヤレス通信市場は既に非常に成熟しているため、新規のユーザーの獲得は、すべてのキャリアに可能ではなく、ユーザーの取り合いのような状況になっています。

その結果、プレミアム・サービス的なものもすぐに陳腐化し、コモディティ化します。

5Gの通信サービスもいずれコモディティ化してしまうのではないかと見ているアナリストも多いようです。

すなわち、期待されている月間のデータ無制限プランの料金も、高い価格での提供があまり長く続かないという予想です。

ベライゾンにおいては、現在、5Gについて言えば、現在はまだ投資(資本投下)のフェーズにあると言えるかと思います。

同社は、5G関連ビジネスに非常に期待しており、プライベート5Gビジネスサービスを提供するモバイルエッジコンピューティングに投資していますし、今後3年間で100億ドル(約1兆1千億円)を5Gワイヤレスネットワークの構築のために支出する計画です。

これは、現在のネットワークの保守管理のために毎年約180億ドル支出している上に追加的に支出するというものです。

バフェットはなぜベライゾンを保有しているのか

ネガティブに聞こえる材料ばかり上げてしまいましたが、ポジティブな材料ももちろんあります。

まず、冒頭で述べたように、バフェットが投資を開始しています。

彼の視点からすれば、何が魅力的に移ったのでしょうか?

バフェットのポートフォリオの中では第7位の大きさの保有です。

第7位の保有ということで、かなり気に入って投資を開始したと言って良いかと思われます。

バフェットがこのビジネスを気に入る要素として考えられることは何でしょうか?

まず、こうしたインフラ化しているビジネスは、安定した収益が長期に渡って入ってきます。

大きなキャッシュフローを生み出すビジネスです。

そして、競争は激化しているものの寡占化してきています。

バフェットの投資では、市場が急成長段階にあるようなものは少なく、むしろ安定的に収益が上がるようなビジネスを好みます。その点ではこのビジネスは悪くないと言えます。

大量の資産を持っていることや、マネジメントチームが新しく優秀そうであることも要因の一つになりえるかと思います。

更に市場の評価はまだ低く、配当利回りも高いです(4.6%)。

バフェットが気に入っているかどうかは別にして、ペンディングになっているトラックフォン(Tracfone)の買収(メキシコのアメリカ・モバイルから)が承認されれば、南米からの移民が多く利用するプリペイドのワイヤレスサービスも収益に寄与すると考えられています。

5G時代に入り、スピードが求められる中で、新しい経営陣が、ビジネスの成長要素を多角化して成長軌道に乗せようとしています。まだ市場はこれに高い評価を与えていません。

市場が評価を変えるようになれば、再び、株価も成長軌道に乗りえるのではないかと思います。

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