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欧州通貨が好調な理由は?欧州通貨で注目すべきポイントについても解説

出典:Getty Images

2021年に入り、各国で新型コロナのワクチン接種が進んでいます。

ワクチン接種が進んだ国では行動制限や営業制限が解除されており、徐々にですが経済指標も回復しつつあります。

その影響からか、5月下旬の欧州通貨は好調な結果となりました。

そこで今回は、欧州通貨が好調な理由や、欧州通貨で注目すべきポイントについて解説します。

5月下旬の欧州通貨

5月21日、東京外国為替市場では対円で、1ユーロ=133円台前半と高値圏で推移しました。

27日には対円で1ユーロ=134円台とさらに上昇し、1ポンド=156円台と数年ぶりの高値となり、欧州通貨が好調だと言えます。

記事執筆時点の6月中旬では、1ユーロ132円台、1ポンド154円台と多少下がっていますが、これまでの推移を見る限り安定した値動きです。

少なくとも5月下旬から6月中旬にかけて欧州通貨は好調で、投資家のユーロ・ポンド買いが優勢となっています。

欧州通貨が好調な理由

ユーロやポンドといった欧州通貨が好調な理由は、新型コロナに対するワクチン接種が進み、行動制限が緩んできたことが挙げられます。

記事執筆時点でのワクチン接種累計回数の上位は次になります。

  • 中国…約78億回
  • アメリカ…約08億回
  • インド…約46億回
  • ブラジル…約76億回
  • イギリス…約70億回
  • ドイツ…約60億回
  • フランス…約43億回
  • イタリア…約41億回

上位3カ国と比べると、イギリスやフランスといった欧州の接種回数は桁が一つ少ないです。

しかし、人口100人当たりの接種回数で比較すると、次のようになります。

  • チリ…74回
  • イギリス…21回
  • アメリカ…13回
  • カナダ…9回
  • ドイツ…74回
  • イタリア…16回
  • スペイン…05回
  • フランス…83回
  • ポーランド53回

上記にあるように、イギリスやドイツ、フランスといった欧州の人口に対する接種回数は非常に多く、少なくとも一回接種した人の割合も欧州が上位を占めています。

ワクチン接種が進んだことを受け、フランスでは5月19日に、それまで禁止されていた飲食店でのテラス席が解禁され、オーストリアやイタリアでも営業規制や行動制限が緩和されつつあります。

新規感染者数にも影響が出ており、大規模な接種を進めていたイギリスは2月から、ドイツやイタリアも4月後半から新規感染者の減少傾向が見られます。

そして、6月11日には欧州連合(EU)はワクチン接種を完了した者の渡航に関する制限を緩和すると発表しました。

欧州は夏になるとバカンスが始まり人の移動が活発になるのを見越した対応です。

すでに、欧州で暮らしている成人の4分の1以上がワクチン接種を完了していることと、年内には集団免疫を獲得していることなどが行動規制緩和の要因と考えられます。

欧州通貨の注目すべきポイント

好調な欧州通貨ですが、一方で気になるポイントもあります。

欧州通貨と一口に言っても、ユーロとポンドで管理している中央銀行が異なるので、方針が異なります。

そのため、ユーロとポンドで注目すべきポイントを個別に解説します。

ユーロで注目すべきポイント

ユーロとは、欧州連合27カ国のうち、19カ国で導入されている欧州単一通貨のことで、発行している中央銀行は欧州中央銀行(ECB)です。

EUはイギリスやアメリカに比べるとワクチン接種率は低いですが、接種のスピードは上がりつつあります。

新規感染者の減少ペースはワクチン接種に比例して下がっているため、これから景気回復が本格化すると分析できます。

一方で注意すべきなのはECBの金融政策です。

ECBは総裁を長とする役員会と、役員会と欧州連合に参加している各国の中央銀行総裁で構成される政策理事会によって運営されています。

ECBは2020年3月18日にパンデミックを受けてPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)という金融政策を導入しました。

臨時の資産購入プログラムで、規模は7,500億ユーロ(約93兆円)、買い入れ期間は2020年末までです。

しかし、行動規制やロックダウンを経ても感染拡大が止まらないことを受け、ECBは債券枠購入合計1兆1,000億ユーロも拡大し、買い入れ期間を2022年3月末までに延長しました。

PEPPの債券枠購入拡大と期間の延長は喜ばしいことですが、2022年3月末まで続けるには、どこかで購入ペースを減速させるのではないかという懸念があります。

6月10日におこなわれたECB理事会後のラガルト総裁の発言によれば、7月以降の購入ペースを減速する予定は無いことと、政策金利も現行水準に据え置いたことが決定しました。

少なくとも記事執筆時点でのECBは現状維持を選んだことになりますが、いずれPEPPの出口(購入ペースの減速)に関する発表をすると予想されます。その時にはユーロにも影響を及ぼす可能性があります。

英ポンドの注目すべきポイント

英ポンド(スターリングポンド)はイギリスの通貨で、発行している中央銀行はイングランド銀行(BOE)です。

イギリスは欧州の中でもワクチン接種率が高く、新規感染者の減少ペースも早い国です。

そのため、5月17日時点で飲食店や映画館の解禁を含めた行動制限解除の4段階中、3段階まで進んでいます。

そのため、6月21日に行動制限を完全解除するのではないかと予想されていました。

ところが、5月18日の新規感染者が2412人に対して、6月12日時点での新規感染者は7500人と増えてきているのです。

すでに成人の43%がワクチン接種を終えているにも関わらず、新規感染者が増加していることもあるのか、記事執筆時点でも6月21日に行動制限を完全解除するという発表はありません。

また、BOEはECBと異なり、量的緩和政策の購入ペースの減額を5月6日の時点で開始をしています。

一種のテーパリングであることは間違いなく、BOEは大幅な金融緩和政策を正常化させるための行動を示しつつあります。

記事執筆時点では、増えつつある新規感染者のことを踏まえた発表をBOEはしておりません。

BOEが現在の状況を受けて、それでも金融政策の正常化を目指すとすれば、ポンドに大きな影響を与えます。

まとめ

以上が、欧州通貨が好調な理由の解説です。

欧州通貨が好調な主な理由は、やはりワクチン接種により政府が制限を段階的に解除しているのと、消費者の消費行動が意欲的になっていることが挙げられます。

しかし、景気が回復する兆しがあれば、中央銀行は金融政策の正常化を目指そうとします。

記事執筆時点だとECBはすぐに正常化を目指そうとはしていませんが、BOEは正常化を目指す動きを見せています。

また、ワクチン接種が進んでいるイギリスで、新規感染者が増えているように、欧州でも再び増加する可能性は否定できません。

欧州通貨に関連した投資をする際は、新規感染者数や中央銀行の動向もチェックしましょう。

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