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中国政府による海外IPO規制強化で注目すべき中国企業2選

出典:Getty Images

7月初旬、中国当局が中国企業の国外市場での上場を規制していく方針を発表しました。

中国は今後、中国企業の国外市場での上場に際して、それを審査する専門部署を設立し、自国の企業の海外での上場を管理していくことになります。

具体的にどのように計画が進んでいくのかは明らかになっていませんが、すでにいくつかの中国企業が米国でのIPOを取りやめることを発表しており、波紋が広がっています。

また、アメリカでもバイデン政権下で、中国軍とかかわりのある中国企業に対する投資を禁止する措置が取られており、数十社に上る中国企業がS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの株価指数などから除外されることも決定しています。

このように、現在、米国内における中国企業の立ち位置はとても不安定になっており、米国市場に上場済みの中国企業に関しても株価への影響などは避けられないでしょう。

また、近年、中国企業の米国市場への上場はますます加速していましたが、今後上場が困難になっていく中で米国市場への影響も懸念されています。

本記事では、その様な不安定な状況下で注目すべき中国企業銘柄を2つ紹介します。

ディディ・グローバル(滴滴出行)

企業概要

ディディ・グローバル(NYSE:DIDI)は北京に本社を置く配車サービス企業です。

スマートフォンアプリを利用したタクシー等の配車、ライドシェアや自転車のシェアリングなどの事業を展開しています。

加えて、自動車の販売や他の自動車メーカーと協力した自動車開発やメンテナンスなど、自動車関連の事業を広範囲に展開しています。

同社は6/30にニューヨーク証券取引所に上場しています。

上場に際して、アリババ・グループに次ぐ44億ドルを調達したことで、その規模は中国企業第2位の大規模なものとなっています。

業績について

IPO目論見書から2021年1月-3月期決算について見ていきます。

  • 総売上高…421.63億中国人民元(前年同期比105.9%増)
  • 営業損失…△66.54億中国人民元(前年同期比100.3%増)
  • 同社に帰属する純損益…54.85億中国人民元(前年同期比94.47億中国人民元増)
  • 希薄化後一株当たり純利益…1.31中国人民元 (前年同期比40.04中国人民元増)

同社の売上高は前年同期から105.9%増加した421.63億中国人民元となっています。

しかし、営業費用も同様に拡大しており、結果的に営業損失は拡大しています。

一方で、多額の投資を受けたことで、純利益は前年同期から94.47億中国人民元増加した54.85中国人民元となっており、黒字に変わっています。

また、過去3年間の通年決算に関しては、総売上高が概ね1400億中国人民元となっていますが、いずれも純損失を出しています。

株価と今後について

同社は6/30にIPOを行っています。

公開価格は14ドルとなっていました。

初値は16.65ドルとなっており、公開価格を20%弱超えています。

上場初日は高値18.01ドルを記録しましたが、当日終値は14.14ドルに落ち着いています。

その後持ち直し、上場初週はじわじわ値を上げ、15ドル-16ドル前後で取引されました。

しかし、その直後に中国当局から、同社サービスがユーザー情報を不当に収集しており法に触れている可能性がある、との声明が出されたことで株価は大きく下落しました。

現在は公開価格を下回る11ドル-12ドル付近で取引されています。

この問題を受けて、中国当局は調査期間中の同社サービスへのユーザーの新規登録、同社アプリのアプリストアからの削除など行っています。

また、IPO以前から中国当局の調査が進んでいたことも明らかになっており、その様な状況下でIPOを進めたことに対する疑惑の目もむけられています。

事業内容に目を向けてみると、同社はほぼ中国国内のみで5億5,000万人を超えるユーザーを確保しています。

これは大きな強みといえる一方で、中国国内での今後の市場拡大は少し困難だと言わざるを得ません。

米国で上場したことでシェアを世界的に広げていくことができれば更なる成長が見込めますが、同業他社として挙げられるウーバー・テクノロジーズが海外でのシェアを拡大して売り上げにつなげていることを考えると、決して簡単な道とは言えません。

様々な自動車関連事業に取り組む同社ですが、大きな収入源となっている配車サービス部門の今後の成長の前には多くの課題が挙げられています。

中国企業としてアリババ・グループに次ぐ大規模IPOを達成し、多くの注目を集めた同社ですが、上場直後から多くの課題に直面しています。

このような背景の下、今後、少なくとも先に述べた個人情報保護に関する問題が解決するまでは、長期にわたって同社株価が低迷することは間違いないと思われます。

この問題が解決したとしても、同社の今後の成長には少し不安も残っています。

アリババ

企業概要

アリババ・グループ(NYSE:BABA)は中国に本社を置く、電子商取引・ITサービス持株会社です。

主な事業としては、子会社を通じて企業間電子商取引事業を展開しており、オンラインショッピングサイトである「タオバオ」、小売業者向けプラットフォーム「Tフォーム」、共同購入サイトの「ジュファサン」などを運営しています。

またクラウド関連の事業も展開しています。

主な競合企業としてはテンセントが挙げられます。

業績について

  • 売上高…286.02億ドル(前年同期比64%増)
  • 営業利益…△11.70億ドル(前年同期比21.14億ドル減)
  • 普通株主に帰属する純利益…△8.36億ドル(前年同期比12.83億ドル減)
  • 希薄化後EPS…△0.04ドル(前年同期比0.06ドル減)

売上高では前年同期を大きく上回った同社ですが、その他では赤字へと転換してしまっています。

これらの赤字の主な原因は中国政府による独占禁止法違反に対する28億ドルの罰金によるものとなっており、あくまで一時的な赤字に過ぎないとしています。

アナリストらによる同社業績の事前予想では、売上高が1873.7億人民元、non-GAAPベースのEPSが11.16人民元となっていました。

同社の実際の業績では、売上高が1874億人民元、non-GAAPベースのEPSが10.32人民元となっています。

同社は売上高ではアナリストらによる事前予想を上回っていますが、non-GAAPベースのEPSでは下回っています。

株価と今後について

同社はディディ・グローバル社同様、中国当局の取り締まりの対象となっています。

また、昨年末の同社関連会社であるアント・グループ社の上場が延期されて以降、同社株価も長らく下落傾向にあり、現在の株価は昨年末に記録した最高値から約3分の2まで落ち込んでいます。

一方で、今回の中国当局による規制拡大などのニュースが流れて以降、同社株価はやや上昇傾向にあります。

その他にも、今回のニュースを受けて中国のネット・IT系銘柄など中心に堅調な推移がみられています。

この原因としては、中国当局のIPO規制拡大によって今後中国企業の米国市場参入が厳しくなったことや、バイデン政権下での中国企業への規制に対して、比較的安定感のある中国企業銘柄に対して買いが入ったと考えられるのではないでしょうか。

とはいえ、今後この傾向がこのまま長続きしていくかどうかにはいまだ判断材料が足りないと思われます。決して楽観視はできないでしょう。

まとめ

中国当局による規制強化や米中関係の変化などの様々な背景の下、米国市場における中国企業の今後はあまり楽観視できない状況が続いています。

アリババ・グループに関してもやや上昇傾向にはありますが、昨年末以前の水準に戻る気配はいまだありません。

同じ中国企業とはいえ銘柄ごとに受ける影響は異なってくるため、個人個人で各銘柄を比較・検討して保有を検討する必要がありますが、現状では、中国企業であるということは投資前にリスクの一つとしてはっきり認識しておくべきといえます。

参考元:

Form F-1/A Didi Global Inc.

Alibaba Group Announces March Quarter and Full Fiscal Year 2021 Results

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