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ゲノム編集の治療薬開発が順調に進んでいる「インテリア・セラピューティクス」に注目するべき理由

DNA実験をする研究者
出典:Getty Images

世界におけるコロナワクチンの接種率は順調に伸びていますが、接種率50%(2回接種)を上回っている国はまだ多くないので十分とは言えません。

特に後進国での接種率が非常に低いことなどを考えれば、今年中に十分な接種率に達しないのではないかと思います。

しかし、効果のあるコロナワクチンが一応順調に普及しているということを考えれば、近いうちにパンデミックは収束していくので、そろそろコロナ収束後(アフターコロナ)のことを考えた投資戦略を考えるべきでしょう。

コロナのパンデミックの最中で注目するべきセクターの一つとして、ヘルスケアが挙げられます。

特にアフターコロナで注目するべきヘルスケア企業があります。

その背景には、近年、急速に発展しているバイオテクノロジーがあります。

モデルナやファイザーのコロナワクチンに使われている、mRNA(メッセンジャーRNA)テクノロジーもその一つです。

他に注目するべきバイオテクノロジーは「ゲノム編集(genome editing)」です。

このゲノム編集テクノロジーは2人の女性研究者によって開発され、その功績により2020年にノーベル化学賞を受賞しました。

一方で、ゲノム編集を活用した治療や医薬品を提供する多数のスタートアップ企業が起業され、一部の企業は上場されました。

今回の記事では、その一つである米国のインテリア(Intellia Therapeutics)(NASDAQ:NTLA)について解説・分析していきます。

ゲノム編集テクノロジーを活用するインテリア

インテリアが有するテクノロジーについて、まずは基本的なことから説明していきます。

遺伝子を自由に操作できるゲノム編集とは

インテリアのテクノロジーの中心にあるのは、最先端バイオテクノロジーであるゲノム編集テクノロジー(CRISPR/Cas9)です。

ここではゲノム編集の簡単な説明を行います。

ゲノムとはゲノムDNAのことを指し、これには全ての遺伝子が含まれています。

免疫や代謝などの生命活動の実態は、主にタンパク質(酵素など)同士の相互作用(活性化や不活性化)です。

そして、それらのタンパク質は遺伝子(設計図)から作られます。

つまり、その遺伝子を自由に操作すれば生命活動を自由に操作することが可能となります。

そのように遺伝子を自由に変えること(DNA配列の変更)を可能にしてくれるのが、ゲノム編集テクノロジーです。

ゲノム編集が提案されるまでは、自由に遺伝子を操作することはほぼ不可能でした。

例えば、遺伝子に変異を入れる(遺伝子を変える)技術は多数ありますが、それらのテクノロジーにおいては狙った遺伝子に変異を入れることはできず、ランダムに変異が入ってしまいます。

ゲノム編集においては、特殊な酵素が遺伝子内の特定のDNA配列を認識して、特定の配列を挿入あるいは削除を行います。

その認識する配列を研究者あるいは実験者が自由に変えることができ、それによって特定の遺伝子を自由に操作します。

このゲノム編集テクノロジーを利用すれば、生まれてくる子供の遺伝子を操作することも理論的には可能であるため、その点について世界的な議論や関連法案の立法などが行われています。

インテリアの2つの治療戦略:in vivo(生体内)とex vivo(生体外)

インテリアは、社会的にもインパクトのあるゲノム編集を活用した医薬品の開発を行っています。

同社のアプローチは2つに大別でき、それらはin vivo(生体内)とex vivo(生体外)です。

in vivoにおいては、ゲノム編集に必要なCRISPR/Cas9などの酵素が入れられた人工の極小カプセルを直接人体に入れ、それにより患者の遺伝子を変え治療が行われます。

一方で、ex vivoにおいては特定の遺伝子がゲノム編集された細胞を、患者に移すことにより治療が行われます。

インテリアのプロフィール

次に、企業としてのインテリアについて解説していきます。

インテリアには有能な人材が揃っている

インテリアは2014年に米国で設立されました。

ゲノム編集の開発者であり、かつノーベル賞受賞者のジェニファー・ダウドナ氏が共同設立者(co-founder)となっています。

設立時においては、スイスのグローバル大手製薬企業から多くの出資を受けました。

現在のインテリアのCEOはJohn Leonard氏です。

同氏は医学博士を保持しており、かつ米国グローバル大手製薬企業のCSO(chief scientific officer, 最高科学責任者)を務めていたことがある有能な人材です。

インテリアの注目疾患領域

インテリアの注目疾患領域は、難病ATTRアミロイドーシスや鎌状赤血球症(異常ヘモグロビン症)、がん、血友病です。

最も開発が進んでいるのは難病ATTRアミロイドーシスと鎌状赤血球症(異常ヘモグロビン症)のゲノム編集治療薬です。

インテリアの株価動向

同社は2016年に米国ナスダックに上場されました。

インテリア銘柄の株価は去年の11月くらいに少しずつ上がり始めました。

さらに、臨床試験のフェーズ1の段階にある同社の難病ATTRアミロイドーシスの治療薬(NTLA-2001)に関して、ポジティブなデータが得られたことが今年の6月末に発表されたことを受けて、同社の株価は急騰しました。

ただし、まだゲノム編集の医薬品の提供はまだ行われていないことについて注意しておく必要があります。

インテリアの競合他社

当然ながら、インテリア以外にもゲノム編集医薬品を開発している企業が多数あります。

参考のためにいくらかの競合他社をここに記載しておきます。

  • CRISPR Therapeutics
  • Beam Therapeutics
  • Editas medicines
  • ToolGen
  • Allogene Therapeutics

インテリアの今後の見通しと分析

ゲノム編集医薬品の開発を行っているインテリアについて解説しました。

同社には有能な人材が揃っており、研究開発も順調に進んでいます。

これらのことから、同社のポテンシャルは非常に高いですが、まだ販売できるゲノム編集医薬品の開発には成功していないことについて留意しておく必要があります。

また、難病ATTRアミロイドーシスの治療薬(NTLA-2001)の医薬品の開発状況が順調ですが、患者の数が少ないので成功したとしてもそれほど多くの売り上げを得ることはできないのではないかと考えられます。

ただし、同社は、がんや白血病など患者数の多いゲノム編集治療薬の開発も行っており、これが成功すれば業績は大きく伸びていくと思われます。

つまり、インテリア銘柄の購入の検討は慎重に行うべきであり、その際には、同社のゲノム編集医薬品の開発状況を定期的にチェックしておく必要があります。

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