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DER補助金とは?蓄電池の購入を後押しする補助金制度の影響力を解説

出典:Getty Images

日本では災害時の対策として蓄電池の需要が高まっており、出荷台数が年々増えています。

初期導入費用だけで100万円以上もする蓄電池の出荷台数が増える要因に補助金制度が挙げられます。

そこで今回は、蓄電池の購入を後押しする補助金の影響力について解説します。

また、現在実施中のDER補助金についても合わせて解説します。

DER補助金とは?

DER補助金とは、一般社団法人環境競争イニシアチブ(SII)が2021年6月より始めている蓄電池などの補助金制度です。

家庭に設置されている太陽光発電システムや家庭用蓄電などを大きな電力所に見立てて、電力の需給バランスを外部から管理し、効率よく運用するのを目指す「分散型エネルギーリソース(DER)実証事業」に参加するのを条件に、蓄電池を購入する方に給付されます。

DER補助金の条件

DER補助金の条件は次になります。

  • SIIで事前に登録されている省エネ性能の高い蓄電池を購入
  • 設備費と工事費の合計が5万円以下/1kWh
  • DER実証事業に参加する

DER補助金は特定の蓄電池を購入した場合、最大66.8万円の補助金を受け取ることができます。

蓄電池はメーカーや種類によっては導入費用が100万円以上になるのも珍しくないため、最大66.8万円の補助金は蓄電池を購入するハードルが下がります。

ただし、DER補助金を受け取るには、2021年~2024年まで実施予定のDER実証事業に参加することが条件になります。

DER実証事業では、外部から蓄電池がコントロールされ、充電・放電を自動で行います。

期間は1週間程度で、記事執筆時点では2024年まで合計3回を予定しています。

蓄電池を購入した方は実証事業に参加するにあたり、特別な操作や設定をする必要はありません。

しかし、実証事業に参加せずに蓄電池を撤去する場合は、DER補助金の返還を要求されます。

DER補助金の注意点

DER補助金は金額の大きい補助金で、条件も他の補助金制度に比べて緩い内容ですが、次の注意点があります。

  • 補助金の予算が少ない
  • 期限は2021年12月24日まで

それぞれ、順番に解説します。

補助金の予算が少ない

記事執筆時点でのDER補助金の予算は45億2,000万円です。

仮に、すべての人が最大66.8万円の補助金を受け取った場合、補助金を受け取れるのは約6,766人までになります。

DER補助金は本体価格や工事費の金額に応じて給付される金額は変動するため、実際に受け取れる人数はもっと多いと予想されますが、それでも補助金の予算としては少ないといえます。

記事執筆時点では、追加予算に関する発表は無いため、興味がある方は早めに手続きを済ませましょう。

期限は2021年12月24日まで

DER補助金の期限は2021年12月24日までで、この期限は申し込みの期限ではなく、連係期限の締め切りになります。

連係期限とは蓄電池を設置して蓄電が行えるようになる状態を指すので、12月24日までには蓄電池を使える状態にしなければなりません。

蓄電池は契約してから設置まで1ヶ月前後は掛かります。

連係期限の締め切りから逆算すると、遅くとも11月中には契約を済ませる必要があります。

蓄電池の需要は年々増えている

結論から申し上げますと、蓄電池の需要は年々増加しています。

まず、日本は2018年頃から毎年のように災害が深刻化しており、記録的な被害を受けるケースが増えています。

例えば、平成30年北海道胆振東部地震(2018年)や令和元年房総半島台風(2019年)では、広範囲で停電が発生し、復旧までに時間が掛かりました。

これらの災害時に蓄電池があれば、停電時でも普段の生活に近づけることができます。

実際、太陽光発電システムや蓄電池があったことで、停電時でも電気が使えて助かったという声は多いです

『JEMA 蓄電システム自主統計』によれば、蓄電池の2019年出荷台数は11万5,000台で、前年比159%増です。

2017年からの推移を見ると、3年連続前年比100%増越えを達成しており、将来的には日本国内の市場規模が1200億円、国際的には1.2兆円規模になると見込まれています。

補助金制度は蓄電池の出荷台数を後押しする

補助金制度は蓄電池の出荷台数を後押しする要因となります。

東日本大震災後、国内で蓄電池の重要性が高まったことを受け、政府は住宅蓄電システムを対象とした補助金制度をスタートしました。

補助金制度を受けて、2012年の出荷台数は前年比590%増を達成し、2013年~2015年まで連続して前年比150%前後もアップしています。

しかし、2016年に補助金制度が廃止されると販売台数は一気に減り、初めて前年比が100%増を切りました。

アメリカやイギリス、ドイツなどの諸外国でも蓄電池に関する補助金制度があり、蓄電池の販売台数を増やす要因となっています。

以上のことから、今回のDER補助金により蓄電池の販売台数がさらに増える可能性は高いと考えられます。

蓄電池に関連した企業

蓄電池に関連した上場企業は、市場で分類すると電池関連や脱炭素、省エネ関連、再生可能エネルギーなどになります。

それらの中で注目を集めている企業は次になります。

  • グリムス
  • TDK
  • ウエスト HD

上記の企業は、蓄電池の需要が増加した影響を受けやすい企業です。

それぞれ、順番に解説します。

グリムス

株式会社グリムスは企業のエネルギーコスト削減を目的としたコンサルタント事業を主とした企業です。

コンサル業以外にも省エネ設備や蓄電池の販売なども行っており、16期連続増収を達成しています。

2022年3月期は前期比80.8%増の31.5億円を計画しており、消費者向け蓄電池や事業者向け省エネ設備の販売に力を入れる予定です。

株価の推移を見ると、2020年11月24日に最高値2,444円に付けています。

実は、株式会社グリムスは11月24日付で東証2部から東証1部に市場替えをしたことにより、買い需要が高まったのです。

その後、株価は1,520円まで下がりましたが、記事執筆時点で1,960円まで回復しています。

TDK

TDKは電子部品の国内大手メーカーで、世界で初めてフェライト(磁性部品)コアを製品化した高い技術力を持つ企業です。

フェライトはスマートフォンやパソコンなどの電子機器に使用されており、家庭用蓄電池のリチウム電池に使用されています。

2021年4月28日、TDKはリチウムイオン電池大手の中国CATLと提携すると発表し、合弁会社を設立する予定です。

同日に発表した決算によれば、21年3月期の連結税引き前利益は前期比27.1%増の1,219億円となり、22年3月期も前期比23.0%増の1,500億円に伸びる予想です。

業績は好調で、今期の年間配当は前期比10円増の190円となり、利益が株主に還元されています。

ただし、株価の推移を見ると、決算発表から株価は下降トレンドとなり、記事執筆時点では13,340円まで下がり、決算時に比べると12.4%減になります。

ウエスト HD

ウエスト HDはメガソーラーから住宅までの太陽光発電設置工事に幅広く対応している企業です。

以前はリフォームに力を入れていましたが、現在は休耕地や干拓地に高圧太陽光発電所の設置や、省エネ性能の高い住宅設備や太陽光発電の開発・設置などの事業をしています。

2021年4月14日の決算では売上高こそ減収しましたが、営業利益や純利益は増収となっており、21年8月期決算の純利益は前期実績よりも増益となると予想されています。

株価の推移を見ると、2020年2月より株価は上昇傾向にあり、2021年1月14日には4,192円まで上昇しました。

1年間で約7倍もの上昇でしたが、1ヵ月後の2月25日には2,771円まで下落しました。

記事執筆時点では再び上昇しており、3,705円となっています。

まとめ

高額な蓄電池の市場が拡大しているのは、DER補助金のように高額な補助金制度が定期的に実施されるからです。

実際、補助金が行われる年の出荷台数は前年よりも増えており、関連した企業の業績も上がっています。補助金は政府や民間企業がどこに力を入れようとしているのか、市場の需要がどこにあるのか分析する材料となるため、投資をする際の参考にしましょう。

免責事項と開示事項 記事の作者、野田幹太は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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