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バフェットの「株主への手紙」から9つの要点

-バークシャー・ハサウェイの業績、株式市場について、オマハの賢人が語ったこと-

モトリーフール米国本社、2019年2月23日投稿記事より

ウォーレン・バフェットは22日、バークシャー・ハサウェイ(ティッカー:BRK-A)(ティッカー:BRK-B、以下「バークシャー」)の株主に対する「株主への手紙」を公表しました。

いつものように、投資家にとって貴重な情報が満載されています。以下で手紙の要点を解説します。

バークシャーは2018年に40億ドルの営業利益をあげましたが、会計上の要因により押し下げられています

バフェットが手紙の最初で言及したバークシャーの2018年通年の営業利益は、40億ドルと低かったわけですが、同社の真の利益は、GAAP(米国一般会計原則)の最近の変更によりゆがめられています。

具体的には、バークシャーは保有株式の未実現利益および損失を計上しなければならず、バフェットに言わせると、「損益水準が大きくぶれる」元になります。

言うまでもなく2018年の株式市場は振るわず、バークシャー保有の株式も大きな打撃を受けました。

つまり、GAAPベースの営業利益40億ドルには、保有株式の未実現損失206億ドルが含まれているので、バークシャーの実際の営業利益は約250億ドルだったわけです

PBRという指標を重視しない方針を打ち出す

バフェットの手紙のスタイルに、今年は大きな変化がありました。これまでは、手紙の最初に、バークシャーのPBR(株価純資産倍率)に関する記述がありました。

「もはや、その慣行を放棄する時です」とバフェットは書いています。

バフェットによれば純資産額(簿価)の重要性が薄れてきているというのです。

バークシャーの価値の大半は、傘下の多くの企業体の(長期的)成長に起因するもののため、簿価に反映されるには時間がかかるようになっており、現在の会計原則では簿価が企業価値を反映しにくくなっているというのです。

さらに、バークシャーの自社株買いプログラムが最近修正されたため、より多く自社株買いを行えるようになりました。

自社株買いは通常、簿価よりも高い価格で行われるため、これもバークシャーの簿価をさらにゆがめることになります。

第4四半期の自社株買いは小粒だが、絶妙なタイミング

第4四半期のバークシャーの自社株買いは発行済株式の約0.1%と小規模なものにとどまりましたが、12月の株価急落時のタイミングで行ったことは注目すべきです。

自社株買いの大半は 12月13日から24日の間にクラスA株1株当たり平均295,954ドルで行われましたが、執筆時には302,000ドルで取引されています。

事業買収よりも、株式投資を選好

バークシャーは買収の際、本来、全事業の買収を目指します。

バークシャーの時価総額が約5,000億ドルと巨額になっており、それに対する比率としては小さくても、額的には大きな投資になってしまいます。

最近では、買収案件の売値が高い傾向になっており、代替策としてバフェットは株に投資しています。

「全事業を買収するよりも、多くの株式を購入する方が、はるかに多くのリターンを提供してくれます」とバフェットは書きました。

2018年にバークシャーは、430億ドル分の株式を購入し、190億ドル分を売却しましたので、買い越しとなっています。そして、バフェットは、株式投資がベストだと確信しています。

「チャーリー・マンガーと私は、株で投資している方が、買収で得られる価値よりもはるかに大きな価値を生み出している、と考えています。」

2019年の予想

2018年末現在、バークシャー・ハサウェイのバランスシート上の現金及び現金同等物は1,120億ドル近くあり、その内訳は304億ドルの現金と815億ドルの短期国債です。

バフェットは最低200億ドルの現金及び現金同等物を常に保有するようにしていますが、それを差し引いても920億ドルに及ぶ巨額の手元資金を有しています。

この現金をいかに活用するかが、最近の大きな課題でした。

先述したように、大きな買収を行う上でバリュエーションが障害になっていますが、だからといってバフェットとマンガーが買収を諦めたわけではありません。

バフェットは以下のように書いています。

「それでも私たちは、エレファント規模(巨額)の買収を行いたいと引き続き考えています。

私は88歳、マンガーは95歳ですが( 私の方が若い!)、買収の見通しは私とチャーリーの心拍数を高めます(巨額買収の可能性について書いているだけで、私の脈拍数が急上昇しました)」

しかしながら、バフェットは、2019年のバークシャーの投資で最も可能性の高いものは、やはりさらなる株式購入だろうと指摘しています。

バフェットが投資家に理解してもらいたいことは、2019年には株式が特に魅力的になる、ということではなく、買収が引き続き「魅力的ではない」ということです。

バークシャーの事業ポートフォリオは複雑だが、うまく機能している

バークシャーは、大規模保険事業、持分法適用会社、完全子会社を含む60を超える子会社から構成されています。加えて、同社は約2,000億ドル相当の株式ポートフォリオを持っています。

バフェットは手紙の中で、バークシャーではさまざまな事業が互いに補完し合うため、ビジネスとしてうまく機能していると指摘しています。

実際、その構造により、「大量の資本をシームレスかつ効率的に配分することができ、企業リスクを相殺し、非常に低いコストで資産購入を行い、税務上の効率性を活用して、諸経費を最小化できます」 。

「バークシャーにおいては、全体は部分の総和よりもかなり大きい」とバフェット氏は書いています。

投資手数料の危険性

手紙の一部として、バフェットは貴重な投資アドバイスを披露するのが好きです。

そして、繰り返し扱うテーマの一つが、投資手数料の危険性です。

バフェットは、1942年3月に最初の投資を行いました。

それ以降、S&P500指数の価値は、配当の再投資分を含めると5,288倍に拡大しています。

つまり、当時100万ドルの投資が、53億ドルに成長したことになります。

しかし、まったく同じリターンを伴うまったく同じ投資で年間1%の管理手数料を支払っていた場合には、総額は半分になってしまうのです。

つまり、たかだか1%の手数料を支払うだけでも、投資家は26億5,000万ドルを失ってしまうわけです。

手数料が常に高すぎるとか不要とかということではありません。

手数料をまず初めに考えなければならない、ということです。

金が長期投資に適さないワケ

1942年以来、米国の国家債務は40,000%増加しているため、暴走を続ける赤字のためにドルが最終的に崩壊してしまうリスクがあるとして、金購入を進める人がいます。

しかし、バフェットにいわせれば、1942年に戻って金に投資した場合、そのトータルリターンは、同時期にS&P500指数に単に投資した場合の1%にも満たなかったというファクトがあるわけです。

誰が大統領になったとしても、米国経済はうまくいく

最後の主要ポイントとして、バフェットは、米国のビジネスが依然として強力な長期成長エンジンであることに言及しました。

彼が最初の投資を行って以来、7人の共和党員、7人の民主党員が合衆国大統領に就任し、米国はこの間に数度の厳しい経済状況を経験してきました。

それには、インフレ高騰、戦争、住宅市場の崩壊などが含まれます。

バフェットの結論は、米国および米国民はそういった厳しい局面を乗り越えてきた、ということです。

バフェットは、米国こそが、今後もずっと投資家の期待に応えられる最も大きな力であると信じています。

「(1942年以来のこれまでの77年間と同様に)今後の77年間も、利益の主要な源は、間違いなく『米国の追い風』によってもたらされるでしょう。

このような力を持つ私たちは素晴らしく幸運なのです」


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